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暖爐
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だんろ
ト
木彫のあの、
和蘭陀靴は、スポンと
裏を
見せて
引顛返る。……
煽をくつて、
論語は、ばら/\と
暖爐に
映つて、
赫と
朱を
注ぎながら、
頁を
開く。
玄關の
先は
此の
別室全體を
占めてゐる
廣い
間、
是が六
號室である。
淺黄色のペンキ
塗の
壁は
汚れて、
天井は
燻つてゐる。
冬に
暖爐が
烟つて
炭氣に
罩められたものと
見える。
と
云ふ。
聲さへ、
其の
色。
暖爐の
瓦斯は
颯々と
霜夜に
冴えて、
一層殷紅に、
且つ
鮮麗なるものであつた。
貴方は一
生涯誰にも
苛責された
事は
無く、
健康なること
牛の
如く、
嚴父の
保護の
下に
生長し、
其れで
學問させられ、
其からして
割の
好い
役に
取付き、二十
年以上の
間も、
暖爐も
焚いてあり
美しさは、
夜の
雲に
暗く
梢を
蔽はれながら、もみぢの
枝の
裏透くばかり、
友染の
紅ちら/\と、
櫛卷の
黒髮の
濡色の
露も
滴る、
天井高き
山の
端に、
電燈の
影白うして、
搖めく
如き
暖爐の
焔は
デミトリチは
彼等が
厨房の
暖爐を
直しに
來たのであるのは
知つてゐたのであるが、
急に
何だか
然うでは
無いやうに
思はれて
來て、
是は
屹度警官が
故と
暖爐職人の
風體をして
來たのであらうと