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苛々
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いら/\
ふりがな文庫
“
苛々
(
いら/\
)” の例文
米原を発車した後は、今迄の様に
苛々
(
いら/\
)
した気持はなくなつた。そして今迄と反対に、帰郷するといふことが楽しいことに思はれ始めた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
大阪のやうな土地に住んでゐると、なんだか
苛々
(
いら/\
)
して氣が落ちつかない。いつそ太夫の商賣をやめて、かういふ靜なところに隱居するかな。
近松半二の死
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そんな時に彼は、それが特別な興味を
惹
(
ひ
)
くとか、親しみを感ずるとかいふ場合でない限り、気分が
苛々
(
いら/\
)
して来るのであつた。
風呂桶
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
最後に
相生
(
あひおひ
)
町の叔母さんの家で宵を過して、元柳橋へ駈けつけた時は、もう相手のお京が、橋の袂の柳にもたれて、
苛々
(
いら/\
)
しながら待つて居るのでした。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『何を言ふんです。』と信吾は
苛々
(
いら/\
)
しく言つた。そして、突然富江の手を取つて、『僕は貴女の迎ひに來たんだ!』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
...
肉汁
(
スープ
)
にはそれが
無
(
な
)
くつても
可
(
い
)
いわ——
屹度
(
きつと
)
何時
(
いつ
)
でも
胡椒
(
こせう
)
が
人
(
ひと
)
の
氣
(
き
)
を
苛々
(
いら/\
)
させるに
違
(
ちが
)
ひない』と
云
(
い
)
ひ
足
(
た
)
して
一
(
ひと
)
つの
新規則
(
しんきそく
)
を
發見
(
はつけん
)
したことを
非常
(
ひじよう
)
に
喜
(
よろこ
)
びました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
併し、私だつてたゞ
苛々
(
いら/\
)
した心持ばかりで生きてゐた譯でもない。二人はやつぱり年若い夫と妻とであつた。
金魚
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「いつたい遠野は何のために今朝やつて来たのだ。」それを
苛々
(
いら/\
)
と考へながら道助は跳ね上るやうに半身を起こした。昨日の酒の
所為
(
せゐ
)
か頭が石のやうに重い。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
不死身のやうなおやぢのわからずに
苛々
(
いら/\
)
して、三田はぶかぶかの靴を穿いてゐる足に力を入れて
空
(
くう
)
を蹴つた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
或る日社から早目に歸つて來た圭一郎の
苛々
(
いら/\
)
した尖つた聲に、千登世はひとたまりもなく
竦
(
すく
)
み上つて
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
欣之介の傷ついた心には、その後の曇天が以前にも増して一層暗欝に一層
厭
(
いと
)
はしいものに感じられた。彼は、世に
容
(
い
)
れられない不遇の詩人のやうに
徒
(
いたづ
)
らに
苛々
(
いら/\
)
した。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
苛々
(
いら/\
)
しながら、たわいのない、
恰
(
あたか
)
も
盆
(
ぼん
)
とお
正月
(
しやうぐわつ
)
と
祭禮
(
おまつり
)
を、もう
幾
(
いく
)
つ
寢
(
ね
)
ると、と
前
(
まへ
)
に
控
(
ひか
)
へて、そして
小遣錢
(
こづかひせん
)
のない
處
(
ところ
)
へ、ボーンと
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
鐘
(
かね
)
を
聞
(
き
)
くやうで、
何
(
なん
)
とも
以
(
もつ
)
て
遣瀬
(
やるせ
)
がない。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
渠は心が頻りに
苛々
(
いら/\
)
してるけれど、竹山の存外平氣な物言ひに取つて掛る機會がないのだ。一分許り話は斷えた。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
大久保
(
おほくぼ
)
はちらとそれを
見
(
み
)
ると、いきなり
険悪
(
けんあく
)
な
目
(
め
)
をして、「ちよツ」と
苛々
(
いら/\
)
しげに
舌
(
した
)
うちしながら、
拳
(
こぶし
)
をかためて、
彼女
(
かのぢよ
)
の
鼻梁
(
はなばしら
)
を
火
(
ひ
)
が
出
(
で
)
たかと
思
(
おも
)
ふほど
撲
(
なぐ
)
りつけた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
一日の勞務が終ると、寄食してゐる叔父の家に歸り、入浴して晩餐の卓にむかふのであるが、恰も殖民地に特有なもののやうに思はれる
苛々
(
いら/\
)
した心状を免れる事は出來なかつた。
貝殻追放:011 購書美談
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
矜
(
ほこ
)
りの全部としてゐる隣人に対する偽善的行為に、哀れな売名心に、さうした父の性格の中の嘘をそつくり受け継いでゐて何時も
苛々
(
いら/\
)
してゐる私は、苦もなく
其処
(
そこ
)
に触れて行つて父を衝撃した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
お菊 (
苛々
(
いら/\
)
して。)えゝ、なんとしたものであらう。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「その顔色はどうしたんだ。」と彼が
苛々
(
いら/\
)
と尋ねた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
苛々
(
いら/\
)
するから、
此方
(
こつち
)
はふてくされで
突掛
(
つゝかゝ
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恰度野村の前にある赤インキの大きな
汚染
(
しみ
)
が、新らしい机だけに、胸が
苛々
(
いら/\
)
する程血腥い厭な色に見える。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
頼りにならない相手の返事に少々
苛々
(
いら/\
)
して、食臺についた肱にも力が入つた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
たえ子はその
晩
(
ばん
)
も女中のお春と二人きりの
淋
(
さび
)
しい食卓に向つて、腹立しさと侮辱と悲哀とに
充
(
みた
)
された弱い心を
強
(
し
)
ひて平気らしく
装
(
よそほ
)
ひながら
箸
(
はし
)
を執つてゐたが、続いて来る
苛々
(
いら/\
)
しい長い一夜を考へると
復讐
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
顏一體を波立つ程
苛々
(
いら/\
)
させ乍ら、「肉の叫び! 肉の叫び!」と云つて入つて來た事があつた。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
胡坐
(
あぐら
)
をかいて居た事がなかつたらうかと考へたが、これも甚だ不正確なので、ハテ、何處だつたかと、氣が少し
苛々
(
いら/\
)
して來て、東京ぢやなかつたらうかと、無理な方へ飛ぶ。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何も彼も興味が失せて、少しの間も靜かにしてゐられないやうに氣が
苛々
(
いら/\
)
してゐた。
不穏
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
苛々
(
いら/\
)
した心地で人なだれに交つて歩いた事、兩國近い河岸の
割烹店
(
レストーラン
)
の窓から、目の下を飛ぶ電車、人車、駈足をしてる樣な急しい人々、さては、濁つた大川を上り下りの川蒸汽、川の向岸に立列んだ
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
信吾は
苛々
(
いら/\
)
して不快な感情に支配されてゐる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
苛
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
々
3画
“苛”で始まる語句
苛
苛立
苛責
苛酷
苛烈
苛辣
苛斂誅求
苛苛
苛税
苛政