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古疵
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ふるきず
ふりがな文庫
“
古疵
(
ふるきず
)” の例文
親父
(
おやじ
)
に巾着切りの
古疵
(
ふるきず
)
があるとも知らぬ清純さ、それを見るのを唯一の楽しみに、彦兵衛は本当に真っ黒になって働き続けたのです。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
魚でも
鮭
(
さけ
)
と
鱒
(
ます
)
と大きな
鯇
(
やまめ
)
と
渓間
(
たにま
)
の鯉は蛇を食べますから鮭や鱒を食べると三年過ぎた
古疵
(
ふるきず
)
が再発すると申す位で腫物や疵には大毒です。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「胸から腹へかけて、長く続いた細いメスの跡がある、それが変な風に
灼
(
や
)
けている。一見
古疵
(
ふるきず
)
のようだが、古疵ではない」
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お粂は義理ある妹のお
槇
(
まき
)
にも
古疵
(
ふるきず
)
の
痕
(
あと
)
を見られるのを気にしてか、すずしそうな
単衣
(
ひとえ
)
の下に重ねている
半襟
(
はんえり
)
をかき合わせることを忘れないような女だ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
で、
私
(
わたくし
)
どもに
向
(
むか
)
って
身上噺
(
みのうえばなし
)
をせいと
仰
(
お
)
ッしゃるのは、
言
(
い
)
わば
辛
(
かろ
)
うじて
治
(
なお
)
りかけた
心
(
こころ
)
の
古疵
(
ふるきず
)
を
再
(
ふたた
)
び
抉
(
えぐ
)
り
出
(
だ
)
すような、
随分
(
ずいぶん
)
惨
(
むご
)
たらしい
仕打
(
しうち
)
なのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
古疵
(
ふるきず
)
の
悩
(
なやみ
)
を覚えさせまい、とそうやって知らん顔をしてくれるのは
真
(
まこと
)
に嬉しい、
難有
(
ありがた
)
いが……それでは
怨
(
うらみ
)
だ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云いながら、
透
(
すか
)
して九日の
夜
(
よ
)
の月影に見れば、一人は田中の中間喧嘩の龜藏、
見紛
(
みまご
)
う
方
(
かた
)
なき面部の
古疵
(
ふるきず
)
、一人は元召使いの相助なれば、源次郎は二度
恟
(
びっく
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『
矢筈草
(
やはずぐさ
)
』と題しておもひ
出
(
いづ
)
るままにおのが身の
古疵
(
ふるきず
)
かたり
出
(
い
)
でて筆とる
家業
(
なりわい
)
の
責
(
せめ
)
ふさがばや。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『白雲点百韻俳諧』に「
火燵
(
こたつ
)
にもえてして猫の恋心」ちゅう句に「雪の日ほどにほこる
古疵
(
ふるきず
)
」。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
男と女との間の
睽
(
そむ
)
きあったところへ口を出すほど危険なことは無い。もし其男女の仲が直れば、
後
(
あと
)
で好く思われる筈は無い、双方の
古疵
(
ふるきず
)
を知っている
一
(
いつ
)
の他人であるからである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
右の通り
書留
(
かきとめ
)
之有るに
付
(
つ
)
き越前守殿吉兵衞に向はれ其方
娘
(
むすめ
)
島は當年
何歳
(
なんさい
)
に成やと問るゝに吉兵衞ヘイ
同人
(
どうにん
)
は當年廿一歳に相成ますと申ければ越前守殿
然
(
しか
)
らば同人左の
眉
(
まゆ
)
の方に
古疵
(
ふるきず
)
の
痕
(
あと
)
はなかりしやと申さるゝを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それが心の
古疵
(
ふるきず
)
に何としみるかよ。
我が一九二二年:02 我が一九二二年
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
親父に巾着切の
古疵
(
ふるきず
)
があるとも知らぬ清純さ、それを見るのを唯一の樂しみに、彦兵衞は本當に眞つ黒になつて働き續けたのです。
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お粂はそれを言って見せたぎり、堅く
緋
(
ひ
)
ぢりめんの
半襟
(
はんえり
)
をかき合わせ、あだかも
一昨年
(
おととし
)
の
古疵
(
ふるきず
)
の
痕
(
あと
)
をおおうかのようにして、店座敷から西の廊下へ通う薄暗い板敷きの方へ行って隠れた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
放
(
はな
)
れず二人の娘に逢して
呉
(
くれ
)
と
髮
(
かみ
)
もおどろに
振亂
(
ふりみだ
)
し狂氣の如き
形容
(
ありさま
)
に長庵
殆
(
ほとん
)
どあぐみ
果
(
はて
)
捨置
(
すておく
)
時
(
とき
)
は此女から
古疵
(
ふるきず
)
が
發
(
おこ
)
らんも知れぬなり
毒
(
どく
)
喰
(
くは
)
ば皿とやら可愛さうだがお安めも殺して
仕舞
(
しま
)
ふ
外
(
ほか
)
は無いが如何なる手段で殺して
呉
(
くれ
)
ん内で殺さば
始末
(
しまつ
)
が惡し何でも娘兩人に逢して
遣
(
やる
)
と
誘引出
(
おびきだ
)
し人里遠き所にて
拂放
(
ぶつぱな
)
すより思案は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「旦那様、これは又大した
古疵
(
ふるきず
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、——さぞ、お若い時分の、勇ましい思い出でも御座いましょう」
禁断の死針
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
疵
漢検1級
部首:⽧
10画
“古”で始まる語句
古
古今
古渡
古河
古市
古風
古家
古物
古文書
古代