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根津
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ねづ
ふりがな文庫
“
根津
(
ねづ
)” の例文
この時
根津
(
ねづ
)
に
茗荷屋
(
みょうがや
)
という
旅店
(
りょてん
)
があった。その主人
稲垣清蔵
(
いながきせいぞう
)
は
鳥羽
(
とば
)
稲垣家の重臣で、
君
(
きみ
)
を
諌
(
いさ
)
めて
旨
(
むね
)
に
忤
(
さか
)
い、
遁
(
のが
)
れて商人となったのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それから
谷中
(
やなか
)
へ出て、
根津
(
ねづ
)
を回って、夕方に本郷の下宿へ帰った。三四郎は近来にない気楽な半日を暮らしたように感じた。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
飯炊
(
めした
)
きのお三の父親は、
根津
(
ねづ
)
の大工で、重三郎に借りた金のことから、二年前大川へ身を投げて死に、お三はその借金を
済
(
な
)
し崩しに払うために
銭形平次捕物控:130 仏敵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
昔
根津
(
ねづ
)
の
七軒町
(
しちけんちょう
)
に
皆川宗悦
(
みながわそうえつ
)
と申す針医がございまして、この皆川宗悦が、ポツ/\と鼠が巣を造るように蓄めた金で、高利貸を初めたのが病みつきで
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
根津
(
ねづ
)
の低地から
弥生
(
やよい
)
ヶ
岡
(
おか
)
と
千駄木
(
せんだぎ
)
の高地を仰げばここもまた絶壁である。絶壁の
頂
(
いただき
)
に添うて、根津
権現
(
ごんげん
)
の方から
団子坂
(
だんござか
)
の上へと通ずる一条の路がある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
私は例の汚い
縞木綿
(
しまもめん
)
の風呂敷包を片手に、傘もささずに、焼けつく日光に直射されながら例の通り、ただぶらぶらと野良犬のように、
根津
(
ねづ
)
の
八重垣町
(
やえがきちょう
)
あたりを歩いていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
付よと申
渡
(
わた
)
されしに付役人は八方に
眼
(
まなこ
)
を
配
(
くば
)
り諸所を
尋
(
たづ
)
ねしに一
向
(
かう
)
知
(
し
)
れざりしが原田平左衞門と云
市中
(
しちう
)
廻の
同心
(
どうしん
)
或夜
亥刻
(
よつどき
)
過
(
すぎ
)
根津
(
ねづ
)
の方より
歸
(
かへ
)
り
懸
(
かけ
)
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
へ
來懸
(
きかゝ
)
りしに誰やらん堀を
越
(
こえ
)
垣
(
かき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
全く、関東の
何処
(
どこ
)
にもない情緒と温味のある自然であり、春の
暢
(
のど
)
やかさと初秋の美しき閑寂さは東京の
下谷
(
したや
)
、
根津
(
ねづ
)
裏で下宿するものにとっては、誘惑されるのも無理でない事なのだ。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
根津
(
ねづ
)
へ戻って恭次郎さんの家へ行ってみようかとも思うけれど、節ちゃんにまた泣きごとを云いそうなのでやめる。朝の新鮮な空気の中を只むしょうに歩く。大学の前へ行ってみる。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
根津
(
ねづ
)
辺の汚い下宿屋で極めて不規則な生活を送っている。一日何もしないで煙草ばかり吹かして寝たり起きたり四畳半に転がっている事もあれば、朝から出かけて夜の二時頃まで帰らぬ事がある。
まじょりか皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ある時は
根津
(
ねづ
)
の
旗亭
(
きてい
)
での食事。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それから
谷中
(
やなか
)
へ出て、
根津
(
ねづ
)
を
廻
(
まは
)
つて、夕方に本郷の下宿へ帰つた。三四郎は近来にない気楽な半日を暮した様に感じた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
根津
(
ねづ
)
の大町人、公儀御用達を勤むる石川良右衛門で、諸大名はいうに及ばず、公儀御腰物方の御用までも取次ぎ、長い間ともどもに結構な利分を見ていたのでした。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いつもに変らず
根津
(
ねづ
)
の清水の
下
(
もと
)
から
駒下駄
(
こまげた
)
の音高くカランコロン/\とするから、新三郎は心のうちで、ソラ来たと小さくかたまり、
額
(
ひたい
)
から
腮
(
あご
)
へかけて
膏汗
(
あぶらあせ
)
を流し
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
下谷佐竹ヶ原、
根津
(
ねづ
)
、
入谷
(
いりや
)
、
芝愛宕下
(
しばあたごした
)
、小石川柳町、
早稲田鶴巻町
(
わせだつるまきちょう
)
辺、いづれも話には聞きたれど、これらは親しく尋ね究むる暇なかりしものなればここには記さず。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
素
(
も
)
と私の家の向いは
崖
(
がけ
)
で、
根津
(
ねづ
)
へ続く低地に接しているので、その崖の上には世に
謂
(
い
)
う猫の額程の平地しか無かった。そこに、根津が
遊郭
(
ゆうかく
)
であった時代に、
八幡楼
(
やはたろう
)
の隠居のいる小さい寮があった。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
急いで
根津
(
ねづ
)
の通りへ出ると、松田さんが酒屋のポストの傍で、ハガキを入れながら私を待っていた。ニコニコして本当に好人物なのに、私はどうしてなのかこのひとにはムカムカして仕様がない。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
美禰子の立っている所は、この小川が、ちょうど谷中の町を横切って
根津
(
ねづ
)
へ抜ける石橋のそばである。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
当時入谷には「
松源
(
まつげん
)
」、根岸に「
塩原
(
しおばら
)
」、
根津
(
ねづ
)
に「
紫明館
(
しめいかん
)
」、向島に「
植半
(
うえはん
)
」、秋葉に「有馬温泉」などいう温泉宿があって、
芸妓
(
げいぎ
)
をつれて泊りに行くものも
尠
(
すくな
)
くなかった。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さて此の医者の
知己
(
ちかづき
)
で、
根津
(
ねづ
)
の
清水谷
(
しみずだに
)
に
田畑
(
でんぱた
)
や貸長屋を持ち、その
上
(
あが
)
りで
生計
(
くらし
)
を立てゝいる浪人の、
萩原新三郎
(
はぎわらしんざぶろう
)
と申します者が有りまして、
生
(
うま
)
れつき
美男
(
びなん
)
で、年は二十一歳なれどもまだ妻をも
娶
(
めと
)
らず
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
今朝
(
けさ
)
の事だから、まだ出ていないかも知れない。」と歩きながらまず『毎夕』をひろげて見て、「
根津
(
ねづ
)
の松岡がやられたんだ。芳沢旅館の事は出ていないが、やッぱりその巻添いだろう。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
すると運悪くその胴着に
蝨
(
しらみ
)
がたかりました。友達はちょうど
幸
(
さいわ
)
いとでも思ったのでしょう、評判の胴着をぐるぐると丸めて、散歩に出たついでに、
根津
(
ねづ
)
の大きな
泥溝
(
どぶ
)
の中へ
棄
(
す
)
ててしまいました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
既ち
小石川柳町
(
こいしかはやなぎちやう
)
の
小流
(
こながれ
)
の如き、
本郷
(
ほんがう
)
なる
本妙寺坂下
(
ほんめうじさかした
)
の
溝川
(
みぞかは
)
の如き、
団子坂下
(
だんござかした
)
から
根津
(
ねづ
)
に通ずる
藍染川
(
あゐそめがは
)
の如き、かゝる
溝川
(
みぞかは
)
流
(
なが
)
るゝ裏町は
大雨
(
たいう
)
の降る
折
(
をり
)
と云へば
必
(
かなら
)
ず
雨潦
(
うれう
)
の氾濫に災害を
被
(
かうむ
)
る処である。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
即ち
小石川柳町
(
こいしかわやなぎちょう
)
の
小流
(
こながれ
)
の如き、
本郷
(
ほんごう
)
なる
本妙寺坂下
(
ほんみょうじざかした
)
の溝川の如き、
団子坂下
(
だんござかした
)
から
根津
(
ねづ
)
に通ずる
藍染川
(
あいそめがわ
)
の如き、かかる溝川流るる裏町は
大雨
(
たいう
)
の降る折といえば必ず
雨潦
(
うりょう
)
の氾濫に災害を
被
(
こうむ
)
る処である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“根津”の解説
根津(ねづ)は、東京都文京区の町名。現行行政地名は根津一丁目および根津二丁目。郵便番号は113-0031。
(出典:Wikipedia)
根
常用漢字
小3
部首:⽊
10画
津
常用漢字
中学
部首:⽔
9画
“根津”で始まる語句
根津権現
根津村
根津權現
根津欽次郎
根津民次郎