可恐こは)” の例文
だつて、だの、むらさきだの、くらうちに、あられまじつて——それだといなびかりがしてるやうだもの……しとみをこんなときけると、そりや可恐こはいぜ。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
文ちやんが余計にお節を慕つたのは、可恐こはい思をした時とか、さもなければひどく叔父さんから叱られた時だ。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
陽氣やうき加減かげんか、よひまどひをして、町内ちやうない大銀杏おほいてふ、ポプラの古樹ふるきなどでことがあると、ふくろだよ、あゝ可恐こはい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「……ほたるだ、それ露蟲つゆむしつかまへるわと、よく小兒こどもうちはしわたつたつけ。ゑんじゆ可恐こはかつた……」
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
可恐こはいものたさで、わたしもふツとつて、かまちからかほすと、あめかぜとがよこなぐりにふきつける。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
空模樣そらもやうあやしくつて、うも、ごろ/\とさうだとおもふと、可恐こはいものたさで、わるいとつた一方いつぱう日光につくわう一方いつぱう甲州かふしう兩方りやうはうを、一時いちじのぞかずにはられないからで。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おつかさんがんでるぢやないか。なかはやくおはひり——人間にんげん可恐こはいよ。」
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞ浮氣うはきだつたり、おいたをすると、それは/\本當ほんたう可恐こはいのである。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……そのうち場所ばしよことだから、べつあひでもないが、柳橋やなぎばしのらしい藝妓げいしやが、青山あをやま知邊しるべげるのだけれど、途中とちう不案内ふあんないだし、一人ひとりぢや可恐こはいから、にいさんおくつてくださいな、といつたので、おい
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こんな、さびしいときの、可恐こはいものにはね、よろひなんかたつてかなはないや……むかつてきや、きえちまふんだもの……これからふゆ中頃なかごろると、のきしたちかるつてさ、あの雪女郎ゆきぢよらうたいなもんだから
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いぬなんか可恐こはくないよ。ちツちツちツ。」
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
面白おもしろくはないよ……可恐こはいよ。」
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)