十分じふぶん)” の例文
如何いかなるくはだてか、内證ないしようはずわざ打明うちあけて饒舌しやべつて、紅筆べにふで戀歌こひうた移香うつりがぷんとする、懷紙ふところがみうや/\しくひろげて人々ひと/″\思入おもひいれ十分じふぶんせびらかした。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第一 毎日まいにちき、寢衣ねまき着替きかへ、蒲團ふとんちりはらひ、寢間ねま其外そのほか居間ゐま掃除さうじし、身體しんたい十分じふぶん安靜しづかにして、朝飯あさはんしよくすること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
成程なるほど子分こぶん多人数たにんずるのは子槌こづちで、れから種々いろ/\たからしますが、兜町かぶとちやうのおたくつて見ると子宝こだからの多い事。甲「だい国立銀行こくりつぎんこう大黒だいこくえん十分じふぶんります。 ...
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それもあつたかもしれないが、小劍には、おもしろをかしく書く、(書いてやらう、)といふ興味が多分にあり、しぜん、おもしろをかしく書く『腕』も十分じふぶんにあつた。
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
ゆつくり起きても、手水を使つて、朝飯を食ふには、十分じふぶんの時間があると思つた。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
もとよりをやつす色氣いろけ十分じふぶんをとこであるから、道中笠だうちうがさなかながらやにのついたかほは、茶店ちややばゞあにものぞかせたくない。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
緊乎しつかりる、ときふ樣子やうすかはつて、をしばたゝいたのが、田舍ゐなかむすめには、十分じふぶんうれひいたから、惚拔ほれぬいてをとここと、おあき出來できうちにも考慮しあんして
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一議いちぎおよばず、旦那だんな以爲然もつてしかりとしたが、何分なにぶん大枚たいまい代物しろものであるから、分別ふんべつ隨一ずゐいち手代てだいが、使つかひうけたまはる。と旦那だんな十分じふぶんねんれて、途中とちうよくをつけて、他人たにんにはゆびもさゝせるな。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
紅筆べにふで戀歌こひか移香うつりがぷんとする懷紙くわいしうや/\しくひろげて、人々ひと/″\思入おもひいれ十分じふぶんせびらかした。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)