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痲痺
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まひ
ふりがな文庫
“
痲痺
(
まひ
)” の例文
その後の医師の診断によると、老人の過労から来る、急激な神経性の心臓
痲痺
(
まひ
)
というのだったそうだが、実に意外千万だったね。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
前者は白幕に映ずる幻燈絵の消えやすきに感ずるおぼつかなさであり、後者は
痲痺
(
まひ
)
せし掌の握れど握れど
手応
(
てごた
)
え無きに覚ゆる淋しさである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「わたしはこの間もある社会主義者に『貴様は
盗人
(
ぬすびと
)
だ』と言われたために心臓
痲痺
(
まひ
)
を起こしかかったものです。」
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其
(
そ
)
の
痲痺
(
まひ
)
する
力
(
ちから
)
に
對
(
たい
)
する
抵抗力
(
ていかうりよく
)
が
衰
(
おとろ
)
へて
居
(
ゐ
)
るので
徳利
(
とくり
)
が一
本
(
ぽん
)
づつ
倒
(
たふ
)
されて
次
(
つき
)
の
徳利
(
とくり
)
に
手
(
て
)
が
掛
(
かゝ
)
つたと
思
(
おも
)
ふ
頃
(
ころ
)
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
では一
同
(
どう
)
のたしなみが
亂
(
みだ
)
れて
威勢
(
ゐせい
)
が
出
(
で
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
寒気のために感覚の
痲痺
(
まひ
)
しかかった
膝
(
ひざ
)
の関節はしいて曲げようとすると、筋を
絶
(
た
)
つほどの痛みを覚えた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
恐らく神経が
痲痺
(
まひ
)
するであろう都の山岳宗徒に取りても、高鳴る胸を押し鎮めながら、有りし日の懐しき憶い出——過去の登山——にのみ空しく陶酔しているには
冬の山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
姉は心臓
痲痺
(
まひ
)
を起して了つてゐて、木村へ私が駆けつけた時分には、顔をみてももう私だとは解らぬらしくなつてゐた。私はイボタの虫の這入つた箱を母へ渡した。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
遠くにあって、
猿轡
(
さるぐつわ
)
をはめられ、手足を縛られ、
痲痺
(
まひ
)
してるようだった。その力が何を望んでいるのか、やがて何になろうとするのか、彼には想像もつかなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
かように心が
痲痺
(
まひ
)
して悪魔の親類のように落ぶれた時がきていても、食うことができて、そしてとりわけ欲しい物もないときには、人は泥棒もオイハギもしないのだ。
魔の退屈
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いかにも
窩人
(
かじん
)
の
長
(
おさ
)
らしい、こういう
惨酷
(
ざんこく
)
の方法をもって、彼は自分の肉体を苦しめ、娘に対する思慕の情と同じ者に対する
憎悪
(
ぞうお
)
の念とを
痲痺
(
まひ
)
させようとするのであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
卒中か、心臟
痲痺
(
まひ
)
か、兎も角そんなのを昔の人は頓死といふ言葉で片付けてしまひました。
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
我々の神経は
痲痺
(
まひ
)
しているせいだか何だかあなたの口にするような非難はとうてい持ち出す余地がない、芝居になれたものの眼から見ると、筋なぞはどんなに無理だって、妙だって
虚子君へ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家へ帰って五日目に心臓
痲痺
(
まひ
)
を起して
頓死
(
とんし
)
したとやら、ひとの行末は知れぬもの。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すると、うちの書生が二人ばかり
棍棒
(
こんぼう
)
か何かを持って集まって行った。うちの書生の一人に堀というのがいて顔面神経の
痲痺
(
まひ
)
していた男であったが、その男に私も附いて行ったことがある。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
南西太平洋軍総司令官「お身体の方はどうですか。
痲痺
(
まひ
)
はまだ参りますかな」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
金玉
(
きんぎょく
)
もただならざる貴重の身にして自らこれを
汚
(
けが
)
し、一点の
汚穢
(
おわい
)
は終身の弱点となり、もはや
諸々
(
もろもろ
)
の私徳に注意するの
穎敏
(
えいびん
)
を失い、あたかも精神の
痲痺
(
まひ
)
を催してまた私権を
衛
(
まも
)
るの気力もなく
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「文字ノ害タル、人間ノ頭脳ヲ犯シ、精神ヲ
痲痺
(
まひ
)
セシムルニ至ッテ、スナワチ極マル。」文字を覚える以前に比べて、職人は
腕
(
うで
)
が
鈍
(
にぶ
)
り、戦士は
臆病
(
おくびょう
)
になり、
猟師
(
りょうし
)
は獅子を射損うことが多くなった。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
張
(
はり
)
のない
痲痺
(
まひ
)
しきつた
笑
(
わらひ
)
を洩らしながら
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
痲痺
(
まひ
)
しきったような葉子の感覚はだんだん回復して来た。それと共に
瞑眩
(
めまい
)
を感ずるほどの頭痛をまず覚えた。次いで後腰部に鈍重な
疼
(
いた
)
みがむくむくと頭をもたげるのを覚えた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
せめて
身体
(
からだ
)
を
疲労
(
つか
)
らせ、それによって心の苦痛悲哀を
痲痺
(
まひ
)
させようと思い付いて、白
皚々
(
がいがい
)
たる八ヶ嶽を上へ上へと登って行き、猪を見付ければ猪と闘い熊を見付ければ熊と争い
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
蜂は間もなく翅が
利
(
き
)
かなくなった。それから脚には
痲痺
(
まひ
)
が起った。最後に長い
嘴
(
くちばし
)
が
痙攣的
(
けいれんてき
)
に二三度
空
(
くう
)
を突いた。それが悲劇の終局であった。人間の死と変りない、刻薄な悲劇の終局であった。
女
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしこの争いに彼の力の一部は
痲痺
(
まひ
)
していた。——また彼は、祖父から受け継いだ遺伝と争っていた。それもまた同じく
厭
(
いや
)
な遺伝で、自己を正確に表現することのはなはだしい困難さであった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
すれたというのか
痲痺
(
まひ
)
したというのか、いつのまにやらこの道場の生活に
狎
(
な
)
れて、ここへ来た当時の緊張を失い、マア坊などに話かけられても、以前のような興奮を覚えないし、まるで鈍感になって
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
旨
(
うま
)
い局所へ酒が
回
(
まは
)
つて、
刻下
(
こくか
)
の経済や、目前の生活や、又それに伴ふ苦痛やら、不平やら、心の底の
騒
(
さわ
)
がしさやらを全然
痲痺
(
まひ
)
して仕舞つた様に見える。平岡の談話は
一躍
(
いちやく
)
して
高
(
たか
)
い平面に飛び
上
(
あ
)
がつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これはおかしい」とこう思った時には、全身へ
痲痺
(
まひ
)
が行き渡っていた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
殺戮
(
さつりく
)
の天使の猛然たる
飛翔
(
ひしょう
)
は、三度の稲妻に翼を縛られて、ぴたりと止まる。周囲ではまだすべてが
戦
(
おのの
)
いている。酔える眼は
眩
(
くら
)
んでいる。心臓は鼓動し、呼吸は止まり、四
肢
(
し
)
は
痲痺
(
まひ
)
している……。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
半身が
痲痺
(
まひ
)
したり、頭が急にぼーっと遠くなる事も珍しくなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
世間には、心臓
痲痺
(
まひ
)
ということにしてありますけれど。
新樹の言葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
痲痺
(
まひ
)
して行くような気持ちでかぎにかいだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
奥さん(未亡人で、男の子がひとり、それは千葉だかどこだかの医大にはいって、間もなく父と同じ病いにかかり、休学入院中で、家には中風の
舅
(
しゅうと
)
が寝ていて、奥さん自身は五歳の折、小児
痲痺
(
まひ
)
で片方の脚が全然だめなのでした)
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
痲
漢検1級
部首:⽧
13画
痺
漢検1級
部首:⽧
13画
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痲痺剤
痲痺薬