眞向まつかう)” の例文
新字:真向
差覗さしのぞきしと/\とまた歩行出あゆみだす折柄をりからばた/\駈來かけく足音あしおとに夫と見る間も有ばこそ聲をばかけ拔打ぬきうち振向ふりむくかさ眞向まつかうよりほゝはづれを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
醫學いがく原則げんそくは、醫者等いしやらをして貴方あなたじつはしめたのです。しかしながらわたし軍人風ぐんじんふう眞向まつかう切出きりだします。貴方あなた打明うちあけてひます、すなは貴方あなた病氣びやうきなのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いや、面喰めんくらつたのはやつこである。……れいつて「お手間てまれますツ。」をはないうちに、眞向まつかう高飛車たかびしやあびせられて、「へーい、」ともず、とんびさらはれた顏色がんしよく
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まだゑんづかぬいもとどもが不憫ふびんあね良人おつとかほにもかゝる、此山村このやまむら代〻だい/\堅氣かたぎぱう正直しようじき律義りちぎ眞向まつかうにして、風説うわさてられたことはづを、天魔てんまうまれがはりか貴樣きさまといふ惡者わる出來でき
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
船をめがけて眞向まつかうに沙塵を飛ばし、アカイアの
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
ニキタはぱツとけるより、阿修羅王あしゆらわうれたるごとく、兩手りやうてひざでアンドレイ、エヒミチを突飛つきとばし、ほねくだけよと其鐵拳そのてつけん眞向まつかうに、したゝかれかほたゝゑた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
拾ひ取眞向まつかうより唐竹割からたけわり切下きりさげたれば何かは以てたまるべき宅兵衞は聲をも立ず死したりけり吾助は一いきついあたりを見廻し宅兵衞が懷中ふところ掻探かきさぐ持合もちあはせたる金子五兩二分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
終に眞向まつかうより梨子割なしわりに割付られ其儘動とたふれ二言と云ず死たりけり此時近傍かたはらの非人小屋に乞食こつじきむしろかぶり寢て居たるが兩人の爭ふ聲を聞て恐れをなし莚を首にまとすきよりそつと戰ひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)