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啄木鳥
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きつつき
ふりがな文庫
“
啄木鳥
(
きつつき
)” の例文
うたた寐の夢を板戸をたたく
啄木鳥
(
きつつき
)
に呼びさまされた。目ざましに香煎をのむ。焚きつけがなくなったので裏へいって杉の葉をひろう。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
その話はわれわれのあいだでは、
雀孝行
(
すずめこうこう
)
という名で知られている。むかしむかし
雀
(
すずめ
)
と
燕
(
つばめ
)
、または雀と
啄木鳥
(
きつつき
)
とは、姉と妹であった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
シコモルの茂みの中には
頬白
(
ほおじろ
)
が騒いでおり、
雀
(
すずめ
)
は勇ましい声を立て、
啄木鳥
(
きつつき
)
はマロニエの幹をよじ上って、樹皮の穴を軽く
啄
(
つつ
)
き回っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
鶯、アカハラ、
啄木鳥
(
きつつき
)
、そのほか名も知れないいろんな小鳥どもが、啼きかはし、椿の密生した間を、仄暗い藪の中をとびまはり、すり拔ける。
南方
(旧字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
啄木鳥
(
きつつき
)
——軽井沢で、ロッヂを
叩音
(
ノック
)
した禽。この松原湖のほとりでは、
亭
(
たか
)
い
橡
(
とち
)
の樹を叩いてゐる。洞にゐる栗鼠を、呼びだしにかかつてゐるらしい。
独楽
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
▼ もっと見る
啄木鳥
(
きつつき
)
が
椋
(
むく
)
の木をつついている。
四十雀
(
しじゅうから
)
が枝をくぐっている。閑古鳥が木の股で
啼
(
は
)
いている。そうして池には蛙がいる。おはぐろとんぼが舞っている。
畳まれた町
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
羅馬人
(
ローマじん
)
は
啄木鳥
(
きつつき
)
の肉を食することを禁じた。エツヂストーン島では殆ど
凡
(
すべ
)
ての
疾病
(
しつぺい
)
は、禁ぜられた樹木の実を食べた為に起つたのだと考へられて居る。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
「
啄木鳥
(
きつつき
)
は頑固だが、怖ろしくない。誰もあんな鳥を恐れはしない。そこで俺は心からすすめる、修道院へ行きな」
マクシム・ゴーリキイの伝記:幼年時代・少年時代・青年時代
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
夏に酔った
蝗
(
いなご
)
どもが、激しい歓びに羽音をたてている。あたりがしいんとなる……。丸くこんもりとした木立の葉影に、
啄木鳥
(
きつつき
)
が怪しい鳴声をたてている。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
時々赤い頭をした緑色の
啄木鳥
(
きつつき
)
が、嘴で虫の食つた木を
啄
(
つつ
)
いて、昆虫を出してたべる仕事の最中に、驚いて叫びながら矢のやうに飛んで行つて了ひました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
あの莫迦な
啄木鳥
(
きつつき
)
の奴め、ああやつて樅のてつぺんまで攀ぢ登つてゆく氣なのかしら、といつた冷淡な調子で、彼はそれらの小鳥をちらりと見やるきりだつた。
巣立ち
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
そしてたいへん慌てながら、
傍
(
わき
)
に化粧をしてゐた、おめかし屋のイソクソキ(
啄木鳥
(
きつつき
)
のこと)にむかつて
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
そこの、寄木細工の
滑
(
なめら
)
かな床の上を、樹の肌を
叩
(
たた
)
いている無数の
啄木鳥
(
きつつき
)
のように、コツコツコツコツと、不思議なリズムをなして、私達の靴音が走っています。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
珍らしや、参詣者か、それとも持子衆か、とのぞいて見れば、人にはあらで、大きな
啄木鳥
(
きつつき
)
! 頭から血を浴びたかと真赤で、青黒い翼にかすり縞。青げらか。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
ただ時折訪れる
啄木鳥
(
きつつき
)
の声の外には、何の物音もなかった世界に、幼い子供の呼声が一つ加わると、何だか急に山が開けたという感じがするのが不思議であった。
雪後記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
啄木鳥
(
きつつき
)
の声が樹林に
木精
(
こだま
)
し、深山にでもいるような気持がする。暮近い、暗い小道の落葉を踏みながら
悒々
(
ゆうゆう
)
と歩いているうちに、急に涙が胸元に突ッかけてきた。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
カリブ人ら何卒獏がどこで果実を拾うかを知らんと勉むれど知り得ず。まず
啄木鳥
(
きつつき
)
に命じ探偵せしめた。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
けれども聽け! だれがそこに隱れてゐるのか? 戸の影に居て、
啄木鳥
(
きつつき
)
のやうに叩くものはたれ? ああ君は「
反響
(
こだま
)
」か。老いたる幽靈よ! 認識の向うに去れ!
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
啄木鳥
(
きつつき
)
である。一羽や二羽でなく、広い野原のあちこちで啼いている。更らにまたそれよりも澄んで暢びやかな声を聞いた。高々と空に翔びすましている鷹の声である。
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
小川が滑るように流れそのせせらぎは人を眠りにいざない、ときたま
鶉
(
うずら
)
が鳴いたり、
啄木鳥
(
きつつき
)
の木を
叩
(
たた
)
く音が聞えるが、あたりに
漲
(
みな
)
ぎる静寂を破る響はそれくらいのものだ。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
神を怖れなかつたソクラテスも、女の舌だけは
身慄
(
みぶる
)
ひして
怖
(
こは
)
がつたといふが、その女のなかで一番皮肉な、
啄木鳥
(
きつつき
)
のやうな舌を持つてゐるのが婆芸者といふ一階級である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
古人、之を「
啄木鳥
(
きつつき
)
の戦法」と云った。即ち啄木鳥が、木中の虫を捕えるとき、穴と反対の側をコツコツと啄き、虫をおどろかして穴から出たところを喰べようと云うのである。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
音ある静かさの間に
啄木鳥
(
きつつき
)
とむささびがかっかっと聞こえ、ちちと聞こえる声を立てる。
フランセスの顔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その木の皮を石で
叩
(
たた
)
きつぶすと、いい匂がしたので、大人たちが、ひるねをしてゐるひるさがりなど、三人で、まるで
啄木鳥
(
きつつき
)
のやうに、木の幹をコツコツと叩いてゐたりしました。
疣
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
啄木鳥
(
きつつき
)
みたいに、蔵六が、牢を指でたたいた。雲霧は這いよって
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
休みなく歌ひながら せつかちに枯木の幹をノックする
啄木鳥
(
きつつき
)
閒花集
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
ものいはぬつれなきかたのおん耳を
啄木鳥
(
きつつき
)
食
(
は
)
めとのろふ秋の日
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
啄木鳥
(
きつつき
)
の木つつき
了
(
お
)
へて去りし時黄なる夕日に
音
(
ね
)
を絶ちしとき
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
秋霧の林の奥の一つ家に
啄木鳥
(
きつつき
)
飼ふと人教へけり
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
その一つは鹿児島県の南の島、
奄美大島
(
あまみおおしま
)
で採集せられたもの、
雀
(
すずめ
)
と
啄木鳥
(
きつつき
)
との姉妹は
奉公
(
ほうこう
)
に出ていて、家に年とった親をのこしていた。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
唇
(
くちびる
)
の裂けたシャカバクや、おしゃべりの理髪師や、カスガールの小さな
佝僂
(
せむし
)
などを、たしかに知ってる気がしたし、また、宝捜しの男の魔法の木の根をくわえてる黒い
啄木鳥
(
きつつき
)
を
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
金色の翼の
啄木鳥
(
きつつき
)
は紅のとさかと、幅のひろい黒い
喉当
(
のどあ
)
てと、すばらしい羽毛をつけている。
連雀
(
れんじゃく
)
は、翼の先が赤く、尾羽の先は黄色く、羽毛は小さな鳥打ち帽のようだ。それから、かけす。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
忍冬
(
すいかずら
)
や昼顔の酔うような
香
(
かお
)
りが、快い美妙な毒のように四方から発散していた。枝葉の下に眠りに来る
啄木鳥
(
きつつき
)
や
鶺鴒
(
せきれい
)
の最後の声が聞こえていた。小鳥と樹木との
聖
(
きよ
)
い親交がそこに感じられた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
焦
(
じ
)
れッたそうに、またコツコツと、
啄木鳥
(
きつつき
)
のような音をさせ
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋霧や林のおくのひとつ
家
(
や
)
に
啄木鳥
(
きつつき
)
飼ふと人をしへけり
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
下草のすすきほうけて光りたる枯木が原の
啄木鳥
(
きつつき
)
の聲
みなかみ紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
しかしとにかくに親の死に目に逢った逢わぬという話は、不思議に全国に弘く行われている。我々の知っている最も普通の形では雀と燕と
啄木鳥
(
きつつき
)
の三兄弟となっている。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
林檎
(
りんご
)
樹からは熟した果実が濡れ草の中に落ちていた。
樅
(
もみ
)
の枝に張られた
蜘蛛
(
くも
)
の巣はまだ雨滴に輝いてミュケナイの馬車の古風な車輪に似ていた。濡れた森の縁には
啄木鳥
(
きつつき
)
の鋭い笑声が響いていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
啄木鳥
(
きつつき
)
かしら? それとも、
狐
(
きつね
)
かな?」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
啄木鳥
(
きつつき
)
こつ、こつ。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
親に不孝な鳥という昔話なども、
鳶
(
とび
)
・
燕
(
つばめ
)
・
啄木鳥
(
きつつき
)
その他多くの鳥類に
行
(
いき
)
わたって、ただ啼き声だけが変った点であることは、雲雀や水恋鳥の馬を殺した話も同じであった。つまりはかの
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
啄
漢検準1級
部首:⼝
10画
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
鳥
常用漢字
小2
部首:⿃
11画
“啄木”で始まる語句
啄木