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節々
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ふしぶし
ふりがな文庫
“
節々
(
ふしぶし
)” の例文
毎朝、彼が
母屋
(
おもや
)
の中央の贅沢な
呉蓙
(
ござ
)
の上で醒を覚ます時は、身体は終夜の労働にぐったりと疲れ、
節々
(
ふしぶし
)
がズキズキと痛むのである。
南島譚:01 幸福
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
起き返ろうとしたが
節々
(
ふしぶし
)
が痛い、じっとしていれば
昏々
(
こんこん
)
として眠くなる、小川の
縁
(
ふち
)
へのたって行って水を一口飲んで、やっと気が定まる。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それらの蘆の短い
節々
(
ふしぶし
)
を洗ひきよめながら、うねりうねつて、解きほぐした絹糸の束のやうにつやつやしく、なよやかに揺れながら流れた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
ネチネチとトロ火で
油煎
(
あぶらいり
)
されるように痛めつけられたら精も根も
竭
(
つ
)
きて
節々
(
ふしぶし
)
までグタグタになってしまうと、恐れを成さずにはいられまい。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それとも、からだの
節々
(
ふしぶし
)
がいたみ、だんだん
四肢
(
てあし
)
のうごきに不自由を感ずるところを見ると、今でいうリウマチとでもいうのかもしれない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
いわれてみれば、豪気な秦明も五体
節々
(
ふしぶし
)
痛い所だらけである。手当をうけてつい二日は過ぎた。しかし考えると居ても起ってもいられない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四日目の晩、私は
節々
(
ふしぶし
)
の痛い身を運んで英子の家まで歩いて行った。電車に乗って多くの人と顔を合せるのが嫌だったから。
運命のままに
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
節々
(
ふしぶし
)
はゆるみ肉はだれ、気息をととのえるさえ
覚束
(
おぼつか
)
ない。太刀を構えて立ったものの、足もとさえも定まらない。睨んだ眼先がチラチラする。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
蘿月は若い時分したい放題身を
持崩
(
もちくず
)
した道楽の
名残
(
なごり
)
とて時候の
変目
(
かわりめ
)
といえば今だに骨の
節々
(
ふしぶし
)
が痛むので、いつも人より先に秋の立つのを知るのである。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
節々
(
ふしぶし
)
はひどく痛みを覚えながら、
発作
(
ほっさ
)
の過ぎ去った葉子は、ふだんどおりになって起き上がる事もできるのだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
灰色の
繻子
(
しゅす
)
に
酷似
(
こくじ
)
した腹、黒い
南京玉
(
ナンキンだま
)
を想わせる眼、それから
癩
(
らい
)
を病んだような、醜い
節々
(
ふしぶし
)
の
硬
(
かた
)
まった脚、——蜘蛛はほとんど「悪」それ自身のように
女
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
軍靴の
鋲
(
びょう
)
が階段に触れる音が、けだるい
四肢
(
しし
)
の
節々
(
ふしぶし
)
に
幽
(
かす
)
かに響いて来る、跫音はそのまま遠ざかるらしかった。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
余りいつまでも打たれている
中
(
うち
)
に
障
(
ささ
)
えることの出来ない
怒
(
いかり
)
が
勃然
(
ぼつぜん
)
として
骨々
(
ほねぼね
)
節々
(
ふしぶし
)
の中から起って来たので、もうこれまでと源三は
抵抗
(
ていこう
)
しようとしかけた時
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
身にしむ
節々
(
ふしぶし
)
もあって源氏は涙がこぼれた。紫の女王のは特別にこまやかな情のこめられた源氏の手紙の返事であったから、身にしむことも多く書かれてあった。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
軒
(
のき
)
の
樋
(
とい
)
はここ十
年
(
ねん
)
の
間
(
あいだ
)
、一
度
(
ど
)
も
換
(
か
)
えたことがないのであろう。
竹
(
たけ
)
の
節々
(
ふしぶし
)
に
青苔
(
あおこけ
)
が
盛
(
も
)
り
上
(
あが
)
って、その
破
(
わ
)
れ
目
(
め
)
から
落
(
お
)
ちる
雨水
(
あまみず
)
が
砂時計
(
すなどけい
)
の
砂
(
すな
)
が
目
(
め
)
もりを
落
(
お
)
ちるのと
同
(
おな
)
じに、
絶
(
た
)
え
間
(
ま
)
なく
耳
(
みみ
)
を
奪
(
うば
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ここに始めて精神の興奮絶頂に達し猛然たる勇気は
四肢
(
しし
)
の
節々
(
ふしぶし
)
に振動した。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
一日の
節々
(
ふしぶし
)
である大きな仕事をすましたあとで、ちょっとすわるとか腰でもかけて、ああきょうは美しい日だと空でもながめるか、新聞でも読むか、そうしたゆとりはつくらなくてはならない。
女中訓
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
彼れは舊來の毒のきゝめで方々の
節々
(
ふしぶし
)
が凍るやうな痛さを感じた。
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
節々
(
ふしぶし
)
は、
垢切
(
あかぎれ
)
に捲かれた膏薬で折り曲げもならぬほどであった。
蜜柑
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
おとら 体の
節々
(
ふしぶし
)
が痛くなって困ってしまう。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
お前の身が
節々
(
ふしぶし
)
解けて散らないうちに。
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
その言葉の
節々
(
ふしぶし
)
が何もかも心得ているもののようで、真綿で首を締められるように苦しくもあるが、この人だけに頼もしいところもあります。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鎮痛剤がきいて来たのか、
節々
(
ふしぶし
)
の痛みはよほどやわらいで来た。大通りからちょっと横町に入って、車は停る。降りて宿屋の門をくぐる。
帳場
(
ちょうば
)
に行って案内を乞う。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
実際また僕の
体
(
からだ
)
はろくに身動きもできないほど、
節々
(
ふしぶし
)
が痛んでいたのですから。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
怪しの
節々
(
ふしぶし
)
この日頃中、心にかかりおりましたが、ただ今のお言葉きくからに、いよいよ怪しく存じまする。……明日死ぬか今日死ぬか、お言葉どおり人の身の上は、老少不定にござります。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……とはいえ、
節々
(
ふしぶし
)
の痛さ、綿のような疲れ、野太刀を杖に、それからの彼は、まるで亡霊が歩いている姿に異ならない。そしてどこをどう歩いたやらの覚えもなかったが、夜の白々明け頃
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いはんやその誤を正さん
親切気
(
しんせつぎ
)
においてをや。時折
遠国
(
えんごく
)
の見知らぬ人よりこまごまと我が
拙
(
つたな
)
き著作の面白き
節々
(
ふしぶし
)
書きこさるるに逢ひてもこれまたそのままに打過して厚き
志
(
こころざし
)
を無にすること
度々
(
たびたび
)
なり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
七兵衛の挙動に
合点
(
がてん
)
のゆかぬ
節々
(
ふしぶし
)
を感づいてみると、そこにもまた多少の心淋しさが湧いて来ないわけにはゆきません。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
銀流しが
剥
(
は
)
げるにきまってる、いつものがんりきならここらで逃げ出すんだが、身体の
節々
(
ふしぶし
)
が痛んで歩けねえ
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
痴鈍な自分の
頭脳
(
あたま
)
を振って、一も二も昔のことを考え出し、大先生のおっしゃったお言葉の
節々
(
ふしぶし
)
を思い起し、ゆっくり考えて、考え抜いてみようと与八が覚悟をきめました。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
高声私語する
節々
(
ふしぶし
)
を聞いていると、
金城湯池
(
きんじょうとうち
)
をくつがえすような気焔だけはすさまじい。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
節
常用漢字
小4
部首:⽵
13画
々
3画
“節”で始まる語句
節
節穴
節句
節会
節奏
節季
節廻
節供
節約
節操