戸板といた)” の例文
木魚のおじいさんの奥方も、考えたはてに、戸板といたをもってきて、その上でおせんべを焼いて売りだした。一文のお客にも
勘次かんじはおつぎを相手あひて井戸端ゐどばた青菜あをな始末しまつをしてる。つてをけあらつた青菜あをなは、べたへよこたへた梯子はしごうへに一まいはづしてつてせたその戸板といたまれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もしこのはさまると、人畜じんちく牛馬ぎゆうば煎餅せんべいのようにつぶされるといはれ、避難ひなん場所ばしよとしては竹藪たけやぶえらべとか、戸板といたいてこれをふせげなどといましめられてゐる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
民家みんかのき戸板といたをだして、そこに野宿のじゅくをする覚悟かくごのものが幾組いくくみとなく見うけられた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さいぜんはしりたるものども戸板といたむしろなどかたげる用意をなしきたり、つまがもちたるくびをもなきからにそへてかたげければ、人々前後ぜんごにつきそひ、つま子らはなく々あとにつきてかへりけるとぞ。
それでも、やたらに、戸板といたうへ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
されば竹藪たけやぶめとか、戸板といたいて避難ひなんせよとかいふ注意ちゆういあまりに用心ようじんすぎるようにおもはれる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
假令たとひどうしたところ勘次かんじもとかへらねばならぬことにきまつてるのだから、それには戸板といたせてやるやう病氣びやうきおこるまで奉公ほうこうさせてくよりも、丈夫ぢやうぶなうちにひまらせてかへしてしまへば
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
戸板といた
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勘次かんじやうや整骨醫せいこついもんたつした。整骨醫せいこついいへはがらたけ垣根かきね珊瑚樹さんごじゆ大木たいぼくおほひかぶさつて陰氣いんきえてた。戸板といたを三角形かくけいあはせて駕籠かごのやうにこしらへたのが垣根かきねうちかれてあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)