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図々
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ずうずう
ふりがな文庫
“
図々
(
ずうずう
)” の例文
旧字:
圖々
まして、わたしに何も請求したわけではない。人の顔を穴のあくほど
見据
(
みす
)
える、例の
図々
(
ずうずう
)
しい女でもない。彼女は中を
覗
(
のぞ
)
いても見ない
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
一番年上の男の子は、いきなり炉から燃えさしの木の大きな根っこを持ちあげるがいなや声も立てず、
図々
(
ずうずう
)
しい犬になげつけた。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
けれどもそれは、いかにも
図々
(
ずうずう
)
しい事のようだから、そこの小さい窓から庭を、むさぼるように眺めるだけで我慢する事にした。
帰去来
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「話によっては、ぼくも君に協力してあげないこともないが、しかしとにかく、君の礼儀を失した
図々
(
ずうずう
)
しいやり方には好意がもてないよ」
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
長い年月舞台を踏んでいるのだし自分でも相当
図々
(
ずうずう
)
しい女だとおもっているのにやっぱり駄目だ、——と言ったことがある。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
▼ もっと見る
弦四郎の方はどうかというに、彼の
図々
(
ずうずう
)
しさと機智とによって、丹生川平の別天地に、依然として住居することが出来た。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私は、下働きが薬局へ這入ると、そこへも
図々
(
ずうずう
)
しく這入りこんで、一本だけ手に抱えた。時計が寂しくなっている。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
後で私はそのことを
先
(
せん
)
の
老婆
(
ばあや
)
から聞きました。よく
図々
(
ずうずう
)
しくも、私の
蒲団
(
ふとん
)
なぞに眠られたものだと思いましたよ。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
斯うされると益〻気が咎めると見えて、しまいには私の枕元へ坐り込みました。それでも
図々
(
ずうずう
)
しいものね。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
図々
(
ずうずう
)
しく来たなと天蔵は眼をかがやかした。しかし、案外な気がふとしなくもなかった。というのは
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あんまり
図々
(
ずうずう
)
しいから首はこうして
晒
(
さら
)
して置けとそのお武士がおっしゃる、望月様もあんまり
酷
(
ひど
)
い目に会わせられましたから、口惜しがって、その武士のお
言付
(
いいつけ
)
通り
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
客観的には憎ったらしい程
図々
(
ずうずう
)
しく、しっかりとした足どりで、歩いたらしい。しかも一つ処を幾度も幾度もサロンデッキを
逍遙
(
しょうよう
)
する一等船客のように往復したらしい。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
振向くと、アア何という
図々
(
ずうずう
)
しい奴だ。品川四郎がニコニコして、そこに立っていたではないか。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ええ? どこまで
図々
(
ずうずう
)
しい子なンだ! 親が何かいっているのに、地面ばっかり見つめてさ……母さん、お前のような白ッ子みたいに呆けた子なンか捨てっちまうよッ」
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
中々食えぬ
老人
(
としより
)
には相違無いが、此時の顔つきには福々しさも
図々
(
ずうずう
)
しさも無くなって、ただ真面目ばかりが充ち
溢
(
あふ
)
れていた。ところが、それに負けるような主人では無かった。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「そうとう、
図々
(
ずうずう
)
しいわね。百円以上もカケを
拵
(
こしら
)
えてさ。一文も払わずに、また——」
家霊
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「しかし、よくもこう大勢お歴々の揃っておる場所へ、
図々
(
ずうずう
)
しく現れたものじゃな」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「わたしね、お店を辞めたのよ。もっともこの間じゅうから腹の内で決めていたんだけれども、あの
親父
(
おやじ
)
があんまりいけ
図々
(
ずうずう
)
しくっていやになってしまって、予定を繰り上げたわけだわ」
宝石の序曲
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「まだあすこに
吠
(
ほ
)
えているわ。ほんとうに
図々
(
ずうずう
)
しい
野良犬
(
のらいぬ
)
ね。」などと、地だんだを踏んでいるのです。坊ちゃんも、——坊ちゃんは
小径
(
こみち
)
の
砂利
(
じゃり
)
を拾うと、力一ぱい白へ投げつけました。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が一分もたつと、彼の顔は急に変わり、妙にとってつけたようなずるい表情とわざとらしく
図々
(
ずうずう
)
しい態度をこしらえながら、ラスコーリニコフを見やった。そして、笑い出しながら言った。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
で、少し
図々
(
ずうずう
)
しいとは思ったけれど、万事河田さんにお頼みすることにした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
また
図々
(
ずうずう
)
しくやっては行ったが、今度は私も考えなければならなかった。
骨を削りつつ歩む:――文壇苦行記――
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
彼はこの界隈の英雄で、腕ずくと
図々
(
ずうずう
)
しさとで名をとどろかしていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
七五郎 だって、お前、
図々
(
ずうずう
)
しく、居ねえなんて
吐
(
ぬ
)
かすからよ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
回想
(
おもいだ
)
して「水の世話にさえならなきゃ
如彼
(
あんな
)
奴に口なんか
利
(
き
)
かしや仕ないんだけど、房州の
田舎者奴
(
いなかものめ
)
が、可愛がって頂だきゃ可い気になりゃアがってどうだろうあの
図々
(
ずうずう
)
しい
案梅
(
あんばい
)
は」とお徳の
先刻
(
さっき
)
の言葉を
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
右釈明
旁々
(
かたがた
)
近日参邸いたし度く——あゝ何と云う
図々
(
ずうずう
)
しさだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
驚くべく
図々
(
ずうずう
)
しいものでもあった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ワーリャ まあ、いけ
図々
(
ずうずう
)
しい!
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何という
図々
(
ずうずう
)
しい奴だろう——
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「しずかにしているんだよ。怪物どもがすっかり姿をあらわして、
図々
(
ずうずう
)
しくなるまで、ぼくたちは石の像のようにしずかにしているんだよ」
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人を救うなんて、まあ、そんなだいそれた、(第一幕に於けるが如き低い異様な笑声を発する)
図々
(
ずうずう
)
しいにもほどがあるわ。
冬の花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いかに太郎丸
図々
(
ずうずう
)
しい、度胸を持っていようとも、
砦
(
とりで
)
にも当らぬこの屋敷を、こう十重二十重に囲まれては、策を
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
狼心狗行
(
ろうしんくこう
)
の
曲者
(
くせもの
)
めが、なんの
面目
(
めんぼく
)
あって、太陽の下に、いけ
図々
(
ずうずう
)
しくも、人間なみな言を吐きちらすぞ
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
図々
(
ずうずう
)
しいにもほどがある、やつはハンケチを振っている!」彼はうなった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
小町 まあ、何と云う
図々
(
ずうずう
)
しい人だ! 嘘つき!
九尾
(
きゅうび
)
の狐! 男たらし!
騙
(
かた
)
り!
尼天狗
(
あまてんぐ
)
! おひきずり! もうもうもう、今度顔を合せたが最後、きっと
喉笛
(
のどぶえ
)
に
噛
(
か
)
みついてやるから。
口惜
(
くや
)
しい。
二人小町
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
呆
(
あき
)
れるばかりに
図々
(
ずうずう
)
しい
面
(
つら
)
の皮千枚張りの
詭弁
(
きべん
)
、または、
淫祠
(
いんし
)
邪教のお筆先、または、ほら吹き山師の救国政治談にさえ堕する危険無しとしない。
父
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「貴様は、相当
図々
(
ずうずう
)
しいやつだ。一たい、誰のゆるしを得て、このノーマ号のうえを歩いているのか」
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、意次にはそれがかえって、
図々
(
ずうずう
)
しく太々しく思われた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自業自得を、人の責任におっつけるのは、
図々
(
ずうずう
)
しすぎるぜ
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
竹童は
図々
(
ずうずう
)
しい相手のことばにびっくりして
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
図々
(
ずうずう
)
しくこちらから近寄って手を差しのべ、「どうしたの?」などと逆襲されると、これはまた大恥辱であるから、僕は知らん顔をしていたのだ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「まあ、
図々
(
ずうずう
)
しいのネ、近頃の処女は——」
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
次第に
図々
(
ずうずう
)
しくなって来る。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「芹川も、いつのまにやら
図々
(
ずうずう
)
しくなってしまいやがった。この図々しさが、作品にも、少し出るといいんだがねえ。」
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
私は田舎者の
図々
(
ずうずう
)
しさで、さらにそのとし「思い出」という作品を発表し、もはや文壇の新人という事になった。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「じゃ私たちは、もう二、三日、金木の家へ泊めてもらって、——それは
図々
(
ずうずう
)
しいでしょうか。」
故郷
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
図々
(
ずうずう
)
しい、わがままだ、勝手だ、なまいきだ、だらしない、いかなる
叱正
(
しっせい
)
をも甘受いたす覚悟です。只今、仕事をして居ります。この仕事ができれば、お金がはいります。
誰
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あのひとの持っているのは、田舎者の
図々
(
ずうずう
)
しさ、
馬鹿
(
ばか
)
な自信、ずるい商才、それだけなんです。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
僕は誰にでも、有名な人から手紙を貰うと、
斯
(
こ
)
んな訳の分らぬ
図々
(
ずうずう
)
しい宣伝文を書く癖があるのでしょう。いや、この前、北川冬彦氏から五六行の葉書を貰った時だけです。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
口が達者で
図々
(
ずうずう
)
しく、反省するところも何も無い奴には、ものも言いたくないし、いきなり鮮やかな背負投げ一本くらわせて、そいつのからだを大きく宙に一廻転させ、どたん
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
図
常用漢字
小2
部首:⼞
7画
々
3画
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図々敷
図々図々