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ふいちやう
ふりがな文庫
“
吹聴
(
ふいちやう
)” の例文
旧字:
吹聽
唯幾分か新しかつただけである。が、「死者生者」は不評判だつた。「芋粥」は——「芋粥」の不評判だつたのは
吹聴
(
ふいちやう
)
せずとも善い。
続文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
左様
(
さう
)
ぢやないか——世間体の好いやうな、自分で自分に
諂諛
(
へつら
)
ふやうなことばかり並べて、其を自伝と言つて
他
(
ひと
)
に
吹聴
(
ふいちやう
)
するといふ今の世の中に
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
B小説家の新作小説は、
先日
(
こなひだ
)
月賦払ひで
漸
(
やつ
)
と買取つたモウパツサン全集の焼直しに過ぎないとかいふ事を、
極
(
ごく
)
内々
(
ない/\
)
で
吹聴
(
ふいちやう
)
するのを道楽にしてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『その席で君にも絵を描かせようといふのだよ。張帥に君の凝り工合を
吹聴
(
ふいちやう
)
したのだ。それだけの話なのさ』
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
此家
(
うち
)
の水はそれは好い水で、演習行軍に来る兵隊なぞもほめて飲む、と得意になつて
吹聴
(
ふいちやう
)
したが、其れは赤子の時から飲み馴れたせいで、大した水でもなかつた。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
親友
知己等
(
ちきら
)
へも
吹聴
(
ふいちやう
)
したのです、御笑ひ下ださるな、恋は
大人
(
おとな
)
をも
小児
(
こども
)
にする魔術です、——去れば
今日
(
こんにち
)
、貴嬢から拒絶されたと云ふことが知れ渡つたものですから
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
しかし、恥を知らぬ、自堕落な連中が、どこ迄も只道楽を道楽として臆面もなく下等に馬鹿話を
吹聴
(
ふいちやう
)
し合つてゐる時、一人沈黙を守るのは偽瞞でもなければ
衒
(
ぶ
)
る事でもない。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
コレハ/\よく作られたと
賞揚
(
しやうやう
)
一
番
(
ばん
)
、その
後
(
あと
)
で
新詩
(
しんし
)
を
一律
(
いちりつ
)
また
贈
(
おく
)
られては、
再
(
ふたゝ
)
び胸に山を
築
(
きづ
)
く、こゝは
大
(
おほき
)
に
考
(
かんが
)
へもの、
面
(
まのあた
)
り
捧
(
さゝ
)
げずに遠く
紙上
(
しじやう
)
で
吹聴
(
ふいちやう
)
せば、先生
髯
(
ひげ
)
を
握
(
にぎ
)
りながら
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
あながちに
己
(
おの
)
が見証を
将
(
もつ
)
て世に
吹聴
(
ふいちやう
)
せんとにはあらず、唯だ吾が鈍根劣機を以てして、
尚
(
な
)
ほ且つこの
稀有
(
けう
)
の心証に
与
(
あづか
)
ることを得たる
嬉
(
うれ
)
しさ、
忝
(
かたじ
)
けなさの
抑
(
おさ
)
へあへざると、且つは世の
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
異人が来ては日本の為にならぬと思ひ込みたる
輩
(
やから
)
は、自分には知らぬ事ながら我が
生国
(
しやうこく
)
の恥辱を世間一般に
吹聴
(
ふいちやう
)
するも同様にて、気の毒千万なれば、この人々の為め
聊
(
いささ
)
か弁解すべし……
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
アヽ
当家
(
たうけ
)
でも
此頃
(
このごろ
)
斯
(
かう
)
いふ
営業
(
えいげふ
)
を始めたのぢや、
殿様
(
とのさま
)
も
退屈凌
(
たいくつしの
)
ぎ——といふ
許
(
ばかり
)
でもなく
遊
(
あそ
)
んでも
居
(
ゐ
)
られぬから
何
(
なに
)
がな
商法
(
しやうはふ
)
を、と
云
(
い
)
ふのでお
始
(
はじめ
)
になつたから、
何
(
ど
)
うかまア
諸方
(
しよはう
)
へ
吹聴
(
ふいちやう
)
して
呉
(
く
)
んなよ。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なほ次手に
吹聴
(
ふいちやう
)
すれば、久保田君は
酒客
(
しゆかく
)
なれども、(室生を呼ぶ時は呼び捨てにすれども、久保田君は
未
(
いま
)
だに呼び捨てに出来ず。)
海鼠腸
(
このわた
)
を食はず。
田端人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
現に番人がその話を自慢に
吹聴
(
ふいちやう
)
したといふではないか。それを聞いた時は工夫の群まで笑つたといふではないか。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
我家の
燈
(
ともしび
)
が消えたと云つて
愁歎
(
しうたん
)
して
在
(
い
)
らしたのですよ、
紀念
(
かたみ
)
の梅子を男の手で立派に養育して、雪子の恩に酬ゆるなんて
吹聴
(
ふいちやう
)
して在らつしやいましたがネ、其れが
貴郎
(
あなた
)
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
なほ
次手
(
ついで
)
に
吹聴
(
ふいちやう
)
すれば、先生は時々夢の中に
化
(
ば
)
けものなどに追ひかけられても、逃げたことは一度もなきよし。先生の
胆
(
たん
)
、恐らくは
駝鳥
(
だてう
)
の卵よりも大ならん
乎
(
か
)
。
田端人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其処で長左衛門様の
御先達
(
おさきだち
)
で朝廷へ
直訴
(
ぢきそ
)
と云ふことになつたので御座りましたよ、其れを村の巡査が途方も
無
(
ね
)
い
嘘
(
うそ
)
ツぱちを
吹聴
(
ふいちやう
)
して、騒動が始まるなんて言ひ振らしたので
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そこは抜目の無い、細工の多い男だから、根津から直に引返すやうなことを
為
(
し
)
ないで、わざ/\遠廻りして帰つて来たものと見える。さて、坊主を
捕
(
つかま
)
へて、片腹痛いことを
吹聴
(
ふいちやう
)
し始めた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
中には彼女が在学中、既に三百何枚かの自叙伝体小説を書き上げたなどと
吹聴
(
ふいちやう
)
して歩くものもあつた。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何故、あの猪子蓮太郎の著述が出る度に、自分は其を誇り顔に
吹聴
(
ふいちやう
)
したらう。何故、彼様に先輩の弁護をして、何か斯う彼の先輩と自分との間には一種の関係でもあるやうに
他
(
ひと
)
に思はせたらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし断えたるを
継
(
つ
)
いだ功は当然同氏に
属
(
ぞく
)
すべきである。この功は多分中戸川氏自身の予想しなかつたところであらう。しかし功には違ひないから、
序
(
ついで
)
に
此処
(
ここ
)
に
吹聴
(
ふいちやう
)
することにした。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
アメリカの女学生の生活を天使の生活のやうに
吹聴
(
ふいちやう
)
してゐたが、あの記事なども、半世紀後のアメリカ人の目に
触
(
ふ
)
れたらば、やはり、マツクフアレエンの「ジヤパン」と同じやうに
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、僕がKの話をした小説家と云ふのは、気の小さい、大学を出たての男で、K君の名誉に
関
(
かかは
)
る事だから位、おどかして置けば、決して、モデルが誰だなぞと云ふ事を、
吹聴
(
ふいちやう
)
する男ぢやあない。
創作
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
するとポプラア
倶楽部
(
クラブ
)
の
芝生
(
しばふ
)
に難を避けてゐた人人もいつ
何時
(
なんどき
)
隣の肺病患者を
駆逐
(
くちく
)
しようと試みたり、或は又向うの奥さんの私行を
吹聴
(
ふいちやう
)
して歩かうとするかも知れない。それは僕でも心得てゐる。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
吹
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
聴
常用漢字
中学
部首:⽿
17画
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