威力ゐりよく)” の例文
雜木林ざふきばやしこずゑしろつらなつて西にしとほ山々やま/\彼方かなた横臥たのがにはか自分じぶん威力ゐりよくたくましくすべきふゆ季節きせつ自分じぶんてゝつたのにがついて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
芸者なんぞになつちやいけないと引止ひきとめたい。長吉ちやうきちは無理にも引止ひきとめねばならぬと決心したが、すぐそばから、自分はおいとに対しては到底たうていそれだけの威力ゐりよくのない事を思返おもひかへした。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
背後うしろからながめて意気いきあがつて、うでこまぬいて、虚空こくうにらんだ。こしには、暗夜あんやつて、たゞちに木像もくざう美女たをやめとすべき、一口ひとふり宝刀ほうたうびたるごとく、威力ゐりよくあしんで、むねらした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おゝ、その優しさ! それは威力ゐりよくに比べてどれ程大きな力があることか! 私にはセント・ジョンの怒りを拒絶することは出來た。だが、彼の優しさの下には私はあしのやうに柔軟じゆうなんになつてしまつた。
疾風しつぷう威力ゐりよくさへぎつてつゝんだほのほ退けようとしてその餘力よりよく屋根やね葺草ふきぐさまくつた。たゞち空隙くうげきつてます/\其處そこちからたくましくした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ちひさな身體からだでありながらすこするどくちばしつたばかりに、果敢はかないすゞめ頬白ほゝじろまへにのみ威力ゐりよくたくましくするもずちひさな勝利者しようりしやこゑはなつてきい/\ときはどく何處どこかの天邊てつぺんいてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)