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矜
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ほこり
ふりがな文庫
“
矜
(
ほこり
)” の例文
清潔好
(
きれいずき
)
な
彼
(
かれ
)
には
派手
(
はで
)
な
手拭
(
てぬぐひ
)
の
模樣
(
もやう
)
が
當時
(
たうじ
)
矜
(
ほこり
)
の
一
(
ひと
)
つであつた。
彼
(
かれ
)
はもう
自分
(
じぶん
)
の
心
(
こゝろ
)
を
苛
(
いぢ
)
めてやるやうな
心持
(
こゝろもち
)
で
目欲
(
めぼ
)
しい
物
(
もの
)
を
漸次
(
だん/\
)
に
質入
(
しちいれ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
或時は、着物の出来るのが嬉しかったり、或時は財産を譲渡されると云う、遠い先のことに朧げな
矜
(
ほこり
)
を感じていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
風の、その
慌
(
あわただ
)
しい中でも、
対手
(
あいて
)
が教頭心得の先生だけ、もの
問
(
とわ
)
れた心の
矜
(
ほこり
)
に、話を咲せたい源助が、薄汚れた
襯衣
(
しゃつ
)
の
鈕
(
ぼたん
)
をはずして、ひくひくとした胸を出す。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
われ一人の女性を救ひ、茲に妻となして、永恒の
赤縄
(
ゑにし
)
を結ぶと雖も、いささかも亦浮きたる
矜
(
ほこり
)
を思はず。人間の悲願いよいよ高けれども、又あながち世の
鄙俗
(
いやし
)
きを棄てず。
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
善美や儀式に飽いた将軍家は、信長の喰べるのを見て、年も若いし、田舎者には、都の物が、何を喰べても美味なのであろうと、せめて、そう思うことで、
矜
(
ほこり
)
を持していた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
死ぬるともゆずらぬ
矜
(
ほこり
)
を持ち、国々の隅々にいたるまで、
撩乱
(
りょうらん
)
せよ、である。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
百歳にして恋を得たと
矜
(
ほこり
)
がましく仰有っても、いいくらいよ、あたいはもう金魚じゃないわね、一枚の渋紙同様のおじさまだって生きていらっしゃるんだもの、一たい何処にいのちがあるのよ
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
すべてを与へたのだといふ
矜
(
ほこり
)
のやうな気持が湧いてゐるにはゐた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
あはれ
汝
(
なんぢ
)
らが
矜
(
ほこり
)
高かる心には
暴風
(
あらし
)
もなどか今さらに悲しからむ。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
「うむ、
枕
(
まくら
)
おつゝかるやうに
成
(
な
)
つたからえゝこたえゝに」
卯平
(
うへい
)
のいふのを
聞
(
きい
)
て
勘次
(
かんじ
)
は
幾
(
いく
)
らか
矜
(
ほこり
)
を
以
(
もつ
)
て
又
(
また
)
白
(
しろ
)
い
木綿
(
もめん
)
を
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
養家にいた今までの周囲の人達に対する
矜
(
ほこり
)
を傷つけられるようなのも、肩身が狭かった。作太郎に嫁が来たと云う
噂
(
うわさ
)
が、年のうちに
此方
(
こっち
)
へも伝っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし私には白昼夏の光のふりそそぐ日比谷公園の音楽堂の上に、凡ての満足と充実した凡ての生の歓喜とを以てその古琴独奏の
矜
(
ほこり
)
を衆人の目前に曝すだけの勇気はない。そはあまりに無惨である。
桐の花とカステラ
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
久米一は元より柿右衛門の神経質な
作
(
さく
)
を嫌い、
古伊万里
(
こいまり
)
の老成ぶったのはなおとらなかった。で、この増長天王にあらん限りの華麗と熱と、若々しさと
矜
(
ほこり
)
と、自分の
精血
(
せいけつ
)
を
注
(
そそ
)
ごうとする意気をもった。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蓋
(
けだ
)
し劇場に向って、高く
翳
(
かざ
)
した手の指環の、玉の
矜
(
ほこり
)
の
幻影
(
まぼろし
)
である。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帰るときには、お島のいらいらした感情が、すっかり
和
(
なだ
)
められていた。そして
明日
(
あした
)
から又初めての仕事に働くと云うことが、何かなし彼女の
矜
(
ほこり
)
を
唆
(
そそ
)
った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
更
(
さら
)
に
其
(
そ
)
の
開墾
(
かいこん
)
に
第
(
だい
)
一の
要件
(
えうけん
)
である
道具
(
だうぐ
)
が
今
(
いま
)
は
完全
(
くわんぜん
)
して
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
に
提
(
さ
)
げられてある。
彼
(
かれ
)
は
恁
(
か
)
ういふ
辛苦
(
しんく
)
をしてまでも
些少
(
させう
)
な
木片
(
もくへん
)
を
求
(
もと
)
めて
居
(
ゐ
)
る
人々
(
ひとびと
)
の
前
(
まへ
)
に
矜
(
ほこり
)
を
感
(
かん
)
じた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
蓋
(
けだ
)
し劇場に向つて、高く
翳
(
かざ
)
した手の指環の、玉の
矜
(
ほこり
)
の
幻影
(
まぼろし
)
である。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
真素肌
(
ますはだ
)
のましろなる、
衣
(
きぬ
)
つけぬ
常若
(
とこわか
)
の
矜
(
ほこり
)
もて
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
石油ににじむ赤き
髪
(
け
)
に
雑種児
(
あひのこ
)
の
矜
(
ほこり
)
を思ひ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
矜
漢検1級
部首:⽭
9画
“矜”を含む語句
矜持
矜恃
矜誇
自矜
矜恤
矜羯羅
愛矜
勝矜
矜高
矜羯羅童子
矜疑
驕矜
自矜心
矜驕
矜迦羅
矜負
矜羯羅制吒迦
矜禍羅
矜特
矜持心
...