作法さはふ)” の例文
シイトの薄萠黄うすもえぎの——もつとふるぼけてはたが——天鵝絨びらうどしきりを、コチンとまどげると、紳士しんし作法さはふにありなしは別問題べつもんだいだが、いゝ頃合ころあひまくらる。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たづぬるにもと大和國やまとのくに南都なんと春日かすが社家しやけ大森隼人おほもりはいとの次男にて右膳うぜん云者いふものありしが是を家督かとくにせんとおもひ父の隼人は右膳に行儀ぎやうぎ作法さはふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ちながらはかますそんで蹌踉よろけてはおどろいた容子ようすをして周圍あたりるのもあつた。ういふ作法さはふをも見物けんぶつすべては熱心ねつしんらしい態度たいど拜殿はいでんせまつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ヂュリ 巡禮じゅんれいどの、作法さはふかなうた御信仰ごしんかうぢゃに、其樣そのやうにおッしゃッては、そのいかァいどく聖者せいじゃがたにも御手みてはある、その御手みてるゝのが巡禮じゅんれい接吻禮キッスとやら。
べつ特別とくべついたむわけでもなく外面ぐわいめんからも右足うそく膝關節しつくわんせつは、なんの異常いじやうもなかつたのであるけれども、自由じいう曲折きよくせつ出來できないめに、學校がくかうでは作法さはふ體操たいさうやすまなければならなかつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
わしとても、體裁ていさいつくり、そなことをひはせぬ、とひたいは山々やま/\なれど、しき作法さはふは、もうおさらば! もし、わし可愛いとしうおもうてくださるか?「うん」と被言おッしゃるであらうがな。
召捕めしとり拷問がうもんに及びし事夫は本田家ほんだけ作法さはふなるや政事せいじは大小有とも法は天下の法なり人のみちは天下の道なり道と法とは私しにくらますべからず然るに其の方の如きが裁許さいきよ不穿鑿ふせんさくは云までもなく法外の裁斷さいだんと申すべし其の方も領主の公事くじ決斷けつだん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
達したり然る上は如何樣にもところ作法さはふ通りに行はれよと少もわるびれず答ければ村役人共然らばしばらひかへ給へとて當所の名主又品川宿の役人共も立合たちあひ一同評議ひやうぎの上當所の御代官だいくわんへ訴へければ早速さつそく役人中出張しゆつちやうあり敵討かたきうちてい見分けんぶんあり先友次郎等三人は御沙汰ごさた有迄あるまで名主方にひかへ居べしとて番人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)