無礼ぶれい)” の例文
旧字:無禮
「オオ、ちがった、人ちがいであった。——どなたかぞんじませぬが飛んでもない無礼ぶれいをしました。どうぞかんにんしてくださいまし」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれも田舎侍いなかざむらいで、西洋料理などは見たことのない連中のみで、中には作法さほうを知らぬゆえ、いかなるご無礼ぶれいをせぬとも限らぬと、戦々兢々せんせんきょうきょうとし
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しょうは、まことにおそりました。じつに粗末そまつちゃわんでありましたから、殿とのさまにたいしてご無礼ぶれいをしたと、あたまげておわびをもうしあげました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
小説「黒潮こくちょう」の巻頭辞かんとうじを見て、いやしくも兄たる者に対して、甚無礼ぶれい詰問きつもんの手紙をよこした。君自身兄であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
わしのそでをつかんで、おゝ妻は妊娠にんしんだったのだ。わしは無礼ぶれいな野武士らの前にひざまずいて、乞食こじきのごとくに哀願あいがんした。ただ出発をほんの五分間延ばすことを。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
無礼ぶれいなことをなされたり、また危害を加えられるようなことがあれば、わたしは人類の名誉のために、いのちをかけてもたたかいをいどみますよ。いいですかね
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大臣に見られてはじめて顔を夜着の中に隠して紛らわすようにした。大臣は驚愕きょうがくした。無礼ぶれいだと思った。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
わたくしどもはあなた様に何か無礼ぶれいでも致したため、御征伐ごせいばつを受けたことと存じて居ります。
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「しずかになさい。だまっていてくれ。高貴こうき方々かたがたの前だ、ご無礼ぶれいにあたるぞ。」
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
無礼ぶれいものめとかたをつきたるゆゑたわら脊負せおひていかでたまるべき、雪の中へよこさまにまろたふれしに、武士も又人になげられしごとたふれければ、田中の者はおきあとも見ずしていそぎゆきけり。
余の如きは胸中大に其無礼ぶれい憤懣ふんまんす、然れ共之れれい放言大語はうげんたいご容易やういしんずべからざるをる、何となれば元と藤原地方の人民はみなつねに這般の言語げんごき、深山にけ入るを禁物きんもつとなす者なればなり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
あらたまってその無礼ぶれい詰責きっせきするつもりであったらしい。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ひたまふにたり、無礼ぶれい
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
するとるまにくるま運転うんてんまってしまいました。で、群集ぐんしゅうは、この無礼ぶれい自動車じどうしゃなんなくさえることができました。
眠い町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おまえたちは、名もない雑人ぞうにんのくせにして、びすてにしたり、縄目なわめにかけるというのはなんという情けしらず、けっして、ご無礼ぶれいしてはなりませぬぞ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
礼儀正しきは人生の表なりとせば、裏は無礼ぶれい不儀ふぎなりとは言われぬ。裏は礼を略し儀式を除くに過ぎない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
いやいや、万事は、聖者が心得ていて下さるのだ。とうとき呪文がなされているその最中に、他の事を思いわずらっては、聖者に対し無礼ぶれいとなるのは分り切っている。つつしまねばならない。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「なにももうしあげずに、だまっているのは、かえって、無礼ぶれいたるぞ!」と、家来けらいは、また、おおきなこえして、みんなをまわしながらいいました。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おゆるしくださいませ、父の無礼ぶれいは、どうぞわたしにかえてごかんべんあそばしませ……」と、わびた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
厭味いやみたっぷりの文句や人をおとしいれる言いり、人に無礼ぶれいする語を用いることはなはだつつしむべきことである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「貴様! という貴様は、実に怪しからん奴だ。わしの女房を誘惑して置いて、よくもあんな無礼ぶれいきわまる口を叩いたな。死ぬのを怖れんという貴様に、殺される苦痛がどんなものか教えてやるんだ!」
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこで、そのばかりは、特別とくべつ無礼ぶれいのことのないかぎり、かれらはくつろいでんでも、いいとのことであったから、みんなは、上機嫌じょうきげんになってしまいました。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
「下賤の者らに、些細ささい無礼ぶれいとがめなどはなるべくするな。さ、参ろう」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにしても、冷たいコンクリートの上に寝かされているとは、なんという相手の無礼ぶれいだろう。いや、強盗のたぐいに、無礼もへちまもないだろう。なんだって、その強盗は僕をこんなところへ……。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)