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ていねい
ふりがな文庫
“
叮寧
(
ていねい
)” の例文
それに、其の態度が
如何
(
いか
)
にも自信に充ちていて、言葉こそ
叮寧
(
ていねい
)
ながら、どう見ても此方の頤使に甘んずるものとは到底思われない。
南島譚:01 幸福
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
屹
(
きっ
)
となりてばたばたと内に
這入
(
はい
)
り、金包みを官左衛門に打ち附けんとして心附き、坐り直して
叮寧
(
ていねい
)
に返す処いづれも
尤
(
もっとも
)
の仕打なり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
二時ごろに、
昨夜
(
ゆうべ
)
の
医師
(
いしゃ
)
が来て診て行った。医師は首を
傾
(
かし
)
げながら、
叮寧
(
ていねい
)
な診察のしかたをしていたが、別に深い話もしなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
聞
(
きゝ
)
上州より
誰
(
たれ
)
も來る
筈
(
はず
)
なし
偖
(
さて
)
は吉三郎
尋
(
たづ
)
ね來りしならん
此方
(
こなた
)
へ
通
(
とほ
)
せとて吉三郎に
對面
(
たいめん
)
し其方は
何用
(
なによう
)
有
(
あ
)
りて來りしやと云に吉三郎は
叮寧
(
ていねい
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「や、これはこれはご
叮寧
(
ていねい
)
に……」老師は微笑を
湛
(
たた
)
えながら衛兵達へ挨拶したが、隊長と覚しい一人の武士へ慣れ慣れしい口調で話しかけた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
すでに序説のところでかなり
叮寧
(
ていねい
)
に触れてきたところであるが、今や和歌文学は、この対立を融合させることによって
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
「さあ、どうかお入り下さい。」と
叮寧
(
ていねい
)
に云うものですから、その通り一足中へはいりましたら、全く
愕
(
おどろ
)
いてしまいました。そこは
玄関
(
げんかん
)
だったのです。
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
去る時に彼女は二階へ上って来て、わたしの
椅子
(
いす
)
の下に手を突いて、
叮寧
(
ていねい
)
に
暇乞
(
いとまご
)
いの挨拶をした。彼女は
白粉
(
おしろい
)
を着けて、何だか派手な帯を締めていた。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この頃になっては
猶更
(
なおさら
)
奥へ寄り付かなかった。逢うと、
叮寧
(
ていねい
)
な言葉を使って応対しているにも
拘
(
かか
)
わらず、腹の中では、父を
侮辱
(
ぶじょく
)
している様な気がしてならなかったからである。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのとき一人の男がおぢいさんの前へ来て、
叮寧
(
ていねい
)
にお辞儀をして申しました、——
拾うた冠
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
それから船長は白いハンカチで唇のまわりを
叮寧
(
ていねい
)
に
拭
(
ふ
)
いた。ソロソロと立ち上って伊那少年を見下した。伊那少年も唇を真白にして、涙ぐんだ
瞳
(
め
)
を一パイに見開いて船長の顔を見上げたもんだ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「また
溜
(
た
)
めて
置
(
お
)
いておくんなせえ」
今度
(
こんど
)
は
少
(
すこ
)
し
叮寧
(
ていねい
)
にいひ
捨
(
す
)
てゝ
去
(
さ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
教師としての二葉亭は極めて
叮寧
(
ていねい
)
親切であって、諸生の頭に徹底するまで反覆教授して少しも
倦
(
う
)
まなかった。だが、それよりもなおヨリ多く諸生を心服さしたのは二葉亭の鼓吹した学風であった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
怪物は
叮寧
(
ていねい
)
な言葉で、絶えず
微笑
(
ほほえみ
)
を浮べながら、事もなげに説明する。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
叮寧
(
ていねい
)
に頭を下げた放浪者は静かに上衣の
釦
(
ボタン
)
をかけて立上った。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
臙脂屋は涙を収めて
福々爺
(
ふくふくや
)
に
還
(
かえ
)
り、
叮寧
(
ていねい
)
に
頭
(
かしら
)
を下げて
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
先方の男は
叮寧
(
ていねい
)
な言葉でいった。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
車掌が手を出しているもんですから何でも構わない、やっちまえと思って渡しましたら、車掌はまっすぐに立ち直って
叮寧
(
ていねい
)
にそれを開いて見ていました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
しばらくしてから、女は銚子を持ちあげて見て、「お酒はもう召し
食
(
あが
)
りませんか。」と
叮寧
(
ていねい
)
な口を利く。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「大変残念なことです」と
叮寧
(
ていねい
)
な言葉で、第三者のことをいうような言い方をするのである。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
これは
逞
(
たくま
)
しい
毬栗坊主
(
いがぐりぼうず
)
で、
叡山
(
えいざん
)
の
悪僧
(
あくそう
)
と云うべき
面構
(
つらがまえ
)
である。人が
叮寧
(
ていねい
)
に辞令を見せたら見向きもせず、やあ君が新任の人か、ちと遊びに
来給
(
きたま
)
えアハハハと云った。何がアハハハだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
などと云って兄は一つ一つ
叮寧
(
ていねい
)
に穴を覗いたり、透かして眺めたり致しました。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
老人
(
としより
)
も子供もあった。お庄は一々それらの人に、
叮寧
(
ていねい
)
に挨拶をしてから、自分ら夫婦のに決められた奥の部屋へ導かれた。芳太郎はちょうど湯に行っているところであった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
南海の騎士を以て任ずるサモア人の間に在って、之は許すべからざる暴行である。此の首だけは、最上等の絹に包まれ、
叮寧
(
ていねい
)
な陳謝状と共に、早速、マリエへ送り返されたそうだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ネネムはよろこんで
叮寧
(
ていねい
)
におじぎをして先生の
処
(
ところ
)
から一足退きますと先生が低く
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それでも三度目に其処へとまりに来たら、それは其処で戦死した者の魂と
見做
(
みな
)
される。女は其の虫を
叮寧
(
ていねい
)
に捕え、家に持帰って
祀
(
まつ
)
るのである。こうした傷心の風景が随処に見られた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
婆さんを紹介されると、笹村は、「どうぞよろしく。」と
叮寧
(
ていねい
)
に会釈をした。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
婦人たちはみんなひどく
激昂
(
げっこう
)
していましたが何分相手が異教の論難者でしたので
卑怯
(
ひきょう
)
に思われない為に誰も異議を述べませんでした。シカゴの技師ははんけちで
叮寧
(
ていねい
)
に口を
拭
(
ぬぐ
)
ってから又云いました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
台所から、料理が持ち込まれると、耳の遠い婆さんが、やがて一々
叮寧
(
ていねい
)
に拭いた
膳
(
ぜん
)
の上に並べて、それから見事な
蝦
(
えび
)
や
蛤
(
はまぐり
)
を盛った、竹の色の青々した引物の
籠
(
かご
)
をも、ズラリと茶の
室
(
ま
)
へならべた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
落ちついて
祭壇
(
さいだん
)
に立ってそれから
叮寧
(
ていねい
)
にさっきのマットン博士に
会釈
(
えしゃく
)
しました。博士はたしかに青くなってぶるぶる
顫
(
ふる
)
えていました。その信者は次に式場全体に
挨拶
(
あいさつ
)
しました。
拍手
(
はくしゅ
)
は強く起りました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その風に半分声をとられながら、ガドルフは
叮寧
(
ていねい
)
に
云
(
い
)
いました。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
助手は囲いの出口をあけごく
叮寧
(
ていねい
)
に云ったのだ。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
叮
漢検1級
部首:⼝
5画
寧
常用漢字
中学
部首:⼧
14画
“叮”で始まる語句
叮嚀
叮重
叮
叮頭
叮嚀懇切