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ふりがな文庫
“
秋刀魚
(
さんま
)” の例文
駄菓子ではつまらないと見えて腹がグウグウ
辛気
(
しんき
)
に鳴っている。隣の古着屋さんの部屋では、
秋刀魚
(
さんま
)
を焼く強烈な匂いがしている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
魚も野菜も慥かにうまいし、料理のしかたもあっさりと凝っている。だがおれは、鯛の
刺身
(
さしみ
)
より
鰯
(
いわし
)
や
秋刀魚
(
さんま
)
の塩焼のほうが恋しくなった。
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
するとその農家の
爺
(
じい
)
さんと
婆
(
ばあ
)
さんが気の毒がって、ありあわせの
秋刀魚
(
さんま
)
を
炙
(
あぶ
)
って二人の大名に麦飯を勧めたと云います。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
甲州街道に
肴屋
(
さかなや
)
はあるが、無論塩物干物ばかりで、
都会
(
とかい
)
に溢るゝ
鯷
(
しこ
)
、
秋刀魚
(
さんま
)
の
廻
(
まわ
)
って来る時節でもなければ、肴屋の触れ声を聞く事は、殆ど無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
食膳に、やせ衰えた
秋刀魚
(
さんま
)
が一匹ずつ乗っているのである。それでも腹のあたりにうっすりと脂肪を乗せていた。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
▼ もっと見る
四丁艪
(
しちょうろ
)
の甚太夫、
鯰
(
なまず
)
の勘七、縄抜の正太郎、飛乗の音吉、
秋刀魚
(
さんま
)
の竹蔵、むささびの三次、——あのこの人の声だったんです、私に奥様のことを教えましたのは
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
レンジの上には、いつも排気用の電気扇が廻っているので、鮫や、
飛魚
(
とび
)
や、
秋刀魚
(
さんま
)
や、悪臭をたてる下等な魚を煮焼きしても、近所隣家に気どられずにすむ便宜がある。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それは柚味噌がやや一般的ならざる食物だからで、
鰯
(
いわし
)
や
秋刀魚
(
さんま
)
を焼く匂だったら、平俗を免れぬ代りに「爰も」ということについて、格別の問題は起らぬかも知れない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
勿論大したことなし、そしてね、バカでしょう、ゆうべは
秋刀魚
(
さんま
)
のトゲをのどに立てたのよ。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
女達がてんでに、お
櫃
(
ひつ
)
を抱えて運ぶ。焼かれた
秋刀魚
(
さんま
)
が、お皿の上で
反
(
そ
)
り返っている。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
こけが
秋刀魚
(
さんま
)
の
勘定
(
かんじょう
)
でもしてやしめえし、
指
(
ゆび
)
なんぞ
折
(
お
)
ってる
時
(
とき
)
じゃありゃァしねえぜ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
この次郎左衛門はこれまでに幾たびとなく血の雨を浴びて来た男だ。貴様たちの
鈍刀
(
なまくら
)
がなんだ、
白痴
(
こけ
)
が
秋刀魚
(
さんま
)
を振り廻すような真似をしやあがったって、びくともするんじゃあねえぞ。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ああお母さんは大好きな
秋刀魚
(
さんま
)
を焼いているんだな。きっとそうに違いない」
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は疲れた身体に熱い酒をそそぎ入れた。しかし私は酔わなかった。酌に来た女は
秋刀魚
(
さんま
)
船の話をした。船員の腕にふさわしい
逞
(
たくま
)
しい健康そうな女だった。その一人は私に
婬
(
いん
)
をすすめた。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
白い皿の上にのつた焼かれた
秋刀魚
(
さんま
)
は、たまらなく海が恋しくなりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
秋刀魚
(
さんま
)
が
乾物
(
ひもの
)
になったような顔をした。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一皿八銭の
秋刀魚
(
さんま
)
は、その青く光った油と一緒に、私とお千代さんの両手にかかえられて、サンゼンと生臭い匂いを二人の胃袋に通わせてくれるのだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
空腹
(
すきばら
)
へ、
秋刀魚
(
さんま
)
、
燒
(
やき
)
いもの
如
(
ごと
)
きは、
第一
(
だいいち
)
にきくのである。
折角
(
せつかく
)
、
結構
(
けつこう
)
なる
體臭
(
たいしう
)
をお
持合
(
もちあは
)
せの
御婦人方
(
ごふじんがた
)
には、
相
(
あひ
)
すまぬ。が……
從
(
したが
)
つて、
拂
(
はら
)
ひもしないで、
敷
(
し
)
かせ
申
(
まを
)
した。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
どこぞの
秋刀魚
(
さんま
)
を
狙
(
ねら
)
った
泥棒猫
(
どろぼうねこ
)
が、あやまって
庇
(
ひさし
)
から
路地
(
ろじ
)
へ
落
(
お
)
ちたのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「
鯷
(
しこ
)
は? 鯷?」「
秋刀魚
(
さんま
)
や秋刀魚!」のふれ声が村から村を
廻
(
まわ
)
ってあるく。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
見知らない赤いメリンスの風呂敷包みが部屋の隅に転がっていて、新らしい蛇の目の傘がしっとりと濡れたまま縁側に立てかけてあった。隣室では又今夜も
秋刀魚
(
さんま
)
だ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
例
(
れい
)
の
公園
(
こうゑん
)
に
上
(
のぼ
)
る
坂
(
さか
)
を
尻垂坂
(
しりたれざか
)
は
何
(
どう
)
した
事
(
こと
)
?
母衣町
(
ほろまち
)
は、
十二階邊
(
じふにかいへん
)
と
言
(
い
)
ふ
意味
(
いみ
)
に
通
(
かよ
)
ひしが
今
(
いま
)
は
然
(
しか
)
らざる
也
(
なり
)
。——
六斗林
(
ろくとばやし
)
は
筍
(
たけのこ
)
が
名物
(
めいぶつ
)
。
目黒
(
めぐろ
)
の
秋刀魚
(
さんま
)
の
儀
(
ぎ
)
にあらず、
實際
(
じつさい
)
の
筍
(
たけのこ
)
なり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「函根の大地獄が火を噴いて、
蘆
(
あし
)
の
湖
(
こ
)
が並木にでもなるようなことがあったら、もう一度、
焚火
(
たきび
)
で
秋刀魚
(
さんま
)
の
乾物
(
ひもの
)
を
焚
(
や
)
いて、往来へ張った網に、一升徳利をぶら下げようと思わねえこともねえんでね。」
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“秋刀魚”の意味
《名詞》
秋刀魚 (シュウトウギョ、さんま※熟字訓)
魚類の、サンマ。
《名詞》
秋刀魚 (さんま)
三人麻雀の別名。
(出典:Wiktionary)
“秋刀魚(サンマ)”の解説
サンマ(秋刀魚、青串魚、夏刀魚) は、ダツ目-ダツ上科-サンマ科-サンマ属に分類される、海棲硬骨魚の1種。北太平洋に広く生息する。
日本では秋の味覚を代表する食材のひとつとして供される他、季節を問わず缶詰食品などの具材としても利用される。
近年、水揚量が激減している。
(出典:Wikipedia)
秋
常用漢字
小2
部首:⽲
9画
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
魚
常用漢字
小2
部首:⿂
11画
“秋”で始まる語句
秋
秋風
秋雨
秋海棠
秋波
秋日和
秋草
秋霜
秋毫
秋山