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のどもと
ふりがな文庫
“
喉元
(
のどもと
)” の例文
手負
(
ておい
)
はうんとばかりにのたりまわるを、丹治は足を踏み掛けて刀を取直し、
喉元
(
のどもと
)
をプツリと刺し貫き、こじられて其の儘
気息
(
いき
)
は絶えました。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
窮厄
(
きゅうやく
)
におりながら、いわゆる
喉元
(
のどもと
)
過ぎて、熱さを忘るるの
慣
(
なら
)
い、
憂
(
う
)
たてや血気の壮士は言うも
更
(
さら
)
なり、
重井
(
おもい
)
、
葉石
(
はいし
)
、
新井
(
あらい
)
、
稲垣
(
いながき
)
の諸氏までも
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
それがどう云うものか、云おうとするとたちまち
喉元
(
のどもと
)
にこびりついて、
一言
(
ひとこと
)
も舌が動かなくなってしまうのでございます。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すると熱いものが
脊髄
(
せきずい
)
の両側を駆け上って、
喉元
(
のどもと
)
を切なく
衝
(
つ
)
き上げて来る。彼は唇を噛んでそれを顎の辺で喰い止めた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼女は改めてそう云う相手の昔とそっくりな、おとなしい、悪気のない様子を見ていると、なぜか
痙攣
(
けいれん
)
が自分の
喉元
(
のどもと
)
を締めつけるような気がした。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
▼ もっと見る
彼女は自分の白いやさしい
喉元
(
のどもと
)
にジャヴェルの大きい荒々しい手をあてた、そして、ほほえみながら彼をながめた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
喉元
(
のどもと
)
過ぎれば暑さを忘れるという。実際われわれには暑さ寒さの感覚そのものも記憶は薄弱であるように見える。
夏
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
メルキオルは
肱掛椅子
(
ひじかけいす
)
に
反
(
そ
)
り返っていたので、身をかわす
隙
(
すき
)
がなかった。子供はその
喉元
(
のどもと
)
をつかんで叫んだ。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
正覚坊はそこにぐったりとなって、
喉元
(
のどもと
)
をふくらましながら、はあはあと息をきらしてるらしいのです。
正覚坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
鶏小屋
(
とりごや
)
に大きな青大将が入って、
模型卵
(
もけいらん
)
をのんだ、と
日傭
(
ひよう
)
のおかみが知らして来た。往って見ると、五尺もある青大将が
喉元
(
のどもと
)
を
膨
(
ふく
)
らして、そこらをのたうち
廻
(
まわ
)
って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
喉元
(
のどもと
)
から胸へ流れる、嬌めかしい丸みの極まるところに、梅の
蕾
(
つぼみ
)
のような乳首をつけてふっくりと固く盛上る乳房——どこに一点の塵もなく、
絖
(
ぬめ
)
のように
艶々
(
つやつや
)
とした皮膚は
嫁取り二代記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
よほど
喉元
(
のどもと
)
過ぎて
怖
(
こわ
)
いことが
糞
(
くそ
)
になった時分まではあり
得
(
え
)
はしなかった。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
とはいえ、今は亡びたりといえ、旧主新免家の
代々
(
よよ
)
の御恩も、忘却してはならぬ。——なおなお、われらこの地に流浪の日には、
落魄
(
おちぶ
)
れ果てていたことをも、
喉元
(
のどもと
)
すぎて、忘れては身に済まぬ。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庸三も声が
喉元
(
のどもと
)
に
閊
(
つか
)
えたようで、瞬間ちょっといやな感じだった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
盡
(
つく
)
さして
引入
(
ひきい
)
れし
利
(
り
)
も
少
(
すく
)
なからず
世
(
よ
)
は
塞翁
(
さいをう
)
がうまき
事
(
こと
)
して
幾歳
(
いくとせ
)
すぎし
朝日
(
あさひ
)
のかげ
昇
(
のぼ
)
るが
如
(
ごと
)
き
今
(
いま
)
の
榮
(
さかゑ
)
は
皆
(
みな
)
松澤
(
まつざは
)
が
庇護
(
かげ
)
なるものから
喉元
(
のどもと
)
すぐれば
忘
(
わす
)
るゝ
熱
(
あつ
)
さ
斯
(
か
)
く
對等
(
たいとう
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
至
(
いた
)
れば
目
(
め
)
の
上
(
うへ
)
の
瘤
(
こぶ
)
うるさくなりて
獨
(
ひと
)
りつく/″\
案
(
あん
)
ずるやう
徑
(
けい
)
十町
(
じつちやう
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ぐいぐいと
喉元
(
のどもと
)
を締める
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
気早な一人が、いきなり其角の胸倉を取って、刃をどきどきする
喉元
(
のどもと
)
へ突つけた。
其角と山賊と殿様
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
時々この文明の胃袋は不消化に陥り、汚水は市の
喉元
(
のどもと
)
に逆流し、パリーはその
汚泥
(
おでい
)
を
反芻
(
はんすう
)
して味わった。そしてかく下水道と悔恨との類似は実際有益だった。それは人に警告を与えた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼は道へまでも行きつけるだろうか。引返して娘のところへ駆けつけるために、立止りはしないだろうか。そしてもしその時は?……彼は娘の
喉元
(
のどもと
)
をとらえていたあの
眩迷
(
げんめい
)
の瞬間を思い出した。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかも毛利先生はその度にひどく
狼狽
(
ろうばい
)
して、ほとんどあの紫の
襟飾
(
ネクタイ
)
を引きちぎりはしないかと思うほど、
頻
(
しきり
)
に
喉元
(
のどもと
)
へ手をやりながら、当惑そうな顔をあげて、
慌
(
あわただ
)
しく自分たちの方へ眼を飛ばせる。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
空を
截
(
き
)
って飛んだ矢はあやまたず、疾走している狼の
喉元
(
のどもと
)
をぷつりと射抜いた。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
上靴
(
うわぐつ
)
の中に逃げ込む白い足、鏡の前にも人の
瞳
(
ひとみ
)
の前かのように身を隠す
喉元
(
のどもと
)
、器具の
軋
(
きし
)
る音や馬車の通る音にも急いで肩の上に引き上げられるシャツ、結わえられたリボン、はめられた留め金
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
と障子を明けて覗く、その
喉元
(
のどもと
)
へ、正吉はいきなり刺身庖丁を突っ込んだ
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
喉元
(
のどもと
)
まで叫び声が出たが、彼女はそれを押さえつけた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
裂けた上衣からはあらわな
喉元
(
のどもと
)
が見えていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
喉
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
元
常用漢字
小2
部首:⼉
4画
“喉”で始まる語句
喉
喉笛
喉首
喉輪
喉声
喉頭
喉仏
喉音
喉佛
喉頸