ぶつ)” の例文
りよ行の時にはもうこひ人のやうな伴侶はんりよで、撮影さつえい現像げんぞうつけ技量ぎれう自然しぜんと巧くなつて、學校での展覽會てんらんくわいでは得意とくいな出ひんぶつであり
今度のは相手がえらぶつなので騷動が大きくなり、養父の院長がかんかんに怒つてしまつたので、たうとう病院を飛出してしまつた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
所詮つまり周三がお房をよろこぶ意味が違つて、一ぶつ體が一にんの婦となり、單純たんじゆんは、併し價値かちある製作の資れうが、意味の深い心のかてとなつて了つた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
長州には高杉晋作なんてエラぶつがいて、幕府の兵隊の足許を見くびっちゃって、鼻唄まじりで引寄せてはひっぱたき、引寄せてはひっぱたき
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
このあいだも、斎藤茂吉さいとうもきち博士の随筆中に、武子夫人がいきていられたうちは書かなかったがと、ある田舎いなかへいったら、砂にとった武子さんのはいせきぶつを見て
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
で、そのいえすべて什具じゅうぐとは、棄売すてうりはらわれて、イワン、デミトリチとその母親ははおやとはついぶつとなった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あれ程までに足掻あがきつもがきつして穿鑿しても解らなかった所謂いわゆる冷淡中の一ぶつを、今訳もなく造作もなくツイチョット突留めたらしい心持がして、文三覚えず身の毛が弥立よだッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
もしも私が日蓮ほどのぶつであったなら、きっと私は草木を本尊とする宗教を樹立して見せることが出来ると思っている。私は今草木を無駄に枯らすことをようしなくなった。
この親爺おやじ全くの気違いか、それともズバ抜けたえらぶつかどちらかに相違ない。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
主人の姉——名はおさだ——というのが、昔からのえらぶつで、そこの女将たる実権を握っていて、地方有志の宴会にでも出ると、井筒屋の女将お貞婆さんと言えば、なかなか幅がく代り、家にいては
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
昔から犬は 寒がらない動ぶつであつたはづだわ
そして、家の中での人ぶつ撮影さつえいは、いふまでもなく日よう日には可成かなおもいそれの鞄をかついで郊外こうぐわい撮影さつえいに行く。
毛色の変った人物といえば、近頃てこずった難物——と申し上げては少々恐れ多いが、とても扱いにくいエラぶつがおいでになって、拙者も弱り切っている。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
で、其家そのいへすべて什具じふぐとは、棄賣すてうりはらはれて、イワン、デミトリチと其母親そのはゝおやとはつひぶつとなつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「出放題をいうものじゃありません、馬鹿だか、エラぶつだか、お前なんぞにわかってたまるものか」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ピーシチク ニーチェがね……哲学者の……だれしらぬ者もない、えらぶつちゅうのえら物の……あのすごい知恵者がな、その著述のなかで、にせ札は作ってもいいとか言っているが。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それは今からおもへば、七八円ほど安價あんか組立寫眞器くみたてしやしんきだつたが、それを見、また景色にしろ人ぶつにしろ相とう立派りつはうつし出されてゐるPOP印畫いんぐわながめた時、わたし嫉妬しつとに近いうらやましさをかん
「あれの親がエラぶつであったというではないか。そうして酒を飲んだか」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そうだ、義観のほかに、竜王院の堯忍、竹林坊の光映などというところは、覚王院とは異った長所を持つエラぶつだという噂だが、とにかく、覚王院一人に逢っただけでも意を強うするに足るものだ」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ははあ、お父さんという人が、そんなエラぶつだったんですか」
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お前もムクだけのエラぶつになりな。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)