停車場ステイシヨン)” の例文
今夜遅く伯林ベルリンに赴く三浦財部たからべの二学士を始め久しく船中の生活を共にした永島事務長や牧野会計が停車場ステイシヨンへ見送りに来てれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
實際じつさいかれ驛員えきゐんごゑに、停車場ステイシヨンいて心得こゝろえたので。そらやまも、あまりの色彩いろどりに、われはたして何處いづこにありや、とみづかうたがつてたづねたのであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分は僅か三四時間の道をさながはてのない絶望の國へ流されて行くやうな心持で、漸く國府津の停車場ステイシヨンにつき、其れからは又極めて進行の遲い電氣鐵道に乘つた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
叔母を送つて好摩の停車場ステイシヨンに行つた下男と下女は、新しい一人の人物ひとを小川家に導いて帰つた。それは外ではない、信之の次男、静子とは一歳劣ひとつおとりの弟の、志郎といふ士官候補生だ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
停車場ステイシヨンつたツて切符を買ふ手当てあてもありませんから、いまにかへりませうと待つたが、かへつてねえ、ところで悪い顔もしず、御飯ごはん世話せわからとこ揚下あげおろしまで岩田屋いはたやさん御夫婦ごふうふくださるんだが
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
荒野あらのの中の小き停車場ステイシヨン
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
自分達の汽車は午前六時にチヤアリング・クロスの停車場ステイシヨンへ着いた。折しく日曜の朝なので倫敦ロンドンの街は皆戸を締めて死んだ様に寝て居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
一體いつたいは、すぐにもいてしまはずなんですが、生憎あいにく何處どこ停車場ステイシヨンにも暖爐ストオブ時分じぶん茶屋小屋ちややこや火鉢ひばちにほはすと、いた一端ひとはし燒切やけきらないうちに、ぎつけられて、あやしまれて
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一同先へ出發して呉れたか知ら、もし空しく待つて居るやうな事があつては其れこそ申譯がない。とにかく新橋の停車場ステイシヨンまで行つて見るつもりで、自分は命じた車に乘つて急いでうちを出た。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
停車場ステイシヨンに居た老人のボオイが親切に案内してれたので、ぐ横町にだ一軒起きて居た喫茶店カツフエはひつて顔を洗ふ事が出来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
つた留守るすか、ものごし氣勢けはひもしないが、停車場ステイシヨンからくるまはしらした三にんきやくの三にん其處そこに、とおもつて、ふか注意ちういした、——いま背後うしろつた——取着とツつきの電燈でんとううち閉切しめきつた、障子しやうじまへ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)