)” の例文
旧字:
りにも択ってこんな貧乏な人間を友達にして、大小となく相談をかけている印度の太子やそれにき従っている周囲の人々の心を考えると
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
お俊は叔父の髪に触れて、一本々々り分けた。凋落ちょうらくを思わせるような、白い、光ったやつが、どうかすると黒い毛と一緒に成って抜けて来た。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
御馳走はかわがわでて尽くる事なし。続いて来れるは西洋チサのしんのみをりたる上等のサラダ、サラダを喫しおわりし時美事みごとなる寄物よせものず。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
さう云つて高一も、なるべく大きな栗を五つだけり出して、みんなのそばへ坐ると、その皮をむき、渋をとつて、カリ/\と食べはじめました。
栗ひろひ週間 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
さすがはうちの山から一本りに択つて伐り出した柱だ、目ざはりな節一つない、と大工はその中古の柱を愛撫しながら自分のもののやうに褒めた。
すべてを念入りにり分けてみると、初めに想像していたよりももっと莫大ばくだいな富が手に入ったことがわかった。貨幣では四十五万ドル以上もあった。
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
男色なんしょくを売る少年や、十人あまりをりあつめて、僧のまわりにしとねをしき、枕をならべさせて、その淫楽をほしいままにさせると、僧は眉をも動かさず
「しかし吉川君は当り前だと言うんだ。先方むこうだって三人候補者を集めて置いて、その中からり取るんだからって」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
お前なんかは、墓地のり好みなんて出来る身分ではないのだ。はっきりと、身の程を知らなければならぬ。
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
……この渡辺利右衛門というのは、二年前まで、三里塚の御馬囲場の野馬役で、不思議と馬を見ることが上手なので、お囲場からりぬかれて西丸へ呼上げられた。
顎十郎捕物帳:03 都鳥 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
隠坊おんぼう目塗めぬりの土をばらばらとはぎおとして鉄の扉をあける。鉄板のうえに砕けた骨が灰にまざってるのを荒神箒こうじんぼうきに長い柄をつけたようなものでかきだしてりわける。
妹の死 (新字新仮名) / 中勘助(著)
その頃の名流をりすぐった各種の演芸のすいを抜いて番組をこしらえました。また主人や出入りの者もおのおの腕にりをかけて、その隠し芸を発揮しようということでありました。
美妙は特にその作「蝴蝶こちょう」のための挿画さしえを註文し、普通の画をだも評論雑誌に挿入そうにゅうするは異例であるのを、りに択ってその頃まだ看慣みなれない女の裸体画を註文して容易にれしめたのは
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
それまでに、姑は片見分けに自分の持って帰るようなものを、母親と一緒に、すっかり箪笥のなかからり分けた。中には叔母が田舎にいた時分から離さなかった頭髪あたまのものなどもあった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼はその中に、支那から帰った友達にもらった北魏ほくぎ二十品にじっぴんという石摺いしずりのうちにある一つをり出して入れた。それからその額をかんの着いた細長い胡麻竹ごまだけの下へら下げて、床の間のくぎへ懸けた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
屑籠くづかごちあけさせて、一々いち/\り分けて、本当にひどい目にひましたよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あたしにらして下さらないかしら……。
百三十二番地の貸家 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
またおもむろに花をり分け初めた。
あいびき (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
りに択ったその末が
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一番早く食べをはつた金太が、もう大きなのを二つり出して、今にもその皮を前歯でむきさうにして云ふと、すぐ勇治と庄吉とが賛成しました。
栗ひろひ週間 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
そこで親がこの人をり出して娘にどうだと聞いた時娘の心にも異存がなければたちまち相談はまとまりますけれども
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
季節に入ってから、季節のものを買うようではもうおそいというのが安子さんの持論である。猫も杓子も手を出すようになるとり古しばかりで好い柄がない。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
家畜の方は少しもり好みがなく、どんな犬でも猫でも平等に愛していた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
さう希望者のり好みはできませんよ。
ママ先生とその夫 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「光子さんの実例で察しるんだが、女ってものは皆秘密を持っているらしい。今更結婚しても、赤いリボンで束ねた手紙なんか持っている女をり当てると大変だ」
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
って青い皮をグルリと薄く剥いて頭の処を手際よく皮だけまるく切って中をくり抜いておいて別に牛肉でも鳥肉でも魚肉でも肉挽器械にくひききかいで挽いたものかあるいはたたいてったものへ塩胡椒で味を
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
みんなはになつてすわつて、自分の籠の中から、なるべく大きいのをり出して、その皮を前歯でむくと、中のしぶ拇指おやゆびつめや、前歯でとつて、とてもいゝ音をさせて、カリ/\と食べだしました。
栗ひろひ週間 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
「学科のいをするってことを先生が仰有いましたが、矢っ張りそれが悪かったんですね」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それは末成うらなりと申して珈琲の実が枝の一番先へ成ったのをりましたのです。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
元来試験官と受験者は氷炭ひょうたん相容あいいれない。先方は意地悪い小面倒なことをりに択って訊くのだから、此方こっちも、そら、先刻の英語のフレーズのように、出来る丈け高く命を売るのさ
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と言って、官立学校の試験を受ける為めに、英語の授業丈けいをしていた。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
未だ海水浴には少時しばらく間があるから、今の中ならり取りらしい。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「何うだい? 貰ってくれるかい? 今のうちならり取りだ」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
僕はりに択って悪い話題を持ち出したものだと後悔して
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
といいながら、照彦てるひこ様は初心の手頃てごろの弓をって渡した。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
りに択って掃溜へお嫁にやることもありますまい」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
尤もり食いをしていたら永久に有りつけない。
恩師 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)