着飾きかざ)” の例文
それらのおとこは、楽器がっきらしたり、うたをうたったりしました。むすめらは、いずれもうつくしく着飾きかざって、これまでになくきれいにえました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さゝ、ヂュリエットをおこして、着飾きかざらせい。おれてパリスどのに挨拶あいさつせう。……さゝ、いそげ/\。婿むこどのは最早もうせたわ。いそいそげ。
宗助そうすけにはそれが意外いぐわいであつた。しかたいした綺羅きら着飾きかざつたわけでもないので、衣服いふくいろも、おびひかりも、夫程それほどかれおどろかすまでにはいたらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だれも彼もがはなやかに着飾きかざり、それぞれ美しい花のついた葵のかずらをかけて、衣裳いしょうには葵のかずらをつけている。……
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
着飾きかざった芸者たちがみがき上げた顔をびりびりするような夜寒よさむに惜しげもなく伝法でんぽうにさらして、さすがに寒気かんきに足を早めながら、ばれた所に繰り出して行くその様子が
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
村の男や女が着飾きかざつて、ぞろ/\この宮の境内けいだいに集まつて、佐倉宗五郎さくらそうごらうのぞきカラクリの前に立つたり、頭は犬で身體からだは蛇の物小屋ものごやに入らうか入るまいかと相談したり
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
小児こども着飾きかざらせて一人々々ひとり/\乳母を附けて芝居を見せようと云ふ豪奢がうしや性質たち、和上が何かに附けて奥方の町人気質かたぎを賎むのを親思おやおもひの奥方は、じつと辛抱して実家さとへ帰らうともせず
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
着飾きかざつた若い花見の男女をせていきほひよく走る車のあひだをば、おとよせた老車夫はかぢりながらよた/\歩いて橋を渡るやいな桜花あうくわにぎはひをよそに、ぐとなかがうまがつて業平橋なりひらばしへ出ると
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
王様はやぐらに上がって、大勢おおぜいの家来達と酒宴しゅえんをなされました。お城の門は表も裏もすっかり開け放されて、城下の人達が大勢はいって来ました。皆美しく着飾きかざって、お城の庭で踊りを致しました。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ねんに、一たれたやすですから、むすめたちは、着飾きかざって、きゃっきゃっといって、ともだちのうちなどをあるきまわりました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)