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贔屓
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びいき
ふりがな文庫
“
贔屓
(
びいき
)” の例文
英国の一
紳士
(
しんし
)
にしてながく日本に滞在し、日本の婦人を妻とせる人がすこぶる日本
贔屓
(
びいき
)
で、種々の
著述
(
ちょじゅつ
)
もして日本を世界に
紹介
(
しょうかい
)
した。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
御存じの方もあろうが、この安南王は日本名を宗方竜太郎といって、日本を愛敬する東洋の王族の中でもとりわけ日本
贔屓
(
びいき
)
の王様。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
十次郎はすっかり初菊に食われてしまった——これは新蔵
贔屓
(
びいき
)
のわたしばかりでなく、世間一般の口から洩らされた失望の声であった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
元来
(
がんらい
)
英国人とは反りが合わずに、
云
(
い
)
わば日本
贔屓
(
びいき
)
の人でありながら、今度来遊、その日本の実際を見て何分にも贔屓が出来ぬ
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
老婦人を載せたる車夫は不意の出来事に呆れて立ちしが、
手籠
(
てごめ
)
に逢わるるを見るに忍びず、「やい
此奴
(
こいつ
)
等、何をしやがるんでえ。」と客
贔屓
(
びいき
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
主人夫婦は
朴訥
(
ぼくとつ
)
な老人で去年和田垣博士と知つて以来大の日本
贔屓
(
びいき
)
に成つて居る。主人は
頻
(
しき
)
りに僕に
向
(
むか
)
つてツウルの言葉の美しい事を話した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
八の野郎はとんだお篠さん
贔屓
(
びいき
)
さ。第一、五左衛門は
沓脱
(
くつぬぎ
)
から一と突きにされて死んでいるんだ、女の手で滅茶滅茶に斬られて死んだわけじゃない
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
エジプト
総督
(
そうとく
)
とも親交のあるアバス・ヌリ殿下という方が大の英仏
贔屓
(
びいき
)
で、しかもトルコの教育制度改革委員会の上に絶対的勢力を投げているので
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
また「英仏独の文学者すらも」云々の語あるは日本
贔屓
(
びいき
)
の人の言葉とも覚えず。子は英仏独の学者が
為
(
な
)
し得ざりし事を日本人は為し得ずとするが如し。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
氏郷が家康に喰付けば、政宗が氏郷に喰付きもするだろうが、それは兎に角として、氏郷は利家
贔屓
(
びいき
)
であった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これは駒井
贔屓
(
びいき
)
の方の言い分で、駒井が西洋の知識に暗からず、且つ外交官として
相応
(
ふさわ
)
しい器量のすべてを持っているように信じている者の口から出ました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「さ、それを、寝物語で一つ——何んとか、それより外に、差しずめの方法として、ござりますまい。それに、何よりも困るのは——久光公の、兄
贔屓
(
びいき
)
——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
ところが、おじいさんは羽衣座より賑座の方が好きで、そのためぼくもいつか賑座
贔屓
(
びいき
)
になってしまった。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは大層日本
贔屓
(
びいき
)
な人で、十七、八年以前に日本へ旅行して、更に今度また旅行をして来たのである。
女子教育の目的
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「八千代さんは叔母さん
贔屓
(
びいき
)
ですね。二人に一人じゃ
敵
(
かな
)
わない。降参します。安子や、小川さんは病院だから訊かなくても分っているけれど、ポチは何処だい?」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
慶応
贔屓
(
びいき
)
で、試合の仲継放送があると、わざわざ隣村の時計屋の前まで、自転車できゝに出かけた。
鍬と鎌の五月
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「もう年が年だから、弟もちっとは考えていますらい。」と、弟
贔屓
(
びいき
)
の母親は眠そうな顔をあげた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
越後長岡の出で、どういう因縁のあってのことか、左団次
贔屓
(
びいき
)
の婆さんが
頭
(
かしら
)
だって切り廻していた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「この市に非常な日本
贔屓
(
びいき
)
の男があります。この男がかねてより深く妖怪を信じ、かつまた日本人を迎うることを喜んでおりますから、一度この人を訪問してはいかん」
妖怪談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
夫れから此本を読んでも直ぐに判るが先生は非常な日本
贔屓
(
びいき
)
であって、何れのものも先生の眼には本邦と本邦人の良い点のみ見え、悪い処は殆んど見えなかったのである。
日本その日その日:01 序――モース先生
(新字新仮名)
/
石川千代松
(著)
夫れから此本を読んでも直ぐに判るが先生は非常な日本
贔屓
(
びいき
)
であって、何れのものも先生の眼には本邦と本邦人の良い点のみ見え、悪い処は殆んど見えなかったのである。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
いねの二人の兄は皆母親
贔屓
(
びいき
)
で、単純でことに正義派の長兄は両親が死んだあとまで露骨にそれを現した。いねに三人目の子供ができかかっている時にその母親は死んだ。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
向うでこればかりは馬鹿にされ、さすが日本
贔屓
(
びいき
)
のワーナーもこれには困ったというが、誠にそうだったに違いない。どうも太閤を禅味に徹した大茶人などとは義理にもいえぬ。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「偉いぞさすがは鏡家の養子」葉之助
贔屓
(
びいき
)
の連中はさもこそとばかり
溜飲
(
りゅういん
)
を下げた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
川添のご新造は仲平
贔屓
(
びいき
)
だったので、ひどくこの縁談の不調を惜しんで、お豊にしっかり言って聞かせてみたいから、安井家へは当人の軽率な返事を打ち明けずにおいてくれと頼んだ。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
流石
(
さすが
)
日本
贔屓
(
びいき
)
の独逸人も此の時ばかりは唖然として答ふる所を知らなかつた。
露都雑記
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかしそれにもかかわらず、頼胤の心を苦しめたものは、高松にいる兄の立場だった、兄の左近頼該は無二の水戸
贔屓
(
びいき
)
で、斉昭にはしんそこから傾倒していた。ひそかに幾回か会談した事実もある。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すると僕の妹は急に顔色を変えたと思うと、『どうせわたしは虫取り菫よ』と当たり散らすじゃありませんか? おまけにまた僕のおふくろも
大
(
だい
)
の妹
贔屓
(
びいき
)
ですから、やはり僕に食ってかかるのです。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
電車に乗らなければ動かないと云うほどな電車
贔屓
(
びいき
)
の人なら、それで満足かも知れぬが、あるいたり、ただの車へ乗ったり、自転車を用いたりするもののためには不都合この上もない事と存じます。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何故ってホントにいらっしゃるおつもりなら差し上げますわ。何でもない事ですから……イクラでも……わたくしモトからエチオピア
贔屓
(
びいき
)
ですから。私が
男子
(
おとこ
)
なら自分で行きたいくらいに思っているんですからね」
女坑主
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あの人、えらい六代目
贔屓
(
びいき
)
やてな」
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こう言うのは深田
贔屓
(
びいき
)
の連中だ。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
お前が下手人でないことは——八五郎の顏を見ろ、あの通りニヤニヤ笑つて居るぜ。八の野郎は飛んだお篠さん
贔屓
(
びいき
)
さ。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
日本
贔屓
(
びいき
)
の男で、十七年
前
(
まへ
)
に一度日本へ来たが、今度も六十歳を越えた老人の身を気遣つて娘が見合せよと云つたに
拘
(
かゝは
)
らず出掛けたと云つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
僕は、これでもやっぱり北人ですから、勝家
贔屓
(
びいき
)
はやむを得ませんが、なにしろ、相手が秀吉ですからなあ。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
僕は英語をやっているし、お父さんも英国
贔屓
(
びいき
)
でロンドンタイムス以上の新聞は世界にないと信じているのだから、独逸ばかり
豪
(
えら
)
いように言われると好い心持がしない。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼女は、良人
贔屓
(
びいき
)
な気持ばかりでなく、そういう良人を持ちながら、今度の三十三間堂の通し矢に出せないかと思うと、自分のせいのように、
瞼
(
まぶた
)
が熱いものに霞んでくる。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その腹を分けた姉妹、おなじ胤とはいひながら、姉は母の血をうけて公家
氣質
(
かたぎ
)
、妹は父の血をひいて職人氣質、子の心がちがへば親の愛も違うて、母は姉
贔屓
(
びいき
)
、父は妹贔屓。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
然し主人の利家は氏郷と大の仲好しで、且又免れぬ中の縁者である、又左衛門が氏郷
贔屓
(
びいき
)
なのは知れきった事である。
特
(
こと
)
に前年自分が氏郷を招いた前野の茶席の一件がある。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これは、いったい、どうしたというわけなんだろう。……不思議な死に方をした三人の娘が、揃いも揃って路考づくめ。すると、隕石ってやつは、だいぶと路考
贔屓
(
びいき
)
とみえるの
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
菊枝がかねて橘之助
贔屓
(
びいき
)
で、番附に記した名ばかり見ても顔色を変える
騒
(
さわぎ
)
を知ってたので、昨夜、不動様の
参詣
(
さんけい
)
の帰りがけ、
年紀
(
とし
)
下ながら仲よしの、姉さんお内かい、と寄った折も
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうやらそちの田沼
贔屓
(
びいき
)
、いまに至っても衰えぬそうな」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これは小手
贔屓
(
びいき
)
の言うところだ。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
とにかく、江戸は、斉興公
贔屓
(
びいき
)
が多い。これでは仕事が出来ん。然し、国許には、御家老の島津壱岐殿、二階堂、赤山、山一、高崎、近藤と、傑物が揃いも、揃って、斉彬公方じゃ。この人々と、連絡すれば、平や、将曹如き、へろへろ家老を
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
尾崎友次郎は、本妻の里江
贔屓
(
びいき
)
らしく檢死前に血染の袷を脱がせた、早まつた親切までも感心するのでした。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この思いきった道庵の罵倒に、席上の山陽
贔屓
(
びいき
)
が納まらないとする。山陽論が席の話題になる——頃を見計らって、また道庵が、今度は山陽をホメ出すこと。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いや、あやまるには及ばんさ。だが、わしはおまえ方の、兄弟
贔屓
(
びいき
)
で言いおるんじゃ。どうして、これほど立派な
漢
(
おとこ
)
三
疋
(
びき
)
が、食うや食わずでいなければならぬかと……」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その腹を分けた姉妹、おなじ
胤
(
たね
)
とはいいながら、姉は母の血をうけて公家気質、妹は父の血をひいて職人気質、子の心がちがえば親の愛も違うて、母は姉
贔屓
(
びいき
)
、父は妹贔屓。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宗皇帝が非常な日本
贔屓
(
びいき
)
で、仏国の教化を毛虫の如くに忌まれ、仏国総督の不満にも拘らずわざわざ日本から多数の教師を招聘して専心日本の文教をされたことは、前にも述べたが
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
中に日本や支那の骨董品も多く
混
(
まじ
)
つて居た。夫人の
先
(
せん
)
の
良人
(
をつと
)
も建築家であつたが、東洋の美術を愛した人で従つて日本人
贔屓
(
びいき
)
の人であつたから、日本人を見れば懐しいと夫人は語られた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
“贔屓”の解説
贔屓(贔屭、ひき、Bìxì)は、中国における伝説上の生物。石碑の台になっているのは亀趺(きふ、Guīfū)と言う。覇下(はか)とも呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
贔
漢検1級
部首:⾙
21画
屓
漢検1級
部首:⼫
10画
“贔屓”で始まる語句
贔屓目
贔屓眼
贔屓分
贔屓筋
贔屓強
贔屓客
贔屓心
贔屓俳優