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ふりがな文庫
“
型
(
タイプ
)” の例文
そうして被害者と食事をした男が、犯罪者
型
(
タイプ
)
の顔をしていることを知って、この男がその犯人であると考えてもよいと思いました。
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
クリストフはしばしば、その一郭を歩き回っては、物珍しいまたかなり同情のある眼で、さまざまの
型
(
タイプ
)
の女を通りがかりにうかがった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
青年のうちにまたなかなか複雑な
型
(
タイプ
)
の類別が生じている。男の貞操とか女の貞操とか対比的によく問題となってきている。
若き世代への恋愛論
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
妻は所謂良妻賢母といった
型
(
タイプ
)
の女で、几帳面に家事を整えてくれました。で僕達はまあ幸福な家庭を作ったわけです。
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
丁度あの頃私はトルストイの「アンナ・カレニナ」を読んでいたから、私は自分で想像したヴロンスキイの
型
(
タイプ
)
をその参事官に
当嵌
(
あてはめ
)
てみたりなぞした。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
型
(
タイプ
)
化された幽霊は、謡曲中の幽霊である。
終
(
しま
)
いには懺悔をし成仏をする。諦めのいい幽霊と言わなければならない。
妖異むだ言
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
例えば『三人妻』など云う作品だって
如何
(
いか
)
にも三人の妻の性格を描き分けてあるけれども、それが世間に有り触れた常識的
型
(
タイプ
)
に過ぎないのですからね。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それでも感受性の鋭い
型
(
タイプ
)
の観覧者に取っては、彼等が場内にはいって後に作品から受取る表象の同化異化作用に何らかの影響を及ぼさないものだろうか。
帝展を見ざるの記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
太田はかつて何かの本で讀んだ記憶のある、この病氣の一つの特徴ともいふべき
獅子面
(
ライオンフエーズ
)
といふ顏の
型
(
タイプ
)
を、その男の顏に始めてまざまざと見たのであつた。
癩
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
その男は、
服装
(
みなり
)
から見ても人柄から見ても、高等
乞食
(
こじき
)
とでも称し得るような
型
(
タイプ
)
をそなえていた、すなわち非常な
見窄
(
みすぼ
)
らしさとともにまた非常な清潔さを。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
此の役はロマンチスムの運動が作り出した若い女の一つの
型
(
タイプ
)
で、「オボコ」らしくて実はコケットな、どうかするといくらかサンシュエルな女なのである。
芸術座の『軍人礼讃』
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
それが一人ひとり違った
型
(
タイプ
)
と服装で、ちょいとした若奥様みたいなのや、良家の令嬢と言ったのや、お
侠
(
きゃん
)
な女学生風なのや、白エプロンの女給々々したのや
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「それがバルザックに「
型
(
タイプ
)
」即ち、一箇きりの情熱に全く要約された存在を創造することを許したのだ。」
小説のことなど
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
逞しい繼父の小左衞門に似ず、
華奢
(
きやしや
)
で、ちよいと良い男で、そして遊び好きらしい、にやけたところのある若者、八五郎などの嫌ひな
型
(
タイプ
)
に屬する若旦那型です。
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は
生若
(
なまわか
)
い伍長が直立して敬礼するのに対して、馬鹿野郎と呶鳴った。軍人より
匪賊
(
ひぞく
)
という
型
(
タイプ
)
だった。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
(女の顔を見入りながらからかふやうな眼付になる)コーカサス
型
(
タイプ
)
で以て、鼻筋だけは独逸女のやうに何処かかうキリツとしたところのある顔、と言へば好いのかな。
夢:(これは、叙景・叙述のない一挿話である)
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
故松助演じるところの『
梅雨小袖
(
つゆこそで
)
』の白木屋お駒の
髪結
(
かみゆい
)
新三
(
しんざ
)
をとっちめる大屋さん、
鰹
(
かつお
)
は片身もらってゆくよの
型
(
タイプ
)
で、もちっとゴツクした、ガッチリした
才槌頭
(
さいづちあたま
)
である。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
つまり極度にヒステリックな変態的
女丈夫
(
じょじょうふ
)
とでも形容されそうな
型
(
タイプ
)
の女であったが、それだけに又、自分の
身体
(
からだ
)
が重い肺病に
罹
(
かか
)
っても、亭主の彼に苦労をかけまいとして
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ダンテもウフイツチ邸で見たラフワエルも
美男子
(
びだんし
)
だが、
之
(
これ
)
が昔からフイイレンチエの男の
型
(
タイプ
)
なのであらう。今も
此
(
この
)
土地の男にはダンテやラフワエル風の好男子が多い様だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「ええ、奥さんと云う方は、古風な大店の
御新造
(
ごしんぞ
)
さんと云った
型
(
タイプ
)
の人ですからね。それに、これは去年の暮私が頼まれて作ったのですが、蜘蛛糸は本物の小道具なんですよ」
後光殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
常識はひどく欠乏しているが、その代りには、悪事にかけては普通人の及ばぬ、畸形な感覚を持っているのかも知れない。所謂先天的犯罪者
型
(
タイプ
)
に属する子供かも知れないのです。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
林黛玉の梅逢春がやっと一座に加わったのは、もう食卓の
鱶
(
ふか
)
の
鰭
(
ひれ
)
の
湯
(
タン
)
が、荒らされてしまった後だった。彼女は私の想像よりも、余程娼婦の
型
(
タイプ
)
に近い、まるまると肥った女である。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しばらくして出て来たのは陰気な
型
(
タイプ
)
のひょろ長い、
胡麻塩
(
ごましお
)
頭の気の浮かない、給仕頭で、その男のブツブツ云うところによると、サレーダイン公爵はこの頃ずーッと不在であったが
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
こういう人物が我々の側から見ますと、時に非常な犯罪を企図する
型
(
タイプ
)
なのですが、このフリオ・ベナビデスもやはり御多分に洩れずまことに恐るべきことをいたしておりますのです。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ジュッド医師は、四十八歳の温厚な小市民
型
(
タイプ
)
である。気の毒な程取り乱していた。
アリゾナの女虎
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「いやなに、夫の一つの
型
(
タイプ
)
なんですがね……説明すると長くなります。それよかそろそろ引き上げて頂きましょうか、もう歸っておやすみになる時刻ですよ。あんたにはうんざりしましたよ!」
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
私達が、冗談半分に、どこの奥さんが美しいとか、誰の
型
(
タイプ
)
は好きだとか話しますと、大変嫌な顔をいたしましたし、新聞などの情事事件をあれこれ批評することも、父の前では出来ませんでした。
落ちてゆく世界
(新字新仮名)
/
久坂葉子
(著)
「流行の朗か
型
(
タイプ
)
?」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
従兄の悲しさに、あんたも私も、どうもサディストの
型
(
タイプ
)
に属するらしいね。アッペルバッハの新しい性格分類法で行くと。
一本の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
またごく話し上手で、多少鈍重ではあるが様子がよく、ドイツにおいて古典的な美男子とさるる
型
(
タイプ
)
に属していた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この石川五郎という男が、定型的な犯罪者
型
(
タイプ
)
を備えているに反して、大村さんは骨相学上から言えば、どうしても善人としか考えられない顔をしているよ。
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
年々
尠
(
すくな
)
くなりつつある Good Girls という
型
(
タイプ
)
が、電話線の向端で標準国語を使っている。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
典型的な忠義者、——と言つた感じの、
几帳面
(
きちやうめん
)
に、忍從で少し片意地で、そのくせ愛嬌のある——こんなのが飛んだ喰はせ者かも知れないと思つたほど『番頭
型
(
タイプ
)
』の人間です。
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ベネディクト修道女というよりもむしろベネディクト修道士と言ったふうな
型
(
タイプ
)
だった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
いはゆる
老嬢
(
オールドミス
)
には違ひないが、その風丰と云ひ、挙止と云ひ、殊に、多少鼻にかかる言葉の調子に至つては「
老
(
オールド
)
」の色よりも「
嬢
(
ミス
)
」の気が勝ち、世間タイプで云ふ先生
型
(
タイプ
)
のなかでも
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
厳密にいったなら美人ではなかったかも知れないが、
野性
(
ワイルド
)
な
魅力
(
チャーム
)
が非常にある
型
(
タイプ
)
だ。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
まだ二十代の若い男らしかった。太田はかつて何かの本で読んだ記憶のある、この病気の一つの特徴ともいうべき
獅子面
(
ライオンフェース
)
という顔の
型
(
タイプ
)
を、その男の顔に始めてまざまざと見たのであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
昔から自分の気に入った
型
(
タイプ
)
の人物にしか関心しようとしない自分の
習癖
(
しゅうへき
)
が
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
これはもう仰しゃるような
型
(
タイプ
)
じゃなく、洟っ垂れの大供にすぎませんさ。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
たゞ、洗練された常識に過ぎないのですよ。例へば『三人妻』など云ふ作品だつて如何にも三人の妻の性格を描き分けてあるけれども、それが世間に有り触れた常識的
型
(
タイプ
)
に過ぎないのですからね。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
まだ純然たる書生
型
(
タイプ
)
で、院長らしい気取った態度は
微塵
(
みじん
)
もない。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ジャアナリズムの触手の通信員
型
(
タイプ
)
の人物だった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼はアフリカや極東と取引をしてる商館にはいっていた。新しいドイツ人の一つの
型
(
タイプ
)
を具えていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
典型的な忠義者、——といった感じの、
几帳面
(
きちょうめん
)
に、忍従で少し片意地で、そのくせ
愛嬌
(
あいきょう
)
のある——こんなのがとんだ喰わせ者かも知れないと思ったほど「番頭
型
(
タイプ
)
」の人間です。
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
性格的「
型
(
タイプ
)
」を創造することはできなかつたが、現代社会を形造る階級的乃至職業的「
型
(
タイプ
)
」を捉へて、微細な観察を下し、これを特殊な「
境遇
(
シチュエション
)
」の中に投げ込んで、一種のグロテスクな
仏国現代の劇作家
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
仏蘭西
(
フランス
)
のヴィドックという探偵は、眼だけ見れば犯罪者か否かが分かるとさえ言っているが、眼が窪んでいて割合に大きく、しかも何となく光がにぶくうるんで見えるのは、殺人者
型
(
タイプ
)
に属するもので
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
あらゆる価値の相対性、それらを
型
(
タイプ
)
化せんとする偏執狂的熱中。
獄中への手紙:10 一九四三年(昭和十八年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
性格的「
型
(
タイプ
)
」を創造することはできなかつたが、現代社会を形づくる階級的乃至職業的「
型
(
タイプ
)
」をとらへて、微細な観察を下し、之を特殊な「境遇」の中に投げ込み、一種のグロテスクな
ジヨルジュ・クウルトリイヌに就いて
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
迎へてくれた主人鈴川
主水
(
もんど
)
は、三十五、六の立派な男でした。滑らかな皮膚の色、高い鼻、精練された聲など、年はとつても、何樣一とかどの美男で、藝人などによくある
型
(
タイプ
)
の男前です。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“男まさり”という
型
(
タイプ
)
の、水のような冷たい表情です。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“型”の意味
《名詞》
(かた)舞踊や武道などの基本動作。
(かた)鋳型。
(かた)型式。
(出典:Wiktionary)
型
常用漢字
小5
部首:⼟
9画
“型”を含む語句
類型
模型
原型
大型
摸型
角型
鋳型彫
鋳型
人型
小型
典型
紅型
面型
痩型
娼婦型
希臘型
代表型
典型的
紙型
格子型
...