もれ)” の例文
おそこそいてたんだがりんのにや保證人ほしようにんくつちや駄目だめだつちから、ちかくぢやあるしおめえに保證ほしようつてもれえてえとおもつてな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いえわしは無理に金をもれえに来た訳じゃねえから金はいらねえが、ほかのお客には出ねえ若草だから、伊之助さんがのきまってるが
「さう云や、俺、近いうちに、二三日も来てもれえてえと思つてゐたんだのに、思ひがけなく、ころつとかしつたんでなう、ほんに、はや!」
野の哄笑 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
元気な小僧だし、己の若くっていい男だった時に生写いきうつしだからよ。いつも己はお前が仲間にへえってくれて、紳士で死んでもれえてえもんだと思ってた。
「おらも乗ってきゃ小遣こづかいもれえたに、号外を遣ってもうけ損なった。お浜ッに何にも玩弄物おもちゃが買えねえな。」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「遅いやい遅いやい、いまさら夜迷言よまいごとをぬかすな、あの子はあとあとの苦情のねえように、ようく念を押しておれがもれえ受けたんだ、おめいたちに縁もゆかりもねえ」
「ナーニ、何んでもねえことさ。道人様のお住居をな、ちょっくら明かせてもれえてえのさ」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「結構な身分さ、たとい芸者だろうと淫売だろうと。……こちとらの阿女あまらみてえにへっちゃぶれた顔していたんじゃ、乞食の嬶にももれえ手ねえや」と村人は唇へんを引き歪めて噂した。
一老人 (新字新仮名) / 犬田卯(著)
落ちつけるとしようぜ。そのかわり、お初つぁん、ひとつ仲間仁義は守ってもれえてえな。おまはんが決して、寝こかしをして抜け出さねえと言ってくれるなら、なあに、錠にも、鍵にも及ばねえよ
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
らおめえにちつと相談さうだんつてもれえてえとおもふことつてたんだつけがなよ」おつたはわざあらたまつた容子ようすでなくいひけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おらがの方が暇になるのだから、何も商売しょうべいめるじゃアねえが、仲間入をして帳元並みに売ってもれえてえといったら解ろうに
俺は門番にして貰ったり、仕着しきせをして貰ったり、そんなようなことをしてもれえてえ、って言うつもりじゃねえんだぜ。そんなこたぁ俺の目当じゃねえんだよ、ジム。
もれえたいものがあるで、ぢきぢやぞ。)と、くびをぐたりとりながら、横柄わうへいふ。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
してでも、いてもれえてえと思っているのに、追っ払えとは途方もねえ
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ついてねえ、あの関取がわきへ金え二百両貸した処が、むこうの奴がずりい奴で、返さなえで誠に困るから、どうか富さんを頼んで掛合ってもれえてえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宝を手に入れられる海図をわっしらに渡してもれえましょう。それから、可哀かええそうな水夫らを撃ち殺したり、寝てる間に頭に孔をあけたりするのは、やめて貰えましょう。
「さうですか、そんぢやお内儀かみさんどうかさうしておくんなせえ、お内儀かみさんにもれえせえすりや大丈夫だえぢようぶでがすから、なあにあかくせえありや什麽どんなんでもかまあねえんでがすがね」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
丙「だからよ商売あきねえを止めるじゃねえが、仲間入をして世間並に売ってもれえてえて云うに、打斬ぶちきるてえ理合りええは有んめえ」
權「上げろたって顔を見ちゃアなんねえと云うから誠に困りますなア、何うか此の儘で前の方へ押出してもれいてえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手前に逢わねえじゃア病に障るからもれえてえと云う訳だ、有難ありがてえ、好い女房かゝあを持つのだ、手前運が向いて来たのだ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうせ何処どっから貰うのも同じ事だから、の男がおっんだら、彼の娘をわしの女房にもれえてえだ、裸じゃアあろうけれども、他人頼ひとだのみの世話がねえので
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
是は親の慾だからお前の事だから間違まちげえはなかんべえが、成たけまアけえれるだらけえってもれえてえだ心配しんぺいだからのう
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兼「ありがてえ、毎日めえにち斯ういう塩梅あんべえもれえ物があると世話がえが、昨日のは喰いながらも心配だッた」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
亥「いやうも、誠につまらねえ品でござえやすが、本所にはいゝ酒がねえと思って豐島屋のを一本持って来て、旦那に詫をして盃をもれえてえと思って来ました」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私ア其の警衛けいえいの方々に狼藉者が斬付けるとなんねえから、し怪しい奴が来るといかねえから私ア他の人のふりで先へめえりましょう、はかまなどア穿くのはしてもれえましょう
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
清「ほかに何も貰うものはねえが、此の金を預けた清水助右衞門さんの屍骸しがいを返してもれえてえ」
亥「豐島屋の酒を持って来た、旦那に一ぺい上げて盃をもれえてえってそう云ってくんねえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今は御運が悪くって山家へ這入って居る様子だが、彼の姉さんを嫁にもれえてえが傳次お前は同じ村に居るなら相談して貰いてえと頼まれましたが、そうすれば弟御様おとゝごさまは一緒に引取り
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
田「お前様めえさまにゃア何うして、なに其の金ア此の野郎からもれえますわ」