耳許みゝもと)” の例文
「え、え、」と、ちひさなしはぶきを、彼方かなた二階にかいでしたのが、何故なぜ耳許みゝもとほがらかにたかひゞいた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
道々みち/\も一ぷん絶間たえまもなくしやべつゞけて、カフカズ、ポーランドを旅行りよかうしたことなどをはなす。さうして大聲おほごゑ剥出むきだし、夢中むちゆうになつてドクトルのかほへはふツ/\といき吐掛ふつかける、耳許みゝもと高笑たかわらひする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
はるながらえるまで、かげくさくのである。あかりすので、かさつて引被ひきかぶつて、あし踏伸ふみのばして、ねむりかける、とニヤゴといた、きそれが、耳許みゝもとで、小笹こざさ
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はるながらえるまで、かげ草葉くさばうらく。ひかりすのでかさつて引被ひつかぶつて、あし踏伸ふみのばして、ねむりかけるとニヤゴー、きそれが耳許みゝもとで、小笹こざさくのがきこえた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
口のはたむず/\するまで言出いひいだしたさにたへざれども、怪しき婦人が予をいましめ、人にひそと謂へりしが耳許みゝもとに残りりて、語出かたりいでむと欲する都度つど、おのれ忘れしか、秘密を漏らさば
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それかあらぬか、昨夜ゆうべ耳許みゝもとでニヤゴ/\いて、のために可厭いやゆめた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旅僧たびそう年紀とし四十二三、全身ぜんしんくろせて、はなたかく、まゆく、耳許みゝもとよりおとがひおとがひよりはなしたまで、みじかひげまだらひたり。けたる袈裟けさいろせて、法衣ころもそでやぶれたるが、服裝いでたちれば法華宗ほつけしうなり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)