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仮髪
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かつら
ふりがな文庫
“
仮髪
(
かつら
)” の例文
旧字:
假髮
狸の面、と、狐の面は、差配の
禿
(
はげ
)
と、
青月代
(
あおさかやき
)
の
仮髪
(
かつら
)
のまま、饂飩屋の
半白頭
(
ごましおあたま
)
は、どっち付かず、
鼬
(
いたち
)
のような面を着て、これが鉦で。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此処の実業界の
重鎮
(
じゅうちん
)
には
仮髪
(
かつら
)
を
被
(
かぶ
)
っている
禿頭
(
はげあたま
)
がある。用意周到な男で、刈り立てのと十日伸びのと二十日伸びのを持っている。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この
仮髪
(
かつら
)
は髪の毛で作られたものであろうが、しかしそれよりもまるで絹糸か硝子質の物の繊維で紡いだもののように見えた。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
思い出させます。あなたがここへ入って来られた時には、私は自分の
仮髪
(
かつら
)
を賭けて言うが、それ以上のことを心に思っておられたのでしょう。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
この
仮髪
(
かつら
)
で押し通して、誰にも怪しまれることがなく、それに夜分、宿へ帰って寝る時だけが、少々黒ずんだ顱頂部を現わすだけのことです。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
がこの
家
(
うち
)
の陰険な先祖の
仮髪
(
かつら
)
をかぶった蒼白いフフンというような顔が一つ二つ古色蒼然たる画布の中から
見下
(
みおろ
)
していた。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
そして
剃刀
(
かみそり
)
と
仮髪
(
かつら
)
とさえあれば人間の
顔貌
(
がんぼう
)
は変えられると云うことを考え合せると、私はその二人が同じ人間であると疑わざるを得なかったのです。
株式仲買店々員
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
それから、
薔薇
(
ばら
)
の花で飾った帽子を取って、髪粉を塗った
仮髪
(
かつら
)
をきちんと刈ってある
白髪
(
しらが
)
からはずすと、
髪針
(
ヘヤピン
)
が彼女の周囲の床にばらばらと散った。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
「ええ、最近に
仮髪
(
かつら
)
師を一人拾いましてな。ちょっとした端役もやりますんで、それに、浅尾為十郎という、ど
偉
(
えれ
)
え名をくっつけましたんですが……」
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それで、彼の記述によると、「おなかが丸見えになる」さて、着付けは、あとは赤い
仮髪
(
かつら
)
で完璧なものとなる。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
上になり下になり揉み合っている
中
(
うち
)
に万平の
仮髪
(
かつら
)
も手拭も皆飛んでしまった。万平は
破鐘声
(
われがねごえ
)
の悲鳴を揚げた。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
糸鬢奴
(
いとびんやっこ
)
の
仮髪
(
かつら
)
を見せ、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
に白鷺の飛ちがひし
襦袢
(
じゅばん
)
の
肌脱
(
はだぬぎ
)
になり
裾
(
すそ
)
を両手にてまくり、緋縮緬のさがりを見せての見えは、眼目の場ほどありて、よい心持なり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
あらゆる参考図書は
固
(
もと
)
より、ペン、インキ用箋の文房具、化粧箱、各種の衣服を始めとして、
仮髪
(
かつら
)
、
附鬘
(
つけかつら
)
の類から、
種々
(
いろいろ
)
の装身具小道具まで巧みに隠してあった
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
老人は木の間から洩れて来る日光に浴しながら、
仮髪
(
かつら
)
の縫ひとりをしてゐるらしく見えました。
首相の思出
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
あんなに
僧侶
(
そうりょ
)
らしくひらひらした衣服を着て、あんなに念入りに髪粉をつけた、あんなにいかめしい、あんなに大きな
仮髪
(
かつら
)
をつけたこの尊い人が、——この人が、ついさっきまで
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
ガレージの屋根の衣裳
匣
(
ばこ
)
にマダム・ギランの
仮髪
(
かつら
)
とリンネルの下着が入っていた。
青髯二百八十三人の妻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
褐色の着物に
仮髪
(
かつら
)
をつけて、菓子屋の店をうろつきあるいて、自分たちの食いものを素早く掻きあつめ、栗をもって悪魔の弟子の犬めを飼っている、あの意地悪な魔法使いに
囚
(
とら
)
われて
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
店内で
仮髪
(
かつら
)
を売っているのを見たから、これは人工的の毛髪を売る店を標示していることが判る。図267は印判師の看板で、これは必ず地面に立っている。殆ど誰でもが印を使用する。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
杏色がかったフランス独特のピンクの絹服の裾に、幾重もかさねられた純白のレースのペティ・コートが泡立つようにのぞかれて、同じ杏色の日よけ帽から、白い
仮髪
(
かつら
)
の捲毛がこぼれている。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
習慣的に抑制されて穏かになっている顔は、
潤
(
うるお
)
いのあるきらきらした一双の眼のために、例の一風変った
仮髪
(
かつら
)
の下で始終明るくされていた。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
……ばかりじゃ無い、……
雁
(
かりがね
)
、
燕
(
つばめ
)
の
行
(
ゆ
)
きかえり、軒なり、空なり、
行交
(
ゆきか
)
う目を、ちょっとは紛らす事もあろうと、昼間は白髪の
仮髪
(
かつら
)
を
被
(
かむ
)
る。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
乃公は
仮髪
(
かつら
)
を脱いだ。皆は
交代番
(
かわりばん
)
こに被って嬉しがっている。中には一寸被って、エヘンと咳払をした奴もあった。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「実のことは知らないが、しかしここに熱病があることは私はこの
仮髪
(
かつら
)
を賭けるよ。」と先生は言った。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
髪毛
(
かみのけ
)
も同様に、
仮髪
(
かつら
)
かと思われるくらい豊かに青々としているのを、
眥
(
めじり
)
が釣り上がるほど引き詰めて、長い襟足の附け根のところに大きく無造作に渦巻かせていた。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仮髪
(
かつら
)
は
逆熊
(
さかぐま
)
にて、
髷
(
まげ
)
は右へ曲ぐ。
豆絞
(
まめしぼり
)
の手拭を後より巻き、前に
交叉
(
いれちが
)
はせ、その端を髷の後へ返して、突つ込む。この手拭の
被
(
かぶ
)
りかたは、権太に限りたるものなりと。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
けれども、その扇形をした
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下には、依然中世的好尚が失われていなかった。楽人はことごとく
仮髪
(
かつら
)
を附け、それに眼が
覚
(
さめ
)
るような、朱色の衣裳を着ているのである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
侍女に囲まれて、部屋着のまま、まだ白粉も塗らず、
仮髪
(
かつら
)
もかぶらず、彼女のごま塩の髪は、ばさりと顔に垂れていた。そして、二つの目が、額ごしに、ぎょろりと光った。
エリザベスとエセックス
(新字新仮名)
/
リットン・ストレイチー
(著)
仮髪
(
かつら
)
の耳のところをひっぱったり、自分の言ったことを注意させたりしながら、立って、腰掛けて自分を見上げている彼女の顔を見下した。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
晃 これか、谷底に
棲
(
す
)
めばといって、
大蛇
(
うわばみ
)
に呑まれた
次第
(
わけ
)
ではない、こいつは
仮髪
(
かつら
)
だ。(脱いで棄てる。)
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
髪粉をつけた
仮髪
(
かつら
)
を脱いで腰掛けていて、その短く刈込んだ黒い頭はまったくすこぶる珍妙に見えた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
此時
(
このとき
)
善ちゃんは
最早
(
もう
)
罷
(
や
)
めろ、
仮髪
(
かつら
)
を返して来いと言った。で、乃公も講壇から下りようとすると
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それから、しばらく
瞶
(
みつ
)
めていると、やがては赤の補色——青色に変ってしまうからだ。つまり、逢痴を思わせたその技巧が、お岩の、半面
仮髪
(
かつら
)
の中に、秘められてあったのだよ
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何故ってあの
禿頭
(
はげあたま
)
は変装なのよ。
仮髪
(
かつら
)
なのよ。オホホホホホ。可笑しいでしょう。妾はチャンと知っているけど知らん顔をしているの。でも時々可笑しくて仕様がなくなるのよ。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仮髪
(
かつら
)
は前幕の通にて、着附は茶の細い
弁慶縞
(
べんけいじま
)
(木綿と見するも、実は姿を好くするため、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
を用ゐる)に、
浅黄
(
あさぎ
)
のもうか木綿の裏ついたる
袷
(
あわせ
)
と白紺の弁慶の縞の太さ一寸八分なる
単衣
(
ひとえ
)
とを重ね
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
死骸になっての、
空蝉
(
うつせみ
)
の藻脱けた
膚
(
はだ
)
は、人間の手を離れて
牛頭
(
ごず
)
馬頭
(
めず
)
の腕に上下から
掴
(
つか
)
まれる。や、そこを見せたい。その
娘
(
こ
)
の
仮髪
(
かつら
)
ぢゃ、お稲の髪には念を入れた。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「初めて僕のところへ君を招待した時、僕の家内は丸髷の
仮髪
(
かつら
)
を
被
(
かぶ
)
っていた。君はあの一事を女性の信じ難い実地例証として、団さんの奥さんに話したというじゃないか?」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
実に、その消え行く瞬間の光は、斜めに
傾
(
かし
)
いで
仮髪
(
かつら
)
の隙から現われた、白い布の上に落ちたのである。それは
擬
(
まぎ
)
れもなく、武具室の惨劇を未だに止めている額の繃帯ではないか。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そうしてその長い
鬢
(
びん
)
の生え際を引き剥がすとそのまま、丸
卓子
(
テーブル
)
の上にうつむいて両手をかけて
仮髪
(
かつら
)
を脱いだが、その下の
護謨
(
ごむ
)
製の肉色をした
鬘下
(
かつらした
)
も手早く一緒に引き剥いで、机の上に置いた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……と背の低いのが、
滅入込
(
めりこ
)
みそうに、
大
(
おおき
)
な
仮髪
(
かつら
)
の
頸
(
うなじ
)
を
窘
(
すく
)
め、ひッつりそうな
拳
(
こぶし
)
を二つ、耳の処へ
威
(
おど
)
すがごとく、
張肱
(
はりひじ
)
に、しっかと握って、腰をくなくなと、抜足差足。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
法水は、検屍官の言を聴くともなく、傍らにあった、お岩の半面
仮髪
(
かつら
)
を
弄
(
いじ
)
っていた。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「……ウン……
一寸
(
ちょっと
)
待ってくれ給え……アッ……これだこれだ……最前まで着ていたのは……ホラ。
絽
(
ろ
)
の帯も……ヴェールも……アッ……束髪の
仮髪
(
かつら
)
だこれは……畜生……どこかで変装しやがったナ」
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「なあに
彼
(
あれ
)
は
仮髪
(
かつら
)
を
被
(
かぶ
)
ってるんだ。何をしている?」
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
下髪
(
さげお
)
の短いタレイラン式の
仮髪
(
かつら
)
に、シュヴェツィンゲン風を模した
宮廷楽師
(
カペルマイスター
)
の衣裳。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
学円 (伸上り納戸越に透かして見て)おい、水があるか、
蘆
(
あし
)
の葉の前に、
櫛
(
くし
)
にも月の光が
射
(
さ
)
して、
仮髪
(
かつら
)
をはずした髪の
艶
(
つや
)
、雪国と聞くせいか、まだ消残って白いように、襟脚、脊筋も透通る。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
仮髪
(
かつら
)
ですよ、あれは」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“仮髪”の意味
《名詞》
元の頭髪に添える毛髪。付け髷など。
かつら。
(出典:Wiktionary)
仮
常用漢字
小5
部首:⼈
6画
髪
常用漢字
中学
部首:⾽
14画
“仮髪”で始まる語句
仮髪師