琉球りゅうきゅう)” の例文
同じ系統のものらしく、あるいは我々の国語の方にも、今の琉球りゅうきゅうのユタなどを包括して、もとそういう語が存在したように思われる。
琉球りゅうきゅう列島の戦が終った頃、隣県の岡山市に大空襲があり、つづいて、六月三十日の深更から七月一日の未明まで、くれ市が延焼した。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
染色そめいろは、くれない、黄、すかししぼり、白百合は潔く、たもと鹿の子は愛々しい。薩摩さつま琉球りゅうきゅう、朝鮮、吉野、花の名の八重百合というのもある。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
永禄えいろくあるいは文禄ぶんろく年間に琉球りゅうきゅうから伝わった蛇皮線じゃびせんを日本人の手で作りかえた、それがだんだんポピュラーになったものらしい。
日本楽器の名称 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あるいはその間、不思議に支那及び露西亜ロシアに両属の形を取った事、あたかも昔時せきじの我が琉球りゅうきゅうの如きものであったかも知らぬ。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
以前彼が江戸を去る時と同じように、引きまとめた旅の荷物は琉球りゅうきゅう菰包こもづつみにして、平兵衛と共に馬荷に付き添いながら左衛門町のかどを離れた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
天願氏は琉球りゅうきゅうの生れで、矢張り帝大を出た癖に毎日ぶらぶら遊んでいる。三十を越したやせた顔をしているが、生活費はどこから入るのか判らない。
風宴 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
日本が東シナ海を、琉球りゅうきゅう列島と台湾海峡で封鎖すれば、どんなに強くなるかということは、米国がよく知っている。この辺は、日本の新生命線じゃ。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
絣の技はもと琉球りゅうきゅうから伝ったものでありましょう。しかし久留米において最も大きな仕事に育ち、民衆の不断着になくてならないものとなりました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
人の評判では琉球りゅうきゅう芋焼酎いもしょうちゅうだといいますがね、とにかく味の変わったばかに辛くてうまい変てこりんな酒を飲ませるっていうんで、大繁盛だそうですよ。
琉球りゅうきゅう朱で赤く塗ってあって、銘には、「杜鵑管」と、金の針金を象篏ぞうがんしたように、細く小さく記してあった。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はその外琉球りゅうきゅうその他日本近海の島々をことごとく武力占領することを、時の大統領フィルモアに建言している。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
台湾のつぎには琉球りゅうきゅうの迷信を述べなければならぬ。まず琉球の宗教を見るに、祭天教と祭祖教である。祭天としては、ときどき天祠てんしの祭りを行うことになっている。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
今日こんにち身装なりこしらえがくすんでも居ず華美はででも無い様子、ちょっと適当のなりに拵え、旧九月四日の事でございましたが、南部なんぶあい万筋まんすじの下へ、琉球りゅうきゅうの変り飛白がすり下著したぎ
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
老舗しにせの小旦那といった風体で、結城紬ゆうきつむぎ藍微塵あいみじん琉球りゅうきゅうの下着、羽織は西川という堅気で渋い着つけ。
人々はいろいろ相談して、顔長の長彦には、支那しなからきたというみごとな紫檀したんの机を、顔丸の丸彦には、琉球りゅうきゅうからきたという大きな法螺ほらの貝を、記念の贈りものにしました。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それほどの誇りをった大商業地、富の地、殷賑の地、海の向うの朝鮮、大明だいみん琉球りゅうきゅうから南海の果まで手を伸ばしている大腹中のしたたか者の蟠踞ばんきょして、一種特別の出し風を吹出し
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
父の父、すなわち私たちの祖父に当たる人は、薩摩の中の小藩の士で、島津家から見れば陪臣であったが、その小藩に起こったお家騒動に捲き込まれて、琉球りゅうきゅうのあるところへ遠島された。
私の父と母 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
琉球りゅうきゅう塩豚料理しおぶたりょうり 春 第十 豚の刺身
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
琉球りゅうきゅうの旧王室では、以前地方の祝女のろかしらたちが拝謁に出たときに、必ず煙草の葉をもって賜物たまわりものとせられたことが記録に散見している。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それは技巧が齎らした美ではない。また個性が生んだ美ではない。あの自由と創造とを意識の所産と思い得ようや。友禅は琉球りゅうきゅうにおいて特に民衆化された。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
半蔵は大小二の旅の荷物を引きまとめ、そのうち一つは琉球りゅうきゅう莚包こもづつみにして、同行の庄屋たちと共に馬荷に付き添いながら板橋経由で木曾街道の方面に向かった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ここは遠い大内氏の時代から、南蛮なんばん、中国、琉球りゅうきゅうなどとの交易の要港で、経済的には、ふるくから日本のどこの都会よりも発達していたので、富豪が軒をならべていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恐らく我国の薬種やくしゅで無からう、天竺てんじく伝来か、蘭方らんぽうか、近くは朝鮮、琉球りゅうきゅうあたりの妙薬に相違ない。へば房々ふさふさとある髪は、なんと、物語にこそ謂へ目前まのあたりいたらすそなびくであらう。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
活力の満ちた、しめっぽい熱帯の空気が鼻のあなから脳を襲う。椰子やしの木や琉球りゅうきゅう芭蕉ばしょうなどが、今少し延びたら、この屋根をどうするつもりだろうといつも思うのであるが、きょうもそう思う。
どんぐり (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
琉球りゅうきゅう塩豚しおぶた 春 第十 豚の刺身
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
新しく琉球りゅうきゅうから渡来わたってきた三味線を工夫したり、またその三味線を基礎にして今様いまようの歌謡ができて来たり、その派生から隆達りゅうたつぶしだの上方唄だのが作られたり、そういったものは
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわゆる琉球りゅうきゅう三十六島の中でも、宮古みやこは異常に歴史の進化の歩みがはげしく、しかも天災地変の圧迫が強烈であって、人は悩み且つしばしば入替いれかわり、したがって言語文物の錯雑が著しいことは
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ある日電車の中で、有機化学の本を読んでいると、突然「琉球りゅうきゅう泡盛酒あわもり
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
琉球りゅうきゅう。麻地。紅型びんがた。五尺四寸角。石丸重治氏蔵。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
このたび、明智の御征伐あるにおいては、自然、六十余州は風になびいて御麾下ごきかと相成りましょう。従って私の望む地といっても日本国内では諸国共にさし合いがありましょうゆえ、願わくば琉球りゅうきゅう
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)