青葉あおば)” の例文
はるになると、はなきました。ちょうどそのくに全体ぜんたいはなかざられるようにみえました。なつになると、青葉あおばでこんもりとしました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
つきすると、木々きぎこずえ青葉あおばつつまれ、えだえだかさなりって、小鳥ことりもりこだまこして、うえはならすくらいに、うたしました。
そこは夏のけしきで、垣根かきねには白いうの花が咲いて、お庭の木の青葉あおばのなかでは、せみやひぐらしがないていました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
……其時、おや、小さな木兎みみずく、雑司ヶ谷から飛んで来たやうな、木葉このは木兎ずく青葉あおば木兎ずくとか称ふるのを提げて来た。
玉川の草 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
司令艦の衣笠きぬがさから青葉あおば古鷹ふるたかという順序で見る見るうちに、艦首が左へ、ググッと曲って行った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
愛宕あたご』『高尾たかお』『摩耶まや』『鳥海ちょうかい』『那智なち』級四隻もいる。『加古かこ』もいる。『青葉あおば』もいる。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
酒のさかなに不向きなまぐろで辛抱しんぼうしてきたであろう江戸人……、肉のいたみやすいめじまぐろに飽きはてた江戸人が、目に生新せいしん青葉あおばを見て爽快そうかいとなり、なにがなと望むところへ
いなせな縞の初鰹 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
「どうしてこう青葉あおばいろはきれいなのだろう。どうしてこう、このもりや、ひかりや、くもいろなどがうつくしいのだろう。」
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
加古かこ古鷹ふるたか青葉あおば衣笠きぬがさの艦列から千メートル手前に、真白な、見上げるように背の高い水煙が、さーッと、奔騰ほんとうした。どれもこれも、一定の間隔を保って、見事に整列していた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
目には青葉あおば山ほととぎすはつ鰹 素堂そどう
いなせな縞の初鰹 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
ひょうのようにするどい『青葉あおば』『衣笠きぬがさ
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
のさめるような青葉あおばに、かぜたって、海色うみいろをしたそらほしひかりえてくると、とおまち燈火ともしびが、乳色ちちいろのもやのうちから、ちらちらとひらめいてきました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うっそうと、青葉あおばのしげったあいだから、白壁しらかべくらえたり、たのしそうに少女しょうじょたちのうたうくわつみうたこえたりして、だれでも平和へいわむらだとおもったからであります。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
たちまち、青葉あおばうえ波立なみだっていました山風やまかぜおそってきて、このがさをさらってゆきました。
日がさとちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
ついこのあいだまで、をふいたばかりの新緑しんりょくが、うす緑色みどりいろけむっていたのが、すっかり青葉あおばとなっていました。ここからは、あちらまでつづく、まちほうおろされました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、青葉あおばあいだからはたえて、太鼓たいこおとなどがこえて春祭はるまつりのあるむらもありました。
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのはなうえや、青葉あおばうえびまわっているだけでも、一にちかかるのでありました。
ちょうと怒濤 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま、おおきなえだには青葉あおばがふさふさとして、銀色ぎんいろにかがやいています。
青葉の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
艶気つやけのない青葉あおばをつけているにすぎませんでした。
親木と若木 (新字新仮名) / 小川未明(著)