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じゅそ
ふりがな文庫
“
呪咀
(
じゅそ
)” の例文
お袖は、たちまち、顔じゅうを涙にしながらも、
呪咀
(
じゅそ
)
の火、そのもののように、眸も、頬も、耳までも燃やして、なおいいつづけた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さて最後に、彼が嘗て軍医として活躍したにもかかわらず、戦争の問題になると、徹頭徹尾戦慄と
呪咀
(
じゅそ
)
の心を表明していたことを書き添えておく。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「とにかく権四郎が悪い。あれは恋敵の高松半之丞に違いない。半之丞の
呪咀
(
じゅそ
)
が、彼を文字どおりの悪鬼にかえたのだ」
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今断末魔の餌差宗助の
鯉
(
こい
)
の様な
唇
(
くちびる
)
から、身の毛もよだつ
呪咀
(
じゅそ
)
の言葉を読み得たであろうものを惜いかな、彼は、唇の文字には少しも通じていなかった。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
定めとてもない漂泊の旅に転々として
憂世
(
うきよ
)
をかこちがちな御面師が、次第に自分の名前にまでも
呪咀
(
じゅそ
)
を覚えたというのが、漠然ながら私も同感されて見ると
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
彼が壁につき当ってよろめいているあいだに、私は
呪咀
(
じゅそ
)
の言葉とともに
扉
(
とびら
)
をしめて、彼に剣を抜けと命じた。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
怒りならば、軽蔑ならば、憎悪ならば、ないしは
呪咀
(
じゅそ
)
ならば、怨みならば、まだまだ救われる余地がある!
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
宗教学部門 幽霊、生霊、死霊、人魂、鬼神、悪魔、前生、死後、六道、再生、天堂、地獄、
祟
(
たたり
)
、厄払い、
祈祷
(
きとう
)
、守り札、
呪咀
(
じゅそ
)
、修法、霊験、応報、託宣、感通の類
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
貴族や富豪に虐げられる下層階級者に同情していても権力階級の存在は社会組織上止むを得ざるものと
見做
(
みな
)
し、渠らに味方しないまでも
呪咀
(
じゅそ
)
するほどに憎まなかった。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
準之助は、他人を一歩も仮借しようとしない、夫人の増上慢に、……その無残な仕打に、良人として、いな一人の人間として、
呪咀
(
じゅそ
)
の叫びを上げずにはいられなかった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
飲みなれぬ酒に胸をただらし気まぐれに乗った郊外電車をとある駅に
棄
(
す
)
てると、ただ無茶苦茶に、ぶつぶつと
独言
(
ひとりごと
)
をいいながら——それは多分、かの女に対する
呪咀
(
じゅそ
)
と、ああ
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
奇妙にポチを
呪咀
(
じゅそ
)
し、ある夜、私の寝巻に犬の
蚤
(
のみ
)
が
伝播
(
でんぱ
)
されてあることを発見するに及んで、ついにそれまで堪えに堪えてきた怒りが爆発し、私はひそかに重大の決意をした。
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える―
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
……
奧
(
おく
)
よ、
子
(
こ
)
をば
神
(
かみ
)
が
只
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
しか
賜
(
たまは
)
らなんだのを
不足
(
ふそく
)
らしう
思
(
おも
)
うたこともあったが、
今
(
いま
)
となっては
此奴
(
こやつ
)
一人
(
ひとり
)
すら
多過
(
おほす
)
ぎる、
取
(
と
)
りも
直
(
なほ
)
さず、
呪咀
(
じゅそ
)
ぢゃ、
禍厄
(
わざはひ
)
ぢゃ、うぬ/\、
賤婢
(
はしたをんな
)
め!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
冷めたさと空虚と未来への絶望と
呪咀
(
じゅそ
)
の如きものが漂っているように感じられる。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
わたしはヴォルテェルを
軽蔑
(
けいべつ
)
している。若し理性に終始するとすれば、我我は我我の存在に
満腔
(
まんこう
)
の
呪咀
(
じゅそ
)
を加えなければならぬ。しかし世界の
賞讃
(
しょうさん
)
に酔った Candide の作者の幸福さは!
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
即ち今日に於てこの一夫一婦制を棄てて、自由恋愛の美名の下に、原人時代の雑婚に復帰せんとするは、これ明らかに社会的共同生活を
呪咀
(
じゅそ
)
し、これを
根柢
(
こんてい
)
より破壊せんと欲するものに
外
(
ほか
)
ならぬ。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
子供の行末のために、解けない
呪咀
(
じゅそ
)
が懸けられるような気がした。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
何世紀立っても消えない、一番ひどい
呪咀
(
じゅそ
)
で、君を
咀
(
のろ
)
うまでだ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
こうして夜明けを待っていても、自分をつつむ吉岡門の
呪咀
(
じゅそ
)
や、策や刃ものを
磨
(
ま
)
している気配は、全身に感じている武蔵であった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母親から受け継いだ
呪咀
(
じゅそ
)
の血が、醜い肉体の中で、地獄の
業火
(
ごうか
)
に湧きたぎった。それからの十幾年、彼女は
最早
(
もはや
)
人間ではなかった。鬼であった。呪いの化身であった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
第五種(
呪願
(
じゅがん
)
編)
祭祀
(
さいし
)
、鎮魂、
淫祀
(
いんし
)
、
祈祷
(
きとう
)
、御守、御札、加持、ノリキ、
禁厭
(
きんよう
)
、
呪言
(
じゅげん
)
、
呪咀
(
じゅそ
)
、修法
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
台所のお
爨
(
さん
)
どんまで時間制を高唱して労働運動に参加しようとする今日の思潮は世間の大勢で如何ともする事が出来ないのを、官僚も民間も切支丹破天連の如く
呪咀
(
じゅそ
)
して
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
呪咀
(
じゅそ
)
も、予言も、闘志も、魔力も、
姥
(
うば
)
からことごとく失われたようであった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
(羽の生えたる神人の如き、奇怪なる
呪咀
(
じゅそ
)
の挙動。)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
けれどそれは、この
期
(
ご
)
になって、甚三郎の死を悲しむ涙などではなかった。もっと強い、反抗的な、
呪咀
(
じゅそ
)
をこめた——口惜し涙であった。
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(
消印
(
けしいん
)
はどれもこれも違った局のであった)復讐の
呪咀
(
じゅそ
)
の言葉のあとに、静子のある夜の行為が、
細大
(
さいだい
)
洩
(
も
)
らさず、正確な時間を附加えて記入してあることに変りはなかった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一日一日と
屍骸
(
しがい
)
は増え、道に横仆わった屍骸をめがけて幾百ともない烏の群が遠い国から集まって来た。号泣、憤怒、怨恨、
呪咀
(
じゅそ
)
、そして町々辻々からは腐った屍骸の悪臭が昼夜となく立ち昇った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
呪咀
(
じゅそ
)
の
詞
(
ことば
)
で理性を縛して置いて、その
代
(
かわり
)
に
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
奪わんとする高御曹司の
執拗
(
しつよう
)
な
呪咀
(
じゅそ
)
が、さまざまな形となって、わが妻と家庭を悩まし
脅
(
おびや
)
かし通してきたものに違いありませぬ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ありとあらゆる歎願と
呪咀
(
じゅそ
)
が、絶えては続き、絶えては続き覗き穴を漏れて来た。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お袖が、いかに、
呪咀
(
じゅそ
)
に燃えて、越前守を恨もうとしても、その越前との仲に
生
(
な
)
した子の愛をもって説かせれば——と、彼はその成功を信じていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それ程も、悪魔の
呪咀
(
じゅそ
)
は恐るべく憎むべきものであった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
武蔵にとっては、恐らく、これ以上、危ない地上はない
呪咀
(
じゅそ
)
の山へ、きのう伊織を連れて、上って来たのであった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人を憎んだり
嫉
(
そね
)
んだりすることは、日常、人一倍烈しい
質
(
たち
)
の又八であるが、
呪咀
(
じゅそ
)
するほどの強い意力は、人を恨むことにすら出来ない
質
(
たち
)
の又八であった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貞盛を見るときは、眼の内へも入れてしまいたいような愛情に
溶
(
と
)
ろけるこの老父が、将門という名を聞いただけで、眸の底から
呪咀
(
じゅそ
)
の光を見せるのだった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
呪
(
のろ
)
ったり、そのほか
辛辣
(
しんらつ
)
な悪口や
呪咀
(
じゅそ
)
が、消しても消しても、何者かが書きちらして行った。もちろんその筆蹟や辞句から見ても、町人の
悪戯
(
いたずら
)
でないことは明白だった。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
驍勇
(
ぎょうゆう
)
並ぶ者なきあなたと、伝国の玉璽を所有して、富国強兵を誇っているところの袁家とが、
姻戚
(
いんせき
)
として結ばれると聞いたら、これを
呪咀
(
じゅそ
)
し
嫉視
(
しっし
)
せぬ国がありましょうか」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてこのむくいを、男におもい知らさねばと、
呪咀
(
じゅそ
)
に燃えつつ誓っているのであった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むしろ、彼女の
美貌
(
びぼう
)
までが、養父の
蓄
(
た
)
めている金と共に、
呪咀
(
じゅそ
)
の的に見られていた。
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何となれば、貞盛こそは、年来、相馬殿を亡くさんと、都と
坂東
(
ばんどう
)
の間を往来し、あらゆる虚構と
奸智
(
かんち
)
をかたむけて、主人将門殿を
呪咀
(
じゅそ
)
している卑劣者だ。——その貞盛が、常陸に潜伏している。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呪咀
(
じゅそ
)
の眼に似ていた。妻へ宛てた文の目を封じる手さえわなわなさせ
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとより武蔵の剣は
殺
(
さつ
)
でなく、人生
呪咀
(
じゅそ
)
でもない。
宮本武蔵:01 序、はしがき
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呪
常用漢字
中学
部首:⼝
8画
咀
漢検1級
部首:⼝
8画
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