刺史しし)” の例文
玄機が刑せられる二年前に、温は流離して揚州ようしゅうに往っていた。揚州は大中十三年に宰相をめた令狐綯が刺史ししになっている地である。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
これなん先頃から洛陽郊外の澠池べんちに兵馬をめたまま、何進が再三召し呼んでも動かなかった惑星わくせいの人——西涼せいりょう刺史しし董卓とうたくであった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みん王審知おうしんちはかつてせん州の刺史しし(州の長官)でありましたが、州の北にある桃林とうりんという村に、唐末の光啓こうけい年中、一種の不思議が起りました。
もつともいとけなしといへども、のちおのづから設得まうけえんと。はたせるかなひととなりて荊州けいしう刺史ししとなるや、ひそか海船かいせんあやつり、うみ商賈しやうこ財寶ざいはう追剥おひはぎして、とみいたすことさんなし。のち衞尉ゑいゐはいす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そうだ、君がたが、こぞって官界へ出て行けば、きっと刺史しし(州の知事)か郡守ぐんしゅ(郡の長官、即ち太守たいしゅ)ぐらいには登れるだろう」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
支那しな全國ぜんこくだうわかれ、だうしうまたぐんわかれ、それがけんわかれ、けんしたがうがありがうしたがある。しうには刺史ししひ、ぐんには太守たいしゆふ。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
李宗りそうが楚州の刺史しし(州の長官)となっている時、その郡ちゅうにひとりの尼がありまして、ある日、町なかをあるいていると、たちまち大地に坐ったままで動かなくなりました。
とき方國沴氏はうこくてんし眞四角まつしかく先生せんせいにて、すなはち明州みんしう刺史ししたり。たちまそうとらへてなじつていはく、なんぢなんせいぞ。おそる/\こたへいはく、竺阿彌ちくあみまをしますと。方國はうこくそうをせめていはく、なんぢ職分しよくぶんとしてひとまよひみちびくべし。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「しかも、漢室の宗族のうちにこの人があろうとは、正に、天佑ではないか。見たまえ、ご列親のうちに予州よしゅう刺史しし劉玄徳りゅうげんとくの名があるではないか」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
襄陽では、温は刺史しし徐商じょしょうもとで小吏になって、やや久しく勤めていたが、つい厭倦えんけんを生じてめたのである。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それがためか、先生は大臣にも大将にもなれず、ついに柳州の刺史ししをもって終った。
それから程なく、西涼の太守馬騰ばとうと、并州へいしゅう刺史しし韓遂かんすいのふたりは、十余万の大軍をあわせて、「朝廟ちょうびょうの賊を掃討せん」と号して長安へ押しよせて来た。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜかとふと、りよ台州たいしう主簿しゆぼになつてゐたとつたへられてゐるのに、新舊しんきう唐書たうしよでんえない。主簿しゆぼへば、刺史ししとか太守たいしゆとかふとおなくわんである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
不問に終ったのみか、かえって顕官の地位を占めて、今では西涼の刺史しし、兵二十万の軍力をさえ擁していた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主簿といえば、刺史ししとか太守とかいうと同じ官である。支那全国が道に分れ、道が州または郡に分れ、それが県に分れ、県の下に郷があり郷の下に里がある。州には刺史といい、郡には太守という。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
やはり劉琦君りゅうきくんをお立てになることでしょう。ご病体ですからこの荊州の城に置かれて、旧臣をよび迎え、また都へ表を上せて、琦君を荊州の刺史ししに封じておあげなさい。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「陳宮、こんな雑兵じゃ仕方がないが、もっと有力な諸州の刺史しし、太守などが集まるだろうか」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山陽鉅鹿きょろくの人で李典りてんあざな曼成まんせいという者だの——徐州の刺史しし陶謙とうけんだの——西涼せいりょう太守たいしゅ馬騰ばとうだの、北平ほくへい太守の公孫瓚こうそんさんだの——北海の太守孔融こうゆうなんどという大物が、おのおの何千
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかるに、汝は涼州の一刺史しし、国家に一寸の功もなく、ただ乱隙らんげきをうかがって、野望を遂げんとし、みだりに帝位の廃立を議するなど、身のほど知らずな逆賊というべきである。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以前、それがしと共に、涼州の刺史ししをつとめていた者で、韋康いこうという人物があります。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その出陣にあたって、兗州えんしゅう刺史しし金尚きんしょう
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)