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びょうしつ
二人は、いつかその
病院の
病室へ
案内されたのでした。
准尉は、
白い
衣物のそでに
赤十
字の
印のついたのを
被て、
足を
繃帯していました。
と、
急に
来た
人の
院長だと
解ったので、
彼は
全身を
怒に
顫わして、
寐床から
飛上り、
真赤になって、
激怒して、
病室の
真中に
走り
出て
突立った。
入り口の
障子をあけると、二
坪ほどな
板の
間がある。そこが
病畜診察所兼薬局らしい。さらに
入院家畜の
病室でもあろう、犬の
箱ねこの箱などが三つ四つ、すみにかさねあげてある。
子供の
病室の
窓から
見える、
青い
空には、きざんだ
色紙をちらしたように、
白い
雲、
赤い
雲、
紫の
雲が、
思い
思いの
姿で、
上になり、
下になり、
遊んでいるのを、
子供は
玄関から
病室へ
通う
戸は
開かれていた。イワン、デミトリチは
寐台の
上に
横になって、
肘を
突いて、さも
心配そうに、
人声がするので
此方を
見て
耳を
欹てている。
どの
病室にも、
顔色の
悪い
患者が、ベッドの
上に
横たわったり、あるいは、すわったりして、さも
怠屈そうに、やがて
暮れかかろうとする、
窓際の
光線を
希望なく
見つめているのでした。
その
後、まもなく、お
竹が、
口入れ
屋の
世話で、ある
私立病院の
病室にいた、
子供の
付き
添いとなったのも、どうせ
勤めるなら、すこしでも
国へ
送るのにお
金の
多いほうがいいと
思ったからでした。