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當世
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たうせい
彼は
其時服裝にも、
動作にも、
思想にも、
悉く
當世らしい
才人の
面影を
漲らして、
昂い
首を
世間に
擡げつゝ、
行かうと
思ふ
邊りを
濶歩した。
聞給ふとなりまことにありがたき事なり然るに
當世奉行役人は町人百姓を
夜中にてもかまはず
呼出し
腰かけに
苦勞を
今彼が
當世に
隱れも
無き、
櫻木海軍大佐から、
斯くも
懇篤なる
薫陶を
受けて
生長した
事は、
世界第一の
學校を
卒業したよりも、
私の
爲には
憘しいです。
良人の
名は
小松原東二郎、
西洋小間物の
店は
名ばかりに、
有あまる
身代を
藏の
中に
寐かして、さりとは
當世の
算用知らぬ
人よし
男に、
戀女房のお
律が
手ばしこさ
奧も
表も
平手に
揉んで
然れども
善く
(二五)書を
屬し
辭を
離ね、
事を
指し
情を
類し、
用て
(二六)儒・
墨を
剽剥す。
當世の
(二七)宿學と
雖も
(二八)自ら
解免すること
能はざる
也 其言(二九)洸洋自恣以て
己に
適ふ。
考へ給ふ處におよそ奉行たる者は
正路にあらざれば
片時も
立難し
其正直にて
仁義のもの
當世に少し然るに大岡越前守伊勢山田
奉行として先年の
境論ありし時いづれの奉行も
我武威を
よく/\これ
察すべきことなり
舜も人なり
我も人なり智に
臥龍(孔明の事なり)
勇に
關羽の如きもの
當世の人になからんや
爰に有章院殿の御代
大岡越前守伊勢山田
奉行となりてかしこに至り
諸人公事に
彼地にて多く
裁許あり先年より
勢州路紀州領の
境論の
公事ありてやむ事なし山田奉行
替りのたび事にねがひ出るといへども今もつて
落着せず是は