展開てんかい)” の例文
試合場しあいじょうのほうは、さきほどから、きわだってしずかになっていた。群集ぐんしゅうも鳴りをしずめて、つぎ展開てんかいを待ちかまえているのであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
代助は立ちながら、画巻物ゑまきもの展開てんかいした様な、横長よこなが色彩しきさいを眺めてゐたが、どう云ふものか、此前このまへて見た時よりは、いたく見劣りがする。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうしてはまたまばらな垣根かきねながみじかいによつてとほくのはやしこずゑえた山々やま/\いたゞきでゝる。さわやかなあきくしてからりと展開てんかいした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
年子としこは、刹那せつなのち展開てんかいする先生せんせいとのたのしき場面ばめん想像そうぞうして、むねをおどらしながらはいってゆきました。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
前途がどう展開てんかいするかも知れず、分娩ぶんべんの時期が後れるかも知れず、私が果して生きぬくかにも不安があるので、「オボエアリ」との保証ほしょうを得るにも心もとないのであった。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
南蛮寺なんばんじ屋根やねてんおかたい、さらに四方の山川まで、たちまち箱庭はこにわを見るように、すぐ目の下へ展開てんかいされて、それが、ゆるい渦巻うずまきのように巻いてながれる……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分じぶん過去くわこからつてきた運命うんめいや、またそのつゞきとして、これから自分じぶん眼前がんぜん展開てんかいされべき將來しやうらいつて、キチナーとひとのそれにくらべてると、到底たうていおな人間にんげんとはおもへないぐらゐへだたつてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじ他人ひと自分じぶんることをつたときひぢ叮嚀ていねいいた。臺地だいちにははやしあひだ陰氣いんきはたけ開墾かいこんされてあつた。かれ開墾地かいこんち土質どしつ作物さくもつとを非常ひじやう注意ちういた。また村落むらがあつてひろはたけ展開てんかいした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
じん展開てんかい
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)