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科
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しぐさ
ふりがな文庫
“
科
(
しぐさ
)” の例文
「なんだい、あの音は」食事の
箸
(
はし
)
を止めながら、耳に注意をあつめる
科
(
しぐさ
)
で、行一は妻に
眴
(
めくば
)
せする。クックッと含み笑いをしていたが
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
風が添ったか、紙の幕が、
煽
(
あお
)
つ——煽つ。お稲は
言
(
ことば
)
につれて、すべて
科
(
しぐさ
)
を思ったか、
振
(
ふり
)
が手にうっかり乗って、
恍惚
(
うっとり
)
と目を
睜
(
みは
)
った。……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言葉や
科
(
しぐさ
)
によつて表示する生活であるから、前者の生活から、歌舞伎式の楽劇が生れ、後者から文学的な
科白
(
せりふ
)
劇が生れたのは当然である。
演劇漫話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
猫の
科
(
しぐさ
)
以上に一歩も出ないで、口の悪い劇評家なぞから、深井の虎は文字通りに、虎を描いて猫に類するなぞと云はれては癪だ。
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
その技芸
素
(
もと
)
より
今日
(
こんにち
)
の如く発達しおらぬ時の事とて、
科
(
しぐさ
)
といい、
白
(
せりふ
)
といい、ほとんど滑稽に近く、全然
一見
(
いっけん
)
の
価
(
あたい
)
なきものなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
▼ もっと見る
思わせぶりな
科
(
しぐさ
)
で盃をふくんでおりますのは、第三回、酒場「巴里」の場へ登場した、有明荘六人の住人の一人犬居仁平の養子の印東忠介。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大五郎に扮する座頭の外は科白も
科
(
しぐさ
)
も間に合せである。科白の中に「お客様がただのお神楽ばかりを観て此処へは来ない」
月二夜
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
少
(
すこ
)
し
間
(
ま
)
をおいてから、R
国
(
こく
)
婦人
(
ふじん
)
が一
人
(
り
)
起
(
た
)
つて、やゝ
長
(
なが
)
い
叙事的歌詞
(
じよじてきかし
)
のやうなものを、
多少
(
たせう
)
の
科
(
しぐさ
)
を
交
(
まじ
)
へて
演
(
えん
)
じ
出
(
だ
)
した。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
一天の
景
(
かげ
)
は、寒く、こころを
憑
(
の
)
り
秉
(
と
)
つて、歎きの
科
(
しぐさ
)
を強ひる。——わたしはその群る虫に、その虫の歌に、汎として
泛
(
う
)
き流れるサモス派の船である。…
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
私にはいかにも
不具者
(
かたわもの
)
同士仲よくしようよ! と言わぬばっかりの
科
(
しぐさ
)
に思われて、厭わしさに私は一歩身を引いた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
小母さんは、小さな声で、こう云われまして、子供のするような
科
(
しぐさ
)
で、少し肩をすくめられました。光子さんは
ながうた勧進帳:(稽古屋殺人事件)
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
いつだつたかもある
劇
(
しばゐ
)
の稽古してゐる時、女優の一人に
科
(
しぐさ
)
が
何
(
ど
)
うしてもフロオマンの気に入らないのがあつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
落人も見るかやの歌の
辺
(
あたり
)
は、真面目な著附で出た二人が真面目な
科
(
しぐさ
)
をしてゐた。さて、
詞
(
ことば
)
に色をや残すらむで、二人が抱き合ふと、そこへ山賊が大勢出る。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
(ファウスト鍵を持ちて厳かに命ずる如き
科
(
しぐさ
)
をなす。メフィストフェレスそれを見て。)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
言ひ換へれば、舞臺の上の人物が何の積りで、何の爲にそんな事をするのかは少しも解することが出來ずに、唯其
科
(
しぐさ
)
の荒々しく、自分等の習慣に戻つてゐるのを見て驚いたのである。
所謂今度の事:林中の鳥
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
一体動物は人間に対してひどく好き嫌ひがある。人間のちよつとした
科
(
しぐさ
)
を見て、
直
(
すぐ
)
に敵にすることがある。この子猿を人がハアヴルから連れて来た時、己は丁度ソフアの上に寝てゐた。
猿
(新字旧仮名)
/
ジュール・クラルテ
(著)
いかにも病人を
労
(
いたは
)
るやうな
科
(
しぐさ
)
をしながら羽根蒲団へ手を掛けようとした途端……わたしは此処で目が覚めた、しまつた、と思つたが、その瞬間、病人らしく弱は/\しい声で「伯母様」と
癖
(新字旧仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
雛鶏
(
ひよっこ
)
の
翼
(
はね
)
、役目重大な駅長のような帽子。ひっきりなしに肩を
聳
(
そび
)
やかしている
鸛
(
こうづる
)
(しまいに、その
科
(
しぐさ
)
はなんの意味もないことがわかる)。みすぼらしいモーニングを着た、寒がりのアフリカ
鶴
(
づる
)
。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
これだけの
科
(
しぐさ
)
でも、生き馬の眼を抜く編輯長の資格は落第なんだが。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そしてわざとこの
科
(
しぐさ
)
をこの場合に用いたのであった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
その
科
(
しぐさ
)
は、女学生風の誇張に似て、どこか艶めかしく、田丸は、思はず頸筋へむつとしたものを感じ、喉の奥が引きつれ、ぐいと唾をのんだ。
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
ぷんと、それが
臭
(
くさ
)
かった。番台では汚れ腐った白上衣を着た角刈の中僧が無精な
科
(
しぐさ
)
でコップをゆすいでい、二人の先客がひっそりとその前の
卓
(
テーブル
)
に坐っていた。
金狼
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「まだじゃねえか、まだお前、その
行燈
(
あんどん
)
がかがみにならねえよ……
科
(
しぐさ
)
が抜けてるぜ、早く
演
(
や
)
んねえな。」
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
迂愚
(
おろか
)
なる旅人が
旅宿
(
イン
)
を逭れて五日といふ
旦暮
(
あけくれ
)
は、これなる(かれは首から下げたズダ袋をはたく
科
(
しぐさ
)
をしてみせる)山蟻、あれなる黄蜂の巣、さては
天牛虫
(
かみきり
)
、油虫、これに
酢模
(
すかんぽ
)
、山独活をそへ
希臘十字
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
それから、また、にんじんの鼻先で、
科
(
しぐさ
)
たっぷりの文句を並べる——
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
さういふ夫の
科
(
しぐさ
)
は、しかし、初瀬にとつて、いつも駄々ツ子のやうにみえ、妙に分別臭い時よりはずつとよかつた。
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
ときどき眼へ手を持ってゆくが、それもほんの
科
(
しぐさ
)
だけ。悲しそうな顔はしているが無理につくったようなところがあって、どうもそのままには受けとりにくい。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……
伊達
(
だて
)
の
煙管
(
きせる
)
は、煙を吸うより、手すさみの
科
(
しぐさ
)
が多い
慣習
(
ならい
)
である。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「舞踊」が皆無となり、「身振り」が「
科
(
しぐさ
)
」となり、「歌詞」の一部が「
白
(
せりふ
)
」となる喜歌劇よりヴォードヴィルに至つて、益々此の傾向が著しくなる。
演劇一般講話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
小竜は美しい
科
(
しぐさ
)
でちょっと身をひらくと、すがりつくような眼つきで顎十郎の顔を見あげながら
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……
伊達
(
だて
)
の
煙管
(
きせる
)
は、煙を吸ふより、手すさみの
科
(
しぐさ
)
が多い
慣習
(
ならい
)
である。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
声を忍んで肩で笑ふ
科
(
しぐさ
)
には、素朴で明るい慎み深さがみえるけれど、女が誰でも一応は尻ごみしさうなことを、平気でおいそれと引受けてしまふことと
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
娘は真名古の顔を見ると、あら、と叫んで小鳥がとまり木から飛び立つような
科
(
しぐさ
)
で立上った。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
まして、「言葉」の間接手段たる身ぶり、手つき、その他一切の
科
(
しぐさ
)
は、顔面の表情と共に、ある場合にはそれのみで人間の思想感情を的確に伝へるものである。
「語られる言葉」の美
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
巡査部長はそろそろと加十の方へ近寄って来ると揉み手をせんばかりの
科
(
しぐさ
)
で
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ここで、「言葉」とは、「肉声化された言葉」のあらゆる表情を指すことは勿論、その表情を助けるための
科
(
しぐさ
)
及び、その「言葉」の延長たる沈黙などを含むものである。
演劇本質論の整理
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
山川以外の人間には、ありふれた猿の
科
(
しぐさ
)
としか見えないことも、山川には、はっきりと意味を伝える言葉になって聞え、酩酊して朦朧となりかけると、津村の声で、「おい、注げ注げ」という。
蝶の絵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
が、さういふ
科
(
しぐさ
)
では処理できない切羽つまつた気持が、もくもくと頭をもたげて来る。咄嗟に、亡くなつた夫の顔が眼に浮んだ。しかし、それは今夜に限つたことではない。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
千太は、こうっと、と言いながら、
科
(
しぐさ
)
でなぞって見て
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
白
(
せりふ
)
と
科
(
しぐさ
)
の一致、乃至、白を云ひながら、その表象をするといふ研究が、非常に幼稚である。
「語られる言葉」の美
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
いやらしい
科
(
しぐさ
)
でおいでおいでと手まねきをした。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
科
(
しぐさ
)
との関係、それから最後にテキストの修辞的及び心理的研究、かう進んで行くのであるが、結局は言葉の抑揚(Inflexion)に於ける「絶対的正確」を期するに在る。
物言う術
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
果すべき
科
(
しぐさ
)
を、残りなく演じてみせた。
予言
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
(ラヂオ・ドラマ、パントマイム)ただ、その「言葉」は、「語られる言葉」であつて、「書かれた言葉」であつてはならず、その「身振り」は、「
科
(
しぐさ
)
」の範囲に限られてゐる。
演劇論の一方向
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
顎十郎は、大袈裟に引きとめる
科
(
しぐさ
)
で
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あの
間伸
(
まの
)
びのした台詞廻し、朗読の範囲を一歩も出ない抑揚緩急、
科
(
しぐさ
)
と
白
(
せりふ
)
との間に出来るどうすることも出来ない空虚、これ等は前にも述べた戯曲の文体から生ずる欠陥である。
芸術座の『軍人礼讃』
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
と、なにか妙な
科
(
しぐさ
)
をしてみせた。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
早い話が、恋愛の場面の如き、日本人には真似のできないやうな
科
(
しぐさ
)
や
白
(
せりふ
)
も、今日の青年男女にとつては、たしかに、ああいふ国に生れたらといふ憧憬に似た嘆きを漏らさせる種であらう。
西洋映画は何故面白いか?
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
類型的感情を現す
科
(
しぐさ
)
などが、頭にこびりついてゐて、新しい傾向の戯曲を読む場合にも、その戯曲中の人物を、在来の芝居に出て来る人物の型に嵌めて解釈する誤りに陥り易いものです。
演劇漫話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
ラケットを、ひよいと肩にかついで、くるりと踵で廻つた、この少女の大人びた
科
(
しぐさ
)
には、明らかに、残忍とも云ふべきものがあつた。少くとも、弘は、心寂しく、その後ろ影に見入つてゐた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
“科”の意味
《名詞》
(とが 「咎」とも)非難・懲罰されるべき行為。
(カ)生物の分類のひとつ。界-門-綱-目-科-(族)-属-(節)-種
(出典:Wiktionary)
科
常用漢字
小2
部首:⽲
9画
“科”を含む語句
罪科
莫斯科
科白
科学
大英百科全書
前科者
科人
外科
蓼科
理科
科長
科学者
蘭科
教科書
科戸
内科
蓼科山
学科
文科
分科
...