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鈎
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はり
ふりがな文庫
“
鈎
(
はり
)” の例文
アシカは
大鱸
(
おおすずき
)
が大好物である。十一月半ばから一月中旬へかけ毎年、鴨居前や竹岡前の海へ大鱸が産卵に集つて来て、よく
鈎
(
はり
)
にかゝる。
東京湾怪物譚
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
いずれにしろ、釣るとか捕まえるとかするほかはないのだが、
綸
(
いと
)
もなければ
鈎
(
はり
)
もない。網の代用になるようなものも思いつかない。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
すると、友達の女の児もみんな同じ所で釣っていたのに、どう云うものか外の者には一向釣れないで、その女の児の
鈎
(
はり
)
にばかり魚がかかる。
紀伊国狐憑漆掻語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こんなことが病みつきの元になるのだな、彼はそう思いながら、糸と
鈎
(
はり
)
をつけ直し、こんどはかなりいきごんでそこへ坐った。
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鈎
(
はり
)
と餌を注意しないと口へはひらない。フナは町娘だ、歩いて捜す。コチ、カレヒなどは、底を引いて、エビを餌にするから、先づ二号の女といふところだ。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
▼ もっと見る
鈎
(
はり
)
を呑めばその腸をまるで吐き出し鈎を去って腸を
復呑
(
のみもど
)
すと書きいるとあって、この鈎一件についても説を述べられ予と論戦に及んだがここに要なければ略す
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
盛綱は、
釣竿
(
つりざお
)
を上げながら振向いた。ピラッと、鮠は彼の手の中へ躍ってきた。
鈎
(
はり
)
から魚をはずしながら
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう
鈎
(
はり
)
の
棹
(
さお
)
は持って出ず、昼は人仕事の網の
繕
(
つくろい
)
、合間には客を乗せて、
錦
(
にしき
)
の浦遊覧の船を
漕
(
こ
)
ぐのが
活計
(
なりわい
)
。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
水
(
みづ
)
ん
中
(
なか
)
に
居
(
ゐ
)
ちや
仕事
(
しごと
)
するにも
仕事
(
しごと
)
はなしさなあ、それからみんな
棒
(
ぼう
)
の
先
(
さき
)
へ
鈎
(
はり
)
くつゝけて
魚釣
(
さかなつ
)
りしたのよ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
汚池
(
おち
)
に釣り、禁池に釣り、
鈎
(
はり
)
さきを争ひて釣り、天候を知らずして海上に釣り、秋の夜露に打たれて船に釣り、夏の午日に射られて岡に釣り、
早緒
(
はやお
)
朽ちたる櫓を執り
研堂釣規
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
わたしどもの日々の仕事は大概
蚯蚓
(
みみず
)
を掘って、それを針金につけ、河添いに掛けて
蝦
(
えび
)
を釣るのだ。蝦は水の世界の馬鹿者で遠慮会釈もなしに二つの鋏で
鈎
(
はり
)
の
尖
(
さき
)
を捧げて口の中に入れる。
村芝居
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
平気でびくを片附けて、それから釣竿を引きあげると、
鈎
(
はり
)
にはなにか懸っているらしい。川蝦でもあるかと思って糸を繰りよせてみると、鈎のさきに引っかゝっているのは女の櫛でした。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
水
(
みづ
)
の
澄
(
す
)
んだところでは、
鈎
(
はり
)
の
先
(
さき
)
へ
雷鳥
(
らいちよう
)
の
羽毛
(
うもう
)
かそれがなければ、
鷄
(
にはとり
)
の
羽毛
(
うもう
)
でもくゝりつけて
下
(
おろ
)
すと
釣
(
つ
)
れます。
濁
(
にご
)
つてるところでは
餌
(
ゑ
)
づりをするのですが、
釣
(
つ
)
り
竿
(
ざを
)
は
長
(
なが
)
く
丈夫
(
じようぶ
)
なものがいゝようです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
金
(
きん
)
の
鈎
(
はり
)
。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
五人ばかりの兵は
鱶
(
ふか
)
を釣ることを考え、銃剣を曲げて
鈎
(
はり
)
にしたが、鱶が噛みつくといっぺんに伸び、鈎の役をしなかった。
ノア
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
イクラを
鈎
(
はり
)
にさすには、一粒
乃至
(
ないし
)
二粒でよろしい。数多くつける必要はないのである。鈎合わせは素早い方がよろしい。
鱒の卵
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
それには悉く又
鈎
(
はり
)
も違ふ、仕掛けも違ふ、底釣りのカレイ、アイナメ、コチ、ハゼ、カサゴの仕掛けでは、サバ、アヂ、スズキなどの中層にゐる魚は釣れない。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
魚も本当に釣る気かどうか、下僕に餌を付けさせ、
浮木
(
うき
)
下のあんばいもなにもなく、
鈎
(
はり
)
を放りこみ、思い出したようにあげてみて、餌を替えさせてまた放りこむ。
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
内から棹なんぞ……
鈎
(
はり
)
も糸も忍ばしては出なかつたが——それは女房が
頻
(
しきり
)
に殺生を留める処から、つい面倒さに、近所の車屋、床屋などに預けて置いて、そこから内證で支度して
夜釣
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
悠々千里の流れに
漁
(
すなど
)
りして、江岸に住んでいる漁夫や住民は、もう連年の戦争にも馴れていて、戦いのない日には、閑々として網を打ち、
鈎
(
はり
)
を垂れているなど、決してめずらしい姿ではなかった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何事ぞと思ひしに、巡査の来れるなりし。偵察隊より「巡査見ゆ」との信号を受け、一時釣を休めしものと知られたり。さて其の過ぎ行くに及び、又
忽
(
たちま
)
ち池を取り囲みて
鈎
(
はり
)
をおろせしは、前の如し。
東京市騒擾中の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
それは、
虹鱒
(
にじます
)
であろう。かげろうの羽虫を餌として、
鈎
(
はり
)
を瀬脇に投げ込めば、瞬間にグッとくる。
確
(
しか
)
と餌を食い込んだのだ。竿も折れよとばかりの強引である。
雪代山女魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
老人に注意されて斧田は急いで
棹
(
さお
)
をあげたが、餌をとられた
鈎
(
はり
)
が
空
(
むな
)
しくあがって来たにすぎなかった。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これは三銭の竿で、木綿糸、一銭に三本の
鈎
(
はり
)
、二三分の
蚯蚓
(
みみず
)
で釣れる。半日もやると晩のお菜に四五十は釣れる。此奴の釣り味といふものは、実に静かで、優雅なところがある。
夏と魚
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
内
(
うち
)
から
棹
(
さを
)
なんぞ……
鈎
(
はり
)
も
絲
(
いと
)
も
忍
(
しの
)
ばしては
出
(
で
)
なかつたが——それは
女房
(
にようばう
)
が
頻
(
しきり
)
に
殺生
(
せつしやう
)
を
留
(
と
)
める
處
(
ところ
)
から、つい
面倒
(
めんだう
)
さに、
近所
(
きんじよ
)
の
車屋
(
くるまや
)
、
床屋
(
とこや
)
などに
預
(
あづ
)
けて
置
(
お
)
いて、そこから
内證
(
ないしよう
)
で
支度
(
したく
)
して
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鈎
(
はり
)
を
掬
(
すく
)
って、餌をつける。——そして風に乗せて水面へぽんと投げる。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まるで昔の殿様のやうに、釣れないと家来が水を潜つて行つて、殿様の
鈎
(
はり
)
へ魚を付けて来て、引く真似をされても解らないやうでは心細い。二度目からは、一切自分で試みることだ。
釣心魚心
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
鯛が
鈎
(
はり
)
に掛かって、死にもの狂いに海底で糸を引きまわす力の味は忘れられない。殊に淡紅の色鮮やかに、牡丹の花弁をならべたような鱗の艶は、友人に贈っていつも絶讃を博すのだ。
縁談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
てんねん物はきみ
鈎
(
はり
)
がはいってるからな、これはどうしたってごまかせないんだ
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わずかに、竿先へ
煽
(
あお
)
りをくれて軽く
鈎
(
はり
)
合わせをすると、掛かった。魚は、水の中層を下流へ向かって、逸走の動作に移った。やはり、水鳥の白羽の動きは、はやの当たりであったのである。
楢の若葉
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
そして
倫糸
(
みちいと
)
は処女の髪の毛、
鈎
(
はり
)
は純金だつたなどといふ説が残つてゐる。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
鈎
漢検準1級
部首:⾦
12画
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鈎形
鈎爪
鈎綱
鈎切
鈎素
毛鈎
鈎縄
釣鈎
鈎棒
手鈎
鈎鼻
双鈎刊刻
鈎裂
鈎𧋬
鈎槍
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鋤鈎
双鈎
鈎政
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