大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
跛足をひきながら金造の家へ転げ込んで、疵を洗って手当てをして、その晩はともかくも寝てしまったが、明くる朝になると疵口がいよいよ痛む。
半七捕物帳:51 大森の鶏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「髷切りの曲者は、お武家でございますよ、——立派なお武家で、四十五六にもなりますか、背の低い、少し跛足ですが、恐ろしい体術でございます」
銭形平次捕物控:174 髷切り (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
跛足をひいて、彼は垣の外へ出て行った。そして、往来に待っていたおきぬが寄って来るとすぐ訊いた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人は不死であるとともに跛足であり得る。神ヴルカヌスはその例である。人は人間以上であるとともに人間以下であり得る。自然のうちには広大なる不完全さも存する。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
安重根は行李を抱え、李剛は跛足を引き、パイプをふかしている。
安重根:――十四の場面―― (新字新仮名) / 谷譲次、林不忘(著)
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
顔は、眼も鼻も口も、一緒くたに集まって、背骨が、二つに折れる程曲がり、繩のように細い両手が、長く垂れ下っていた。跛足の足を開いて、蛙のようなあるき方だった。
ロウモン街の自殺ホテル (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分) (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
裸か蝋燭を持って、李剛が跛足を引きながら降りて来ている。
安重根:――十四の場面―― (新字新仮名) / 谷譲次、林不忘(著)
開いたなりの傘をそこへ抛り出して、勝手にしやがれという態度で、跛足の足を引きずって、雨の中をさっさと駈け出してしまいます。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
皆そう考えて、ワラタ号は予定が遅れただけで今にも港外に姿を現すであろうと、待ち構えていた。きっと機関に何か故障が起って、跛足を引くような具合に、ぶらぶらやって来ているのだろう。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分) (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いや、違う、あの病身の娘に、達者過ぎるほど達者なお専の首が締められるわけはない。それに、畑の足跡は、跛足ではあるが、往きも帰りも少しも乱れてはいない、若い娘が人一人殺して、あんな同じ足取りで歩けるはずはないだろう」
銭形平次捕物控:244 凧の糸目 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
歩くといっても、やはり米友は跛足です。それに背が低いからいちいち床几を下へ置いてその上へのって、それから油を差して歩きます。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大菩薩峠:09 女子と小人の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
井戸端で水を汲んでいるうちに、手桶をさげたまますべって転んで、これも膝っ小僧を擦り剥いたと云って跛足を引いているもんですから、わたしが代りに二階へあがると又この始末です。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
与八の歩くのは牛のようでありましたけれども、しかも大股でありました。米友の走るのは二十日鼠のようであって、しかも跛足なのであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「どうも、あの時より肉は少し落ちているが、骨組に変りはなし、跛足に申し分もなし、こいつはいよいよおかしい」
大菩薩峠:09 女子と小人の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ここで道庵先生が、野郎の方は少々跛足になると言ったのはもちろん米友のことで、眼の方は難物だというのはたぶん机竜之助のことでありましょう。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大菩薩峠:09 女子と小人の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
右の足の跛足である米友が、女の下駄を片一方だけ持ち扱って歩いて行くことは、判じ物のような形であります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
米友は跛足を引きながら、いま床の間へ飾って置いた一合の酒と丼、果して手を附けなかったことの幸いを感じて、それをそっくり持って来てやりました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)