“逐電:ちくでん” の例文
“逐電:ちくでん”を含む作品の著者(上位)作品数
野村胡堂4
林不忘3
佐々木味津三2
吉川英治2
ニコライ・ゴーゴリ1
“逐電:ちくでん”を含む作品のジャンル比率
文学 > ロシア・ソヴィエト文学 > 小説 物語1.6%
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸1.6%
哲学 > 東洋思想 > 日本思想0.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
刺してその場から逐電ちくでんするだけのことだが、この女が胸から血を流してのけるざまは、見られたものではなかろう。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
若樣——林太郎樣には、一ヶ月程前に召仕の組と逐電ちくでんいたし、今以て在所が判らず、御主人樣ことの外御立腹で御座います。
「ときに、あんたのお友達で、」と、プリューシキンは手紙をたたみながら訊ねた。「逐電ちくでんした農奴が欲しいって人はごわせんかな?」
鬼の子供は一人前いちにんまえになると番人の雉をみ殺した上、たちまち鬼が島へ逐電ちくでんした。
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その知らせの挿話として、氏元の寵を一身に集めた三浦右衛門は、府中落城のその日に早くも主君を捨てて逐電ちくでんしたということが添えられた。
三浦右衛門の最後 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
かたきはすぐに逐電ちくでんしたので、その弟からかたき討のねがいを差出したが、やはり許可されなかった。
かたき討雑感 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「若ッ! 一大事出来しゅったい! 三島の宿で雇い入れました鼓の与吉という人足めが、かのこけ猿の壺をさらって、逐電ちくでんいたしましたっ!」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しかも、下手人げしゅにんらしく思われる者は、その場から逐電ちくでんして影も形も見せない。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ユーウツなんてそんな蒼白いことは言わない。グイとお尻を端折はしょったお六。長庵とつれ立ってスタスタ、旦那の造酒を置いてきぼりにして逐電ちくでんする。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
従って、旅費の残りどころか、国を出る時、祖母としよりが襟にくけ込んだ分までほぐす、羽織も着ものも、脱ぐわぐわで、暮には下宿を逐電ちくでんです。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分が紺野老人をたずねて、眼鏡の玉を拾った話でもようものなら、却って紺野老人を警戒させ、或は紺野老人に逐電ちくでんさせるような結果を惹き起さぬとも限らない。
好色破邪顕正 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
本多佐渡守は三河の徳川家の譜代の臣であるが、家康若年のころの野呂一揆に味方し、一揆が鎮圧したとき、徳川家を逐電ちくでんして、一向一揆の本場の加賀へ行ってしまった。
「父上樣、御心配を相かけ申譯も御座いません。林太郎は召仕などと逐電ちくでんはいたしません。それなる堀周吉の奸計かんけいに陷り、唯今まで獸類に等しき扱ひを受けました」
その間にお筆は、平次が親元になつて、紅屋に嫁入りし、煙草入細工をして、藤吉をおとしいれようとした彌惣の伜彌三郎は、他の惡事まで露見して、どこともなく逐電ちくでんしました。
「それにしても」と、勘平はまたたけりたった、「何という卑劣な所業しょぎょうでござりましょう。脱盟して吾々の顔をつぶすさえあるに、他人の金品まで盗んで逐電ちくでんするとは!」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
お家の法度はっとを破って男をこしらえて、逐電ちくでんした不届き至極な奴め、眼に入り次第成敗いたしてくれん! とたけりたつようなことばかり並べたてて、表面をつくろっていました。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「いつ頃逐電ちくでんいたしたか存ぜぬか!」
型のごとき山師で、其處に六七箇月住んでゐる間に町の酒屋呉服屋料理屋等にすべて數百圓からの借金をこしらへ、たうとう居たゝまらなくなつて私の行つた一月ほど前に何處かへ逐電ちくでんしてしまつたところであつた。
樹木とその葉:04 木槿の花 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
逐電ちくでんしたか!」
右門捕物帖:23 幽霊水 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
いったん逐電ちくでんしたからにはおめおめ抱主のところへ帰れまい、同じく家へ足踏み出来ぬ柳吉と一緒に苦労する、「もう芸者を止めまっさ」との言葉に、種吉は「お前の好きなようにしたらええがな」子にあまいところを見せた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
栄三郎への手切れ金として五十両の金を源十郎から受け取り、その掛合い方を頼みに、浅草三間町の鍛冶屋富五郎のところへ、出かけたところが、同じくお艶に思いを寄せている鍛冶富が、預かった金を持って逐電ちくでんしてしまったので
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ではあるが、はじめ何ほどのことやあろう、ただちに乾坤二刀をひとつに手挟たばさんで郷藩中村へ逐電ちくでんしようと考えていた左膳の見こみに反して、坤竜栄三郎は思ったより強豪、そこへ泰軒という快侠の出現、いままた五人組の登場と
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それに交って六本の刄襖はぶすま! しかも、その六本の白刄はくじんを、笑止千万にも必死に擬していたものは、ほんの小半時前、根津権現裏のあの浪宅から、いずれともなく逐電ちくでんした筈の市毛甚之丞以下おろかしき浪人共でしたから
源次郎と不義をはたらき、恩ある主人の飯島を斬殺きりころし、有金ありがね二百六十両に、大小を三腰とか印籠を幾つとかを盗み取り逐電ちくでんした人殺しの盗賊どろぼうだ、するとあとから忠義の家来藤助とうすけとか孝助とか云う男が
「賊でも日本左衛門は首領と立てられるくらいな人物、仲間の者の手前、お粂と金吾のことは見て見ない振りをしているんですが、お粂は男を見捨てきれないで、夕方のうちに二ちょうかごを仕立てて何処かへ逐電ちくでんしてしまっているのです」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうでした。でも私はあのときから別のことを考えていました。それが今ハッキリと思い当ったんですが、ポントスは殺されたように見せかけ、実はこの莫大な財産とともに何処かへ逐電ちくでんしてしまったのじゃないでしょうか。悪いやつのよくやる手ですよ」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
れが、宮本村を逐電ちくでんして以来、指折り数うればもう五年、どれほど捜すに骨を折ったことか。清水寺へ日参のかいあって、ここでわれに会うたることのうれしさよ。老いたりといえども淵川権六まだまだ、れが如き小僧におくれは取らぬ。さあ、覚悟」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その通りですよ。あの加納屋甚兵衞が、御金奉行をして居るとき、藩の大金を取込み、その罪を下役の石郷時之丞に被せて逐電ちくでんしたため、石郷時之丞は自害をして主君に申譯しました。私がその伜の時三郎ですよ。加納屋甚兵衞を親の敵とつけ狙ふのは、不思議があるでせうか」
そう改まると少しきまりが悪いが、何を隠しましょう、私の本国は播州ばんしゅう姫路、酒井様に仕えて、世にある時は百五十石をみましたが、——今からちょうど三十一年前、女のことから朋輩ほうばい成滝近江なるたきおうみと争い、果し合いの末討ち取ってその場から逐電ちくでん、江戸に潜り込んで、とうとうこの年まで無事に過してしまいました。