神々かう/″\)” の例文
「兎も角、此上はお幽に口を割らせる外は無いが、あの娘は滅法綺麗な癖に、神々かう/″\しいほど取澄してるから、俺やお前ぢや手に負へまい」
その飛鳥の宮の 日のみ子さまに仕へたと言ふお人は、昔の罪びとらしいに、其が亦どうした訳で、姫の前に立ち現れて神々かう/″\しく見えるのだらう。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
神々かう/″\しき朝日あさひむかつて祈念きねんこらしたこともあつたのです。ふとおもあたつたときにはかれおもはずをどあがつてよろこんださうです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いつの掃除さうぢをしたものか朝露あさつゆ湿しめつた小砂利こじやりの上には、投捨なげすてたきたな紙片かみきれもなく、朝早い境内けいだいはいつもの雑沓ざつたふに引かへてめうに広く神々かう/″\しくしんとしてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かげに、端麗あでやかさも端麗あでやかに、神々かう/″\しさも神々かう/″\しい、はかまひめが、お一方ひとかた孫一まごいち一目ひとめなすつて
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝろ夜叉やしゃ! うつくしい虐君ぎゃくゝんぢゃ! はとはねからすぢゃ! 狼根性おほかみこんじゃう仔羊こひつじぢゃ! 神々かう/″\しうてこゝろさもしい! 外面うはべとは裏表うらうへ! いやしい聖僧ひじり氣高けたか惡黨あくたう! おゝ、造化主ざうくわしゅ
とほくからますと小山こやまのようであり、ちかくにきますとおほきなまつ御陵ごりようのまはりにしげつてじつ神々かう/″\しく、參拜者さんぱいしやたれでもその威嚴いげんたれるのであります。(第六十三圖だいろくじゆうさんず
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
松林の中の小暗い坂道の神々かう/″\しいやうな美しさや、あらはな岩の莊嚴さや、さては水晶のやうに澄んだすが/\しい朝、不思議な悲しさに滿ちた、夢見心地の秋の午後などに親しむことが出來た。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
いまのぼるのをなさい、なん神々かう/″\しい景色けしきではないか』とやさしく言葉ことばをかけるまで、若者わかものなにおもひまもなく、ただ茫然ばうぜん老人らうじんかほたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いかにも埴輪はにわいへかたちおもさせるのは、なんと神々かう/″\しいことではありませんか。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
日本人に生れたからにはもう一度あの富士山を子供の時のやうな心持で神々かう/″\しく打仰いで見たいと思ひながらそれが最う不可能になつてしまつたのかと思ふと情ない氣がしてならなかつたのである。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
神々かう/″\しいぢやアないか、人間にんげんといふものは何時いつでも此初日出このはつひのでひかりわすれさへなければいのぢや』と老人らうじんかんえぬやうにつてあはしてしづかに禮拜れいはいしました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)