おつ)” の例文
このあひだ、どこの犬だか、お向の家のチヤボをおつかけたのよ。お隣のお庭の方へ行つたから、わたし棒を拾つて追つかけて行つたのよ。
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
始め其外の惡事等までのこらず申立ければ大岡殿能白状致したなほおつて吟味に及ぶと申さるゝに下役したやくの者立ませいとこゑかけやがて願山を退ぞかせけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みだるゝこゝろ流石さすがしづめて花子はなこさまおほせまだわたしには呑込のみこめませぬおこたへもなにおつてのこと今日けふづおいとまたんとするを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こいつ老爺おやぢぬすんだときふおつかけて行くと老人悠々いう/\としてあるいて居るので追着おひつくことが出來た。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
おもけずまた露地ろぢくちに、抱餘かゝへあままつ大木たいぼく筒切つゝぎりにせしよとおもふ、張子はりこおそろしきかひな一本いつぽん荷車にぐるま積置つみおいたり。おつて、大江山おほえやまはこれでござい、らはい/\とふなるべし。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おつかけて平素ふだんの好物を訊くと、夫人は低声こごゑで答へた。
早く! 早くしないとおつ手がきます
おつわかときもあらう。
きかれよし/\なほおつて呼出すことあるべしと申わたされ了源寺の所化しよけは下られけり其後そのご評定所へ嘉川一件の者どものこらず呼出よびいださる其の人々とほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いやおつてのことにせむ、そのまゝに差置さしおけ、」とていそがせたまふ氣色けしきし。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
呼出よびいだすべしと差紙さしがみに付町役人七助を召連めしつれ罷出まかりいでければ大岡殿何歟なにかおぼさるゝ事ありて此日は吟味ぎんみもなくおつ呼出よびいだすまで七助梅は家主へあづけると申付られけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)