打殺ぶちころ)” の例文
春「隠してもいかん、助右衞門を打殺ぶちころして旅荷にこしらえようとする時に、君が着服したに相違ない、隠さずに出したまえ」
もっとも少し気のいたものは大概自殺してしまうから、巡査に打殺ぶちころされるような奴はよくよく意気地なしか、自殺の能力のない白痴もしくは不具者に限るのさ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
狸に化けた人間を打殺ぶちころすに仔細はない、と竹槍をひっそばめて、木戸口から庭づたいに、月あかりを辿たどり辿り、雨戸をあてに近づいて、何か、手品の種がありはせぬか
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……なんぢゃ? 下司奴げすやっこめが、道外假面だうけめんおもてかくして、この祝典しゅくてん蹈附ふみつけにしようとは不埓ふらちぢゃ! カピューレットの正統しゃうとうたる權利けんりもって、彼奴きゃつめをば打殺ぶちころしても、おれ罪惡ざいあくとはおもはぬわい。
「うむ。部落むらのためにゃあ、あの爺なんか、打殺ぶちころして了めえばいいんだ。」
黒い地帯 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「この野郎打殺ぶちころしてくれるぞ」
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
おりは何ともはアお礼の云うようもござえません、わしなんざアこれもう六十四になりますから、何もこれ彼奴等あいつら打殺ぶちころされても命のおしいわけはなし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いいえ、一向に存じません。「うぬ、言ッちまえ。「ちっとも存じません。「ようし、白状しなけりゃこうするぞ。と懐中より装弾たまごめしたる短銃ピストルを取いだし、「打殺ぶちころすが可いか。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
敵が槍で尊公に突掛つきかけてめえれば、わしで受けるだ、一本脇腹へ突込まして、敵をひねり倒して打殺ぶちころしてやるだ、其の内に尊公を助けて逃がすだけの仕事よ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そいつは打殺ぶちころしたのを知ってる癖に。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勝「まゝ先生乱暴な事をなすっちゃアいけませぬ、伊之の野郎は打殺ぶちころしても構やアしませぬが、もしもお嬢さんにお怪我でもありましては済みませぬから」
「ただし、ばばあ打殺ぶちころして。」
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
早「わしは下郎さ、おまえはおさむれえむすめだろう、しか口穢くちぎたなく云われゝば、私だって快くねえから、遺恨に思っておめえを鉄砲で打殺ぶちころす心になったら何うするだえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
車「駄目だよ、おめえは人を打殺ぶちころして金をって来たにちげえねえ、もう十両呉れなけりゃア又引き返そうか」
亥「時間も糸瓜へちまもあるものか、ぐず/\すると打殺ぶちころしてしまうぞ、誰だと思う、豊島町の亥太郎だぞ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに此の文治の事を青二才などと云おうようなき悪口あっこうを申したな、手前のような奴をかして置いては大勢の人の難儀になるから打殺ぶちころすのであるが、女の事ゆえ助けてやる
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
両人「この乞食め、何を小癪こしゃくなことをやがる、ふざけた事をすると片ッぱしから打殺ぶちころすぞ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あなたは一箇寺いっかじ住職の身の上で、このお梅さんと間男をするのみならず、亭主の七兵衞が邪魔になるというので、薪割で打殺ぶちころして縁の下へ隠した事が、博奕ばくちの混雑から割れて
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
よく/\御縁がねえのだ、明日あすの晩は半纒を打殺ぶちころしても登楼あがらねえじゃア気がすまねえや
大声を揚げて口々に名主も原父子おやこ此処こけえ出ろ、打殺ぶちころしてしまえ、打殺してしまえ。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
源「うぬの様なけがれたやっこを斬るかえ、打殺ぶちころしてしまうわ、何か棒はありませんか」
花「悪い奴じゃ、こんな村境むらざかいの処へ出やアがって追剥おいはぎをしやアがって悪い奴じゃ、今度こんだ此辺こゝらアうろ/\しやアがると打殺ぶちころすぞ、いやうしろれか居やアがるな、此奴こいつ組付くみついて居やアがったか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今考えれば天罰とは云いながら怖しい事だと思って居ります、すると太左衞門が逃げて触れたと見えて、村方の百姓が大勢集り、私達を打殺ぶちころせ/\と騒ぎ立てゝ、垣の周囲まわりを取巻れた時は
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
親方おやぶんが人を打殺ぶちころして三日の間番をさせられた時のにおいが鼻に通って、いまだに忘れねえが、其の臭いにちげえねいから隠したって駄目だ、死人しびとなら死人だとそう云えや、云わねえと了簡りょうけんがあるぞ
大曲りで打殺ぶちころしても構わないから、ぽか/\なぐりにして川へほうりこめ
永禪和尚とお梅と間男をして居りみして、七兵衞がっては邪魔になるというて、とゝまの七兵衞を薪割で打殺ぶちころし、本堂のいんの下へかこしたところが、われえ事は出来でけぬものじゃなア、心棒が狂いまごうたから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
亥「やい三一、ぐず/\しやがると豊島町の亥太郎が打殺ぶちころすぞ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文「さア改心しなければ立所に打殺ぶちころすぞ、どうだ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)