滅茶滅茶めちゃめちゃ)” の例文
木戸も看板も滅茶滅茶めちゃめちゃに叩きこわされて、木戸前で組んずほぐれつしていた群集は、ドッとばかりに場内へ乱入してしまいました。
けれども、自分ひとりの正義感が、他人の平穏な家庭生活を滅茶滅茶めちゃめちゃにぶちこわす事もあります。どちらが、どう悪いというのでは無い。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
「その必要はない。何もかもおれには分っとる。おまけに博士をあんなに生けるしかばねにしてしまって。……わしの計画は滅茶滅茶めちゃめちゃじゃないか」
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あなたに相談にのっていただきたいんです。私は途方に暮ているんです。私の生涯は滅茶滅茶めちゃめちゃになろうとしているんです」
黄色な顔 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)
代々の勅撰集ちょくせんしゅうの如き者が日本文学の城壁ならば、実に頼み少き城壁にて、かくの如き薄ツぺらな城壁は、大砲一発にて滅茶滅茶めちゃめちゃくだけ可申候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
乃至ないし眞夜中まよなかうまたてがみ紛糾こぐらからせ、また懶惰女ぶしゃうをんな頭髮かみのけ滅茶滅茶めちゃめちゃもつれさせて、けたら不幸ふかう前兆ぜんてうぢゃ、なぞとまするもマブが惡戲いたづら
すると、腹をうたれたらしい一匹がもがいていると、他が危険をおかしてそれにおどりかかり、滅茶滅茶めちゃめちゃに角で突いて殺してしまったのである。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
古代の神話よりもなお怪しい事が沢山あって、その歴史その伝記などというものはまるっきり年代が滅茶滅茶めちゃめちゃです。だから本当の事は分りません。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
問題は、パパさんが受難者で、この俺が悪者でならず者で、おまえたち二人の生活を滅茶滅茶めちゃめちゃにしちまったんだ。……
小波瀾 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「生きてなさった時は、妹さんに負けず劣らずの美しさで評判でしたが、死体はただれてフヤケテ、皮膚がけて、もう滅茶滅茶めちゃめちゃだという話でやした」
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
校長ルービンシュタインと生徒の間に悶着もんちゃくが起り、演奏会は気違いじみた示威運動に葬られて、チャイコフスキーの音楽は滅茶滅茶めちゃめちゃにされてしまった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
庄兵衛は阿古十郎が憎らしいのか、可愛いのか自分でもわけがわからない、まるで滅茶滅茶めちゃめちゃな気持なのである。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
翌日になると、村人がおどろいたが、その石を動かすには百人ばかりの人足が必要である。その上、そんな多人数を入れたのでは、田が滅茶滅茶めちゃめちゃあらされてしまう。
大力物語 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
とうとう人形を滅茶滅茶めちゃめちゃに引ちぎり目も鼻も口も分らぬ様に叩きつぶしてしまったのでございます。
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いいかい? 慎重に反省して、事を運んでくれよ。千載せんざいに恥をさらすような真似は絶対にしてくれるなよ。うっかりすると、君の一生は滅茶滅茶めちゃめちゃになってしまうからな。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
犬は、驚いた拍子ひょうしに、あるいは、怒りに任せて、きっとその貴重品を滅茶滅茶めちゃめちゃにして、おまけに逃げてしまうに相違ないからである。このロス事件の場合がちょうどそれだ。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
滅茶滅茶めちゃめちゃにして出て行った位ですから、もうすこし阿父も何かるかと思いましたよ
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
せっかくあなた真面目に聞きに行った水島の事も滅茶滅茶めちゃめちゃになってしまいました。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
嘉三郎は突然そう怒鳴って、手にしていた手紙を滅茶滅茶めちゃめちゃに引き裂いた。
栗の花の咲くころ (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「いいえ、轢かれてしまってからも、夢の中ではちゃんと生きているの。ただ体は滅茶滅茶めちゃめちゃになって眉毛だけ線路に残っているのだけれども、……やっぱりこの二三日にさんち洋食の食べかたばかり気にしていたせいね。」
たね子の憂鬱 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
滅茶滅茶めちゃめちゃに衝き破られたことがあったのを
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
憎んだり怒ったり泣いたりして、むやみに夢中になりすぎるのも、ただ滅茶滅茶めちゃめちゃなばかりで、才能現出の動機にはなるまい。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それがために、大尽の楼上の合奏は滅茶滅茶めちゃめちゃに破壊されて、呆気あっけに取られた美人連と来客とは、忌々いまいましそうなかおを見合せるばかりでありました。
……ああ、年齢としですか。それがどうも明瞭めいりょうでありませぬ。なんしろ、顔面かお滅茶滅茶めちゃめちゃにやられてしまったものですからネ。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私の方へ横顔を向けて、後は独語ひとりごとのように、「わたしは、優しくもないし……親切でもないし……戦争で滅茶滅茶めちゃめちゃになって、学校も何もめてしまったし……」
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
滅茶滅茶めちゃめちゃに走った。迷路を出ることなど、もう考えなかった。ただじっとしていられないのだ。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
済まないが君のお父さんに、ぐにおで願いたいと申し上げてくれないか。実は令夫人が昨夜のお蔭で滅茶滅茶めちゃめちゃなんだ。え、お留守だって? ふむ。……いや、有難う。結構だね。
もし、そのまま連れて行かれてしまったら、……あなたの一生は滅茶滅茶めちゃめちゃです。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
私の父が存生中ぞんしょうちゅうにあつめた道具類は、例の叔父おじのために滅茶滅茶めちゃめちゃにされてしまったのですが、それでも多少は残っていました。私は国を立つ時それを中学の旧友に預かってもらいました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
狡猾こうかつな競争者と、意地の悪い劇場と、無理解な出版者は、あわれな異邦の一青年作曲家を飢餓きがちまたに放り出したのである。骨にもむ失望と餓えとは、ワグナーを滅茶滅茶めちゃめちゃにさいなみ続けた。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
いったい山羊め、どこまで知っているものかな? ああ、僕も堕落した。堕落しちゃった。お父さんが、なくなってからは、僕の生活も滅茶滅茶めちゃめちゃだ。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
鳴海の奴は、私の熱愛していた偶像を滅茶滅茶めちゃめちゃに壊してしまったのだ。私はそれ以来一層不機嫌にりたてられた。
大脳手術 (新字新仮名) / 海野十三(著)
滅茶滅茶めちゃめちゃになっていると知っては、まったく何といって慰めていいかが、わからないのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
「落ちたんだよ、きっとこのビルディングの上からだ。頭が滅茶滅茶めちゃめちゃにやられている」
「やあ、警部どの」と頤髯あごひげえた警官が青ざめた顔を近づけました。「やっと下火したびになりました。その代り、小田原の町は御覧のとおり滅茶滅茶めちゃめちゃです」
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あなたのおかげで、わしの一家は滅茶滅茶めちゃめちゃです。わしは田舎にひっこんで貧乏な百姓親爺おやじとして余生を送らなければならなくなりました。レヤチーズも、可哀想かわいそうに。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
「あの死骸は犬に食い荒される以前、恐らく顔面を滅茶滅茶めちゃめちゃに傷つけてあったに違いない。そうして人相を分らなくした死骸に、鶴子の着物や装身具をつけて、あすこへ捨てて置いたのだ」
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
少年は黙って短いロープのはしっこを見せた。そこは滅茶滅茶めちゃめちゃに引き裂かれていた。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その人の一生が滅茶滅茶めちゃめちゃに破壊されてしまうだろう。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
真正面の大きい窓硝子が滅茶滅茶めちゃめちゃこわれて、ポッカリ異様な大孔おおあなが出来、鉄格子てつごうし肋骨ろっこつのように露出していた。その窓の下に寝台があって、その上に寝ているのは重症の赤星龍子だった。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
滅茶滅茶めちゃめちゃだ。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
滅茶滅茶めちゃめちゃになって、真赤なんです。トマトを石で潰したように……」
人造人間事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
外国の小説には、火星人が地球の人間を捕虜ほりょにし、その皮をいで自分がスッポリ被り、人間らしく仮装して吾れ等の社会にまぎれこんでくるのがある。しかしあの婦人の顔面かお滅茶滅茶めちゃめちゃだった筈だ。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そうサ。今頃は、小笠原の辺で砲火を交えている日米の主力艦隊の運命が決っている頃だろうが、きっと陸奥むつ長門ながとは、ウエストバージニアやコロラドを滅茶滅茶めちゃめちゃにやっつけているだろうと思うよ」
空襲下の日本 (新字新仮名) / 海野十三(著)