のみ)” の例文
我身に罪は無しとは云え、いずれとも免れぬ場合、いさぎよく伏罪し苦しみを短かくするにくなしと無念をのみ断念あきらめし者ならぬか
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
のみ足を投出し居るに九郎兵衞是を見て嗚呼御前おまへうらやましいわしは今此湖水こすゐに身を投やうか此帶で首をくゝらうかと思ひ居たりと云ふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(仙台政宗の歌に、山あひの霧はさながら海に似て波かときけば松風の声。)一里三十丁細久手ほそくて駅。此近村に一のみの清水といふあり。由縁いうえんつまびらかならず。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
突拍子とっぴょうしもない話である。日本人の名誉にかかわるとはいかなる事件が起きたのか、私には皆目かいもくのみこめない。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
此の頭三三八何ばかりの物ぞ。此の戸口に充満みちみちて、雪を積みたるよりも白くきら々しく、まなこかがみの如く、つの枯木かれきごと、三たけ余りの口を開き、くれなゐの舌をいて、只一のみに飲むらんいきほひをなす。
むかし、「う」のおかあさんが子供こどもとき近所きんじよ火事くわじがあつたんで、たべかけてゐたさかなを「うのみ」にしてにげだしたさうです。ほんとだかどうだかりません。うそだとおもつたら先生せんせいいてごらん。
定めて定めて二人そろつて甲斐性かひせうのある親をば持つてゐるのであろ、私が息子の与太郎よたらうは今日の休みに御主人から暇が出て何処へつてどんな事して遊ばうとも定めし人がうらやましかろ、ととさんはのみぬけ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のみまゐらする
猟奇歌 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
始めけるが又隣座敷となりざしきに是も江の島へ參詣さんけいと見えて藝妓二三人を引連ひきつれ陽氣やうきに酒をのみたるに重四郎が同道どうだうしたる者皆々心安こゝろやすていにて彼是聲など懸合ふゆゑ樣子やうす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さだめてさだめて二人ふたりそろつて甲斐性かひせうのあるおやをばつてるのであろ、わたし息子むすこ與太郎よたらう今日けふやすみに御主人ごしゆじんからひま何處どこつてんなことしてあそばうともさだめしひとうらやましかろ、とゝさんはのみぬけ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぐびり/\と飮居たりしが今半四郎が胴卷どうまきより錢を出し酒飯のだいを勘定する處をじろりと見るに胴卷には彼のたのまれたる金子五十兩へびかへるのみし樣に成て有ければ雲助共眼配めくばせを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)