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中洲
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なかず
ふりがな文庫
“
中洲
(
なかず
)” の例文
○
中洲
(
なかず
)
ありて川の西部に横たはり、儼として一島をなし、酒楼の類のこゝに家するもの少からず。中洲の対岸一水遠く東に入るものを
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
当時の
中洲
(
なかず
)
は言葉どおり、
芦
(
あし
)
の茂ったデルタアだった。僕はその芦の中に流れ
灌頂
(
かんじょう
)
や馬の骨を見、気味悪がったことを覚えている。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
気の置けないものばかりの旅で、三人はときどき
路傍
(
みちばた
)
の草の上に
笠
(
かさ
)
を敷いた。小松の影を落としている川の
中洲
(
なかず
)
を前にして休んだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
さて右の書面を以て其の筋へ訴えましたゆえ、探偵の方が段々調べました処、後に致ってお駒の死骸が
中洲
(
なかず
)
に掛って居て是が揚りました。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「だっておい四
度
(
たび
)
素帰
(
すがえり
)
をしたぜ、
串戯
(
じょうだん
)
じゃあない。ほんとうに
中洲
(
なかず
)
からお運び遊ばすんじゃあ、間に橋
一個
(
ひとつ
)
、お大抵ではございませんよ。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
しかし
中洲
(
なかず
)
の河沿いの二階からでも下を
見下
(
みおろ
)
したなら大概の
下
(
くだ
)
り船は反対にこの度は左側なる
深川
(
ふかがわ
)
本所
(
ほんじょ
)
の岸に近く動いて行く。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
浜町の家には、近くの
中洲
(
なかず
)
の
真砂座
(
まさござ
)
にたむろしていた、伊井、河合、村田、福島、木村などの新派俳優の下廻りが、どっちが楽屋かわからないほど入込んでいた。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
中洲
(
なかず
)
を出た時には、外はまだ明るく、町には豆腐屋の
喇叭
(
らっぱ
)
、油屋の声、点燈夫の姿が忙しそうに見えたが、俥が永代橋を渡るころには、もう両岸の電気燈も
鮮
(
あざ
)
やかに輝いて
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
伊井蓉峰
(
いいようほう
)
の新派一座が
中洲
(
なかず
)
の
真砂座
(
まさござ
)
で日露戦争の狂言を上演、曾我兄弟が苦力に姿をやつして満洲の戦地へ乗り込み、父の
仇
(
かたき
)
の露国将校を討ち取るという筋であったそうで
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
間もなく、由良は、日本橋
中洲
(
なかず
)
の芝居の太夫元と結んでそこを自分の
定小屋
(
じょうごや
)
にした。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
暮の
中洲
(
なかず
)
で秘密に
逢
(
あ
)
った銀子と伊沢は、春次が気を利かして通しておいた
鍋
(
なべ
)
のものにも手をつけず、やがて待合を出て女橋を渡り、人目をさけて離れたり絡んだり、水天宮の裏通りまで来て
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
僕は時々この橋を渡り、
浪
(
なみ
)
の荒い「
百本杭
(
ひやつぽんぐひ
)
」や
芦
(
あし
)
の茂つた
中洲
(
なかず
)
を眺めたりした。中洲に茂つた芦は勿論、「百本杭」も今は残つてゐない。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
成程
(
なるほど
)
、島を越した向う岸の
萩
(
はぎ
)
の根に、一人乗るほどの
小船
(
こぶね
)
が見える。
中洲
(
なかず
)
の島で、
納涼
(
すずみ
)
ながら酒宴をする時、
母屋
(
おもや
)
から料理を運ぶ
通船
(
かよいぶね
)
である。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
中洲
(
なかず
)
の
河岸
(
かし
)
にわたくしの旧友が病院を開いていたことは、既にその頃の『中央公論』に連載した雑筆中にこれを記述した。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三十年九月には
中洲
(
なかず
)
の真砂座で「乳房榎」を上演し、翌三十一年二月には同座で「真景累ヶ淵」を上演した。いずれも座付作者の新作で、作者は竹柴万治であったように記憶している。
寄席と芝居と
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
拵えた百枚の羽織を幇間へ総羽織を出し、屋形船で
中洲
(
なかず
)
へ乗り出す、花魁が中で琴を弾き、千蔭先生が文章を作り、
稲舟
(
いなふね
)
という歌が出来まして、二代目名人
荻江露友
(
おぎえろゆう
)
が手をつけて唄いました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
披露目も福井楼
界隈
(
かいわい
)
の
米沢町
(
よねざわちょう
)
から浜町、
中洲
(
なかず
)
が七分で、残り三分が
源冶店
(
げんやだな
)
界隈の
浪花町
(
なにわちょう
)
、花屋敷に新屋敷などで、
大観音
(
おおかんのん
)
の裏通りの元大阪町では、
百尺
(
ひゃくせき
)
のほかにやっと二三軒あるくらいだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかも
中洲
(
なかず
)
は開けたばかりですぐ近く、前の川の下である。橋をわたれば
葭町
(
よしちょう
)
の
花柳場
(
さかりば
)
があり、いんしんな人形町通りがあり、金のうなる問屋町にとりまかれて、うしろには柳橋がひかえている。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お光の俥は霊岸島からさらに
中洲
(
なかず
)
へ廻って、中洲は例のお仙親子の住居を訪れるので、
一昨日
(
おととい
)
媼さんがお光を訪ねた時の話では、明日の夕方か、明後日の午後にと言ったその午後がもう四時すぎ
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
白い
鳳凰
(
ほうおう
)
がたった一羽、
中洲
(
なかず
)
の方へ飛んで行くのを見たことがあると言っていたよ。もっともでたらめを言う人だったがね
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さつきは
雨脚
(
あめあし
)
が
繁
(
しげ
)
くつて、
宛然
(
まるで
)
、
薄墨
(
うすゞみ
)
で
刷
(
は
)
いたやう、
堤防
(
どて
)
だの、
石垣
(
いしがき
)
だの、
蛇籠
(
じやかご
)
だの、
中洲
(
なかず
)
に
草
(
くさ
)
の
生
(
は
)
へた
処
(
ところ
)
だのが、
点々
(
ぽつちり/\
)
、
彼方此方
(
あちらこちら
)
に
黒
(
くろ
)
ずんで
居
(
ゐ
)
て、それで
湿
(
しめ
)
つぽくツて
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
挙ぐれば
中洲
(
なかず
)
と
箱崎町
(
はこざきちょう
)
の
出端
(
でばな
)
との間に深く
突入
(
つきい
)
っている堀割はこれを箱崎町の
永久橋
(
えいきゅうばし
)
または
菖蒲河岸
(
しょうぶがし
)
の
女橋
(
おんなばし
)
から眺めやるに水はあたかも入江の如く無数の荷船は部落の観を
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
春次は独りで
呑
(
の
)
み込み、もう暮気分のある日の午後のことだったが、銀子は
中洲
(
なかず
)
の待合から口がかかり、車で行ってみると、大川の見える二階座敷で、春次と伊沢がほんの
摘
(
つま
)
み物くらいで呑んでいた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
三派
(
みつまた
)
はいまの
中洲
(
なかず
)
のあたりの名で、月の名所になつてゐる。
花火と大川端
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
人の悪い
中洲
(
なかず
)
の大将などは、
鉄無地
(
てつむじ
)
の羽織に、茶のきんとうしの
御召揃
(
おめしぞろ
)
いか何かですましている
六金
(
ろっきん
)
さんをつかまえて、「どうです、一枚脱いじゃあ。
黒油
(
くろあぶら
)
が流れますぜ。」
老年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
中洲
(
なかず
)
と、
箱崎
(
はこざき
)
を
向
(
むか
)
うに
見
(
み
)
て、
隅田川
(
すみだがは
)
も
漫々
(
まん/\
)
渺々
(
べう/\
)
たる
處
(
ところ
)
だから、あなた
驚
(
おどろ
)
いてはいけません。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
凡
(
すべ
)
て
溝渠
(
こうきよ
)
運河の眺望の最も変化に富み
且
(
か
)
つ活気を帯びる処は、この
中洲
(
なかず
)
の水のやうに
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
から
幾筋
(
いくすぢ
)
の細い流れが
稍
(
やゝ
)
広い堀割を中心にして一個所に落合つて来る処、
若
(
も
)
しくは深川の
扇橋
(
あふぎばし
)
の如く
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
永井荷風
(
ながいかふう
)
氏や
谷崎
(
たにざき
)
潤一郎氏もやはりそこへ通ったはずである。当時は水泳協会も
芦
(
あし
)
の茂った
中洲
(
なかず
)
から安田の屋敷前へ移っていた。僕はそこへ二、三人の同級の友達と通って行った。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
中洲
(
なかず
)
眺望
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
“中洲”の解説
中洲(なかす)は、福岡県福岡市博多区の町名で、那珂川と博多川に挟まれた中州に位置する歓楽街。現行の行政地名は、中洲一丁目から五丁目まで。面積は。2023年9月末現在の人口は691人。郵便番号は810-0801。
(出典:Wikipedia)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
洲
漢検準1級
部首:⽔
9画
“中洲”で始まる語句
中洲三島毅
中洲真砂座
中洲之地無風塵