“咥:くわ” の例文
“咥:くわ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治30
室生犀星6
海野十三5
蘭郁二郎4
山本周五郎2
“咥:くわ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.8%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
すると、煙管きせるくわえて、今まで黙然もくねんとしていた久米一が不意にって、百助の腰をドンと蹴飛ばした。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
氏神うじがみのお子ぞ。お日様の生かしている人間じゃぞよ。何で、物に指をくわえて、物の下にひしがれてよいものぞ。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
い物を看附けたと言いそうなかおをして、其をくわえ出して来て、首を一つると、草履は横飛にポンと飛ぶ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その嘆息ためいきを聞けば、無理もない。火をくわえている鳥と、慈母の珠とを、この男は、取り替えてしまったのである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小酒屋めかした野天の腰かけ板へ、濁酒どぶろくと串焼をもらって、その串ザシの肉をくわえて、串をぽんと捨てながら。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
役人でも来たのかと、巻ぞえを食って驚いた夜鷹も、それと共に手拭をくわえながら、ウロウロと近くの路地へ駈け込んだ。
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
媚汁びじゅうをたたえた毒草のお甲ほどにはまだすさんでいないまでも、危険な火をくわえて飛んでいる鳥だった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立ちあがって、手についた砂ほこりをたたいて払い、ゆるんだほおかむりの手拭てぬぐいを口にくわえた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
と、木剣が一つ、犬のかたい頭に石を打ったような音をさせると、猛犬は、城太郎の背へかぶりつき帯をくわえて、彼の体を振り飛ばした。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小さい雛鳥は、よちよちと親鳥のそばにまつわりついて遊んでいた。餌をやると、すぐ自分の子供の方へくわえては持って行くのであった。
或る少女の死まで (新字新仮名) / 室生犀星(著)
トム公は、そこにあったピンヘットを一本抜いて、燐寸マッチをすると、すぱッと美味うまそうに口へくわえた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村民は、清水を汲んで、陣地へにないこんでいた。いもを煮ていた。餅をついていた。馬も、草や人参にんじんくわえていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに懸巣の眼は円くて睨み続けているように美しい、何時か眉の毛を一本籠の中に入れたら、すぐ下りて来てくわえた程眼が利くのである。
人真似鳥 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
しかし桔梗河原この方一層傲慢ごうまんの度が高まっている京極家が、そのまま指をくわえて引っ込む筈がない。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほう、君の手に持っているのは、映画台本なのかネ」検事はパイプを口にくわえたまま、帆村の方に近よった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
蒲原にタバコをとらせ、自分もくわえ、火をつけて、煙をふかく吸いこみながら、なおカンヴァスから目をはなさずにいたミチェンコは、突然、
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
と、一疋いっぴきの大きな猫がどこから来たのかつうつうと入って来て、前の膳の上に乗っけてあった焼肴やきざかなの残り肴をくわえた。
皿屋敷 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
化物刑部が叩き出した青二才を、てめえはここへくわえこんだろう。たしかに見たという者がある。——三平の声で、そんな言葉も聞えて来た。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——追い立てられるように非常ベルは鳴ったけれど、李鴻章だけは、水煙管をくわえたまま、吃驚びっくりした表情もあらわさなかった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目は開いてはいられず、動悸がはげしく打って、重病人になったような気がしてならなかった彼はゴム管をくわえて、水を吸う元気さえなかった。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
座敷着ざしきぎを代えて、黒っぽい着物のすそを折り、髪もくずして、手拭の耳をくわえていた。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひらりっと、愛縄堂の中へ駈けこんだ老先生は、若者のごとく、はかま股立ももだちをからげ、むちくわえて、そこから走りだした。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と叫んだり転げたりする者の尻を狙って、撲る者があるし、突く者があるし、また、左の頬から右の頬へ槍を突きとおして、槍をくわえられたと思い、
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
指をくわえながらチビは前へ出て来た。そして藤吉郎の手から菓子をもらうと、逃げるように戻ってゆく。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すそをからげ、藁草履わらぞうりを足に結えて、男の足におくれまいと唇をくわえて急ぎながら。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
と、刀のさきの饅頭をくわえて食べた——などという話がある。ともかくこんな行為も、信長から観て、
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つづいて新九郎も、血刀をくわえて跳び降りた。隣も同じような割烹梅茶亭という家で、そこは、池泉、燈籠、築山などの数寄をこらした広い庭だった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
突然、すてはにささった竹の火箸ひばしを手に取ると、唇にくわえこんだと見る間に、あろうことかばりばりと上と下の白い前歯で噛み砕いた。
玄竜はようやく三叉に岐れたところまで出て来ると、ゆっくり「みどり」を一本取り出してくわえ、辺りを見廻しつつ不機嫌そうに何かをぶつくさ呟いた。
天馬 (新字新仮名) / 金史良(著)
右手に花簪を、左手に手提鞄を抱えて、帽子をシッカリと口にくわえた私は、そんなに息切れもしないうちに、グングンと追跡者を引き離してしまいました。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこで梅野十伍は、左手を伸ばして缶の中から紙巻煙草ケレーブンを一本ぬきだし口にくわえた。
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私はタバコを渡し、マッチを渡した。老人はタバコを一本抜いて口にくわえ、風をよけながら巧みに火をつけると、タバコとマッチの箱をふところへしまった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ひょいと見ると、かれの正面の××館の看板絵にもなまなましいペンキ絵の女の顔が、するどく光った短刀をくわえて、みだれた髪のまま立っているのであった。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
泣くように、朱実はもがいた。犬の口は、大きく開いて、彼女の左の二の腕をくわえていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。お、お、落ちていました。そして、ど、ど、ど、どこかの犬がくわえて歩いていましたから、そ、そ、それを取り返して、ま、ま、窓へかけておいただけです」
錯覚の拷問室 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
このとき村松検事はパイプをくわえたまま、ニヤリニヤリと人の悪そうな笑いをうかべ、
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
木挽町こびきちょう五丁目辺の或る待合まちあいへ、二三年以前新橋しんばし芸妓げいぎ某が、本町ほんちょう辺の客をくわえ込んで、泊った事が有った
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
その時、すての顔色が突然紫色に変わり次にその唇を二つに割られたときに、貝はそこに永いくちづけをしたが、すてはその間際に殆ど無意識になにかをくわえこんだ。
お稲はほつれ毛の顔をうつ向けて、髪にのせた手拭てぬぐいの端をくわえていた。
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火縄ひなわを口にくわえ、一人は二度目の弾込たまごめをしているらしい。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
気づいたのはそのときで、守時の首は一通のふみをかたくくわえていた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
博士の言葉に、四人は籐椅子の上に落着いた。博士はパイプをくわえた。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
私は、果してそれを、口にくわえて吸うのかしら、と錯覚した位である。
脳波操縦士 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
すかさず追蒐おっかけて行って、又くわえてポンとほうる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『何だと、俺たちを尾行つけて来たって。……はははは、呆れけえった男だ、おれとお可久と、こうして仲よく旅立つ姿を見ても、腹も立たずに、指をくわえて、後から見ていたのか』
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その瞬間、黒吉の頭には、衣裳部屋で、葉子が忙しそうにこの煎餅をくわえていた光景と、それにつづいてクロオズアップされた、彼女の、あの可愛い紅唇くちとが、アリアリと浮んだ。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
私はすこし変な気がしてくると巻煙草まきたばこを口にくわえた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
彼の口には、いつの間にかマドロス・パイプがくわえられていた。
断層顔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
闇が、くわえ込むように、小袖はすすすと、丁字ちょうじの葉蔭へ、うごいて行った。——内儀は、さっきから、見まいとしているそこの物に、また、慄然りつぜんとして、唾をのんだ。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、八弥は煙管きせるくわえながらかがごしに、
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、無意識な手つきでからのパイプを口にくわえた。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
と、いいながら指をくわえてぴゅーと一声口笛を吹いた。
五つになる女の子は、卵とじのどんぶりをかかえ、しきりに汁をはねかしながら、蕎麦を喰べるのに熱中してい、年が明けると二歳になるという下の女の子は、母親に抱かれて乳をくわえていた。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
羊の肉片など投げてやるとさっと飛んで来て口にくわ
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
だが彼は指を口にくわえたまま足元ばかり眺めていた。
光の中に (新字新仮名) / 金史良(著)
杜はポケットの底を探って一本の煙草を口にくわえた。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ただ指をくわえて見ているよりほかに仕方がなくなる。
顧みると、京都以来、吉岡家の問題を挟み、また、火をくわえて彷徨さまよって歩くような朱実あけみという女性を挟み、今また、本位田家のお杉ばばという者を、その喰いちがいの感情に挟んで
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ここへさえ、火をくわえた鳥が訪れたことがある」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女は犬にくわえられた鳥のように暴れ回った。
猟奇の街 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
私も、さり気なく答えて、又タバコをくわえた。
腐った蜉蝣 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
とびが一羽、人混みの中から、何かくわえて高く上がってゆく。——又八は赤くなっていた、そしてふと、(そうだ、おれは石曳きする時に酒はめると誓ったのだが、いつから飲み始めてしまったろう)
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
針屋は、小鳥の串を、横にくわえながら、
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羽子板を犬くわへ来し芝生しばふかな
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
と、長刀なぎなたの振幅いッぱい師直をはすぎ上げた。が、それはあごをかすめ、師直は馬と共に刎ね躍ッて次の刹那せつなに肩から胸へ長刀の光をくわえ込むやいな絶叫を吐いて落馬していた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天狗が火をくわえて飛ぶ。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、指をくわえて」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
パイプをくわえるもの
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
然し、どっちにしても、かねがねのまま指をくわえて黙視もくししては居まいと考えていた大牟田公平が、出府して、自分たち夫婦の居所を突きとめているからには、これはもう、無言の果し状をつけられているのも同様である。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
得意げにその兵士の舟の上を旋回せんかいしていたら、ひとりのいたずらっの兵士が、ひょうと矢を射てあやまたず魚容の胸をつらぬき、石のように落下する間一髪、竹青、稲妻いなずまの如く迅速に飛んで来て魚容の翼をくわ
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
まさか野良犬がくわえて行ったのでもあるまいがというので色々調べて見ましたら既に車庫に廻されていたその轢いた電車の車輪の一つを、そのてのひらだけの手袋のような手で、シッカリ握っていた——実にこわかったそうです。
(新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
小粒で二両入っていたという与七の紙入は、往来か銭湯か、横町の師匠のところで紛失なくし、お今の足袋は犬でもくわえて行ったとすると、この家で無くなった品で本当に発見されないのは、用箪笥の鍵と、お文の櫛と、たった二つだけになります。
彼はやはり袖なしの半纏をひっかけ、雪駄ばきで、口に飴をくわえ、飴に付いている杉箸すぎばしのような物を、両手で挾んでくるくる廻しながら、いかにも暢気のんきそうな、この世に心配なことはなにもない、と云いたげな顔つきで、ふらふらと歩いて来た。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「また秦の始皇が大きな鯉と寝て風邪をひいたという話でしょう、それなら何遍も聴いたよ、それでなきゃ唐の姫達が一疋ずつ金魚を口にふくんで、皇帝の穏座おんざを飾ったという話だろう、うまいことを考えついたものだね。金魚をくわえて伺候するなんてね。」
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ゆうべは、二階の四畳半で、どたんばたん、呶鳴どなり声がしたり、すすり泣きが聞こえたり、だいぶ厄介事やっかいごと階下したで案じていたら、朝、ふさ楊枝ようじくわえて下りてきた露八は、このごろ、やっと結えるくらいに伸びた頭の毛を撫でながら、
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
誰袖源七何じゃいな、あれは曲輪くるわの重ね餅、指をくわえてエエくやしい、とこんなに言いはやしている位の仲でござりますゆえ、今も六兵衛どんにそれとなく聞きただして見たのでござりまするが、それ程の深い仲なら添わせてやらないものでもなかったのに
思うに、奸智かんちにたけたあの猿めに、うまうまたばかられたものでおざろう。しかし、信雄卿はともあれ、徳川どのまで、そのに乗って、おめおめ秀吉の下風かふうにつき、秀吉が私慾を天下にほしいままにするのを、指をくわえて、見ているという法はござるまい。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その後秋山徳蔵に会ったとき、このことを言ったら『いやそんなはずはない、ずいぶん広いはんいの物はさしあげている。ただ片手に箸、片手で茶漬茶わんをおいたその指でマル干シの尻尾をつまんでくわえるといったようなマル干シはさし上げていないだけのことだよ』と、弁明していた。
舌のすさび (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見るも浅ましき人非人にんぴにんども、なんの面目あってこれへ来たか。ひとたび窮すれば、関羽を呉へ売り、ふたたび窮すれば、呉を裏切って馬忠の首をくわえ来る。その心事の醜悪、行為の卑劣、犬畜生というもなお足らぬ。もし汝らをゆるさば百世の武門をすたらし、世の節義は地にえるであろう。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何しろ、あんなお坊さまは、今の世にはありませんな。寺へ、隠し売女をおいて、遊女屋のお株をとったり、うまい手づるをつかんで、大奥の女中衆でもくわえこんで、入れ上げさせよう——といったような色坊主ばかりが多いんですからなあ。同苦さまのような上人がもし十人も世間にいたら、どんなに世の中が明るくなるかもしれやしません」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)