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めいぼう
ふりがな文庫
“
明眸
(
めいぼう
)” の例文
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
痛
(
いた
)
く
心配
(
しんぱい
)
して『あまりに
御身
(
おんみ
)
を
輕
(
かろ
)
んじ
玉
(
たま
)
ふな。』と
明眸
(
めいぼう
)
に
露
(
つゆ
)
を
帶
(
お
)
びての
諫言
(
いさめごと
)
、
私
(
わたくし
)
は
實
(
じつ
)
に
殘念
(
ざんねん
)
であつたが
其儘
(
そのまゝ
)
思
(
おも
)
ひ
止
(
とゞま
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
脂粉
(
しふん
)
の世界には初めて足を踏み入れたことでもあり、吉野の
明眸
(
めいぼう
)
にちらと射られても顔が熱くなって、胸の鼓動も怪しげに鳴るのだった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人は禿頭にして肥満すること豚児の如く
愚昧
(
ぐまい
)
の相を漂わし、その友人は黒髪
明眸
(
めいぼう
)
の美少年なりき、と。黒髪明眸なる友人こそ即ち余である。
風博士
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
眉の跡の青々とした
明眸
(
めいぼう
)
の女
主人
(
あるじ
)
は、さすが昔の全盛を偲ばせて、年にも柄にも似合わぬ頭のよさがあったのです。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
帰朝以来、
始
(
はじめ
)
予は彼女を見るの
己
(
おのれ
)
の為に忍びず、後は彼女を見るの彼女の為に忍びずして、遂に
荏苒
(
じんぜん
)
今日に及べり。明子の
明眸
(
めいぼう
)
、猶六年以前の如くなる可きや否や。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
明眸
(
めいぼう
)
の左右に
樹立
(
こだち
)
が分れて、
一条
(
ひとすじ
)
の
大道
(
だいどう
)
、炎天の
下
(
もと
)
に
展
(
ひら
)
けつゝ、
日盛
(
ひざかり
)
の町の
大路
(
おおじ
)
が望まれて、
煉瓦造
(
れんがづくり
)
の避雷針、古い
白壁
(
しらかべ
)
、寺の塔など
睫
(
まつげ
)
を
擽
(
こそぐ
)
る中に、
行交
(
ゆきか
)
ふ人は点々と
蝙蝠
(
こうもり
)
の如く
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
無限に緊張した注意力と、冷徹
闇
(
やみ
)
をも透す
明眸
(
めいぼう
)
とが要るのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
明眸
(
めいぼう
)
が露に濡れている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
白い
腮
(
あぎと
)
、
丹
(
たん
)
の如き唇——もっと深くさし覗くと
凛
(
りん
)
とした
明眸
(
めいぼう
)
が、海をへだてた江戸の空を、じっとみつめているのであった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、国を憂うる心は髪に
挿
(
さ
)
した
玫瑰
(
まいかい
)
の花と共に、一日も忘れたと云うことはない。その
明眸
(
めいぼう
)
は笑っている時さえ、いつも長い
睫毛
(
まつげ
)
のかげにもの悲しい光りをやどしている。
金将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『それに
就
(
つ
)
けても、
惡
(
にく
)
む
可
(
べ
)
きは
海賊船
(
かいぞくせん
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
、かゝる
惡逆無道
(
あくぎやくむだう
)
の
船
(
ふね
)
は、
早晩
(
はやかれおそかれ
)
木葉微塵
(
こつぱみぢん
)
にして
呉
(
く
)
れん。』と、
明眸
(
めいぼう
)
に
凛乎
(
りんこ
)
たる
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
つと、
聽
(
き
)
く
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は、プイと
躍立
(
とびた
)
つて。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「都を少しでも放れると、
怪
(
け
)
しからん話があるな、婆さん。」とばかり
吐息
(
といき
)
とともにいったのであるが、言外おのずからその
明眸
(
めいぼう
)
の届くべき大審院の椅子の周囲、
西北
(
さいほく
)
三里以内に
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
沈着、
明眸
(
めいぼう
)
、ことば静かに話してなどいると、ひき込まれるような魅力があり、真に
惚々
(
ほれぼれ
)
する侍だが、わしはむしろ中国武士の
鈍骨
(
どんこつ
)
を愛する。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さればかの
明眸
(
めいぼう
)
の
女詩人
(
ぢよしじん
)
も、この短髪の老画伯も、その無声の詩と有声の
画
(
ぐわ
)
とに
彷弗
(
はうふつ
)
たらしめし
所謂
(
いはゆる
)
支那は、
寧
(
むし
)
ろ彼等が
白日夢裡
(
はくじつむり
)
に
逍遙遊
(
せうえうゆう
)
を
恣
(
ほしいまま
)
にしたる
別乾坤
(
べつけんこん
)
なりと称すべきか。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
明眸
(
めいぼう
)
の左右に
樹立
(
こだち
)
が分れて、
一条
(
ひとすじ
)
の大道、炎天の
下
(
もと
)
に
展
(
ひら
)
けつつ、
日盛
(
ひざかり
)
の町の大路が望まれて、
煉瓦造
(
れんがづくり
)
の避雷針、古い
白壁
(
しらかべ
)
、寺の塔など
睫
(
まつげ
)
を
擽
(
こそぐ
)
る中に、行交う人は点々と
蝙蝠
(
こうもり
)
のごとく
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
語
(
かた
)
り
終
(
をは
)
つて、
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
明眸
(
めいぼう
)
一轉
(
いつてん
)
逈
(
はる
)
かの
空
(
そら
)
を
仰
(
あほ
)
いだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
張繍
(
ちょうしゅう
)
を討つべく遠征して、かえって惨敗を負って帰ったので、彼の絶大な自信にゆるぎがきたのか、また多情多恨な彼のこととて、今なお、
芙蓉帳裡
(
ふようちょうり
)
の
明眸
(
めいぼう
)
や
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
七月×日、予は子爵と明子と共に、今夕馬車を駆つて、隅田川の
流燈会
(
りうとうゑ
)
を見物せり。馬車の窓より洩るる燈光に、明子の
明眸
(
めいぼう
)
の更に美しかりしは、
殆
(
ほとんど
)
予をして
傍
(
かたはら
)
に子爵あるを忘れしめぬ。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二十歳
(
はたち
)
か、二十一、二ぐらいな、一方の気品のある
明眸
(
めいぼう
)
の麗人は、おととしの秋、武州
野火止
(
のびどめ
)
の合戦で
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
愛相
(
あいそ
)
のよい笑みを外へこぼした。——そしてちらと、武松の姿へ流し眼をむけた金蓮の
明眸
(
めいぼう
)
といいその艶姿といい、はっと、男を
蠱惑
(
こわく
)
するかのような何かがある。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのとき美少年の
明眸
(
めいぼう
)
も、久助の姿へそそがれた。十八、九歳の豊麗な容貌が、頭巾のうちで微笑していた。何か、おかしくてならないようである。そして、いま手にもどった印籠を
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“明眸”の意味
《名詞》
明眸(めいぼう)
輝く眸。美人を形容する語。
(出典:Wiktionary)
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
眸
漢検1級
部首:⽬
11画
“明眸”で始まる語句
明眸皓歯
明眸皓齒
明眸絳脣