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這々
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ほうほう
ふりがな文庫
“
這々
(
ほうほう
)” の例文
一夜の内に腰さえ弓のように曲った平太夫は、若殿様の御文をつけた
花橘
(
はなたちばな
)
の枝を肩にして、
這々
(
ほうほう
)
裏の御門から逃げ出して参りました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「馬道の三五郎親分のところにいましたよ。すっからかんに
叩
(
はた
)
いて、夜が明けてから
這々
(
ほうほう
)
の体で帰ったのを皆んな知っていまさア」
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
酔余素敵な女に会つた。忘れかね山を降りて会ひに行つたら印象とまるで違つた女の様子に
這々
(
ほうほう
)
の態で逃げ出したことがあつた。
流浪の追憶
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
いまも
這々
(
ほうほう
)
の体でもどったところへ新しい隊と聴き、彼はさながら身を焼くような思いだったろう。ところが、折竹が含みわらいをして
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
長居をしてはどういう目に逢うか知れないと思って、あわてふためいて
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で、使者の連中は逃げ帰ってしまいました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
聞く者その
威容
(
いよう
)
に
怖
(
おそ
)
れ弁舌に
驚
(
おどろ
)
き
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
にて引き
退
(
さが
)
るを常としたりきと云っているもって春琴の勢い込んだ
剣幕
(
けんまく
)
を想像することが出来よう。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
出先で、
妖怪
(
ようかい
)
に
逢
(
あ
)
い
這々
(
ほうほう
)
の体で自分の家に逃げ帰ると、その恐ろしい魔物が、先廻りして、自分の家に
這入
(
はい
)
り込んでいる。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
這々
(
ほうほう
)
の
態
(
てい
)
で逃げ出すと、その夜の
中
(
うち
)
に決心して東京を志し、辛苦の末に百万長者になったと云う話だった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
四人は、チョコレートのはいった
手
(
て
)
コップを取りあげると、
這々
(
ほうほう
)
のていで実験室まで引きさがって行った。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
なお広く郷地の人々を招待したいのであったが、何しろ貧乏な私は、金がないのでその志が遂げられず、御馳走の喰いっぱなしで
這々
(
ほうほう
)
の
態
(
てい
)
で引上げてしまった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
といいあいつつ、また謙信の度量にも
惧
(
おそ
)
れをなして、
這々
(
ほうほう
)
のていで甲州へ帰り去ったということであった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ああそうだったのか、随分大きくなったものだね」と言われて
這々
(
ほうほう
)
の
態
(
てい
)
で逃げ出したが、あの頃は随分生意気な小僧だったことだろうと思いみて
聊
(
いささ
)
か
辟易
(
へきえき
)
した。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で逃げ出した私は、さすがに追跡が恐しくなって、その夜は鳴海の家を叩いて、泊めて貰った。
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
釣つた魚の二三尾も投げてやつて
這々
(
ほうほう
)
の体で逃げ帰るに限る。だが、勇敢な漁師もゐるものだ。
東京湾怪物譚
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
這々
(
ほうほう
)
の態で捕吏たち一同が、斗丈庵から立ち去った後、わたしたちは奥の部屋へ集まりました。
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私は
這々
(
ほうほう
)
の
態
(
てい
)
で妻の部屋から出て来たが、まったく虎の
腭
(
あぎと
)
を
遁
(
のが
)
れたというか、腕白小僧が母親の許から逃げ出して来たというか、
吻
(
ほ
)
っとした気持の中で、さて明日の朝から
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
検
(
あらた
)
め見れば、
鈎※
(
はりす
)
、
沈
(
おもり
)
、綸など、
紊
(
みだ
)
れに紊れ、処々に泥土さへ着きて、前回の出遊に、雪交りの急雨に
降
(
あ
)
ひ、手の指
亀
(
かじか
)
みて自由利かず、其のまゝ引きくるめ、
這々
(
ほうほう
)
の体にて戻りし時の
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
這々
(
ほうほう
)
の体で江戸へ立ち帰り、芝日蔭町の主家江島屋治右衛門方へ帰って参りますと、店先へ簾を垂れ、忌中と記してありますから、心の中にお出でたなと怖々ながら内へ這入り、様子を
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
件
(
くだん
)
の巡査に襲われ、驚いて農工銀行の作業場へ逃げ込む途端、慌てて板塀の破れ穴へ顔を突っ込み、二、三カ所のみみず腫れ、
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で銀座裏の自宅へ戻り、顔の手入れの最中、表へ来客
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
それを介抱するひまもなしに、ほかの者どもは
這々
(
ほうほう
)
のていで逃げ散った。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
這々
(
ほうほう
)
の体で逃げ帰った者も
尠
(
すくな
)
くないという有様で御座いました。
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
這々
(
ほうほう
)
のていで逃げ帰ってしまった。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
酔余
(
すいよ
)
素敵な女に会った。忘れかね山を降りて会いに行ったら印象とまるで違った女の様子に
這々
(
ほうほう
)
の態で逃げ出したことがあった。
流浪の追憶
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
相手はそれに輪をかけた
凄腕
(
すごうで
)
で、いずれも一刀両断にしてやられるか、運よくて、
這々
(
ほうほう
)
の体で逃げ帰るのが関の山でした。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
父の
一喝
(
いっかつ
)
に
逢
(
あ
)
って、
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で、逃げ帰った杉野
子爵
(
ししゃく
)
は、ほんの
傀儡
(
かいらい
)
で、その背後に
怖
(
おそ
)
ろしい悪魔の手が、動いていることを感ぜずにはいられなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
土方
(
ひじかた
)
めも青菜に塩の有様で立帰り、近藤に話すと、近藤め、火のように怒り、今朝
未明
(
みめい
)
に島田の道場へ押しかけたが、やがて
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で逃げ帰りおった」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
襤褸
(
ぼろ
)
よりも
惨
(
みじ
)
め——とは、失敗した探検隊のひき上げをいう言葉だろう。ダネックは、基地の
察緬
(
リーミエン
)
へ
這々
(
ほうほう
)
の体でもどってきた。ここは、折竹が三年もいる土地である。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
這々
(
ほうほう
)
のていでひきさがったが、賢夫人たるものが、自分の家を他人がどんな使いかたをしているか、見すごすわけはないから、こんなことは、とっくのむかしに知っていたのだと見ていい。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
人丸左陣と傾城小銀とは、地丸左陣に
翻弄
(
ほんろう
)
され、
這々
(
ほうほう
)
の
態
(
てい
)
で逃げ帰るや、小銀の山寨妙高山へともかくも一時落ち着いたが、すぐに白山へ使いを出し、兄弟分の天丸左陣へ事の次第を注進した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小便にも行けずに
這々
(
ほうほう
)
の体で逃げ帰るのが落ちである。
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
けれども天運に恵まれず、堺に旅行中であつたから
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で逃げて帰る、秀吉にしてやられて、天下は彼から遠退いた。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
這々
(
ほうほう
)
の体で一丁ばかり逃げ延びると、
夕靄
(
ゆうもや
)
の中には親分の平次、ニヤリニヤリと笑って迎えるのです。
銭形平次捕物控:050 碁敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
で、仕方がないというよりも、
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で本陣を退って、越前勢の陣所へ帰って来たものの、主君の忠直卿に復命するのに、どう切り出してよいか、ことごとく当惑した。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
驚いて逃げ足をした
駕籠舁
(
かごかき
)
も、兵馬の手並に心強く、
息杖
(
いきづえ
)
を
振
(
ふる
)
って加勢するくらいになったから、悪者どもは命からがら逃げ出し、或いは橋の下の河原へ落ちて、
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で逃げ散ってしまいました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
這々
(
ほうほう
)
の体で神奈川迄送り戻された。
恐ろしい東京
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「冗談——じゃない。ね親分、真剣に聴いておくんなさい。今まで町内の腕っ節の強いのが、何人退治に向ったか判らねえが、大概腰を抜かして、
這々
(
ほうほう
)
の態で帰ってますぜ」
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
好きでもない女と同棲して
二月
(
ふたつき
)
すぎると、自分でもわけが分らず
這々
(
ほうほう
)
の体で逐電した。
蒼茫夢
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
這々
(
ほうほう
)
の体で、間道を京都に引き上げた。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
記者は
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で
此家
(
ここ
)
を出た。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
平次とガラッ八は、旅籠町の路地を、
這々
(
ほうほう
)
の体で引揚げました。
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
這々
(
ほうほう
)
のていでころがりでゝ帰つてきたといふ話がある。
足のない男と首のない男
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
平次は
這々
(
ほうほう
)
の体で逃出して、手代の佐吉を小蔭に呼びました。
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
泰道は
這々
(
ほうほう
)
の体で帰ってしまいました。
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
這々
(
ほうほう
)
の体で外へ飛出しました。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎はまことに
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
でした。
銭形平次捕物控:238 恋患い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
這
漢検準1級
部首:⾡
11画
々
3画
“這”で始まる語句
這入
這
這般
這奴
這出
這上
這麽
這込
這個
這裏