しかし、どんなに蹴ってみても、どなってみても、なぐってみても、今度はもうパトラッシュには利目がありませんでした。
フランダースの犬 (新字新仮名) / マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー(著)
その目的のために大なる利目のあったのは、延期派の穂積八束氏が「法学新報」第五号に掲げた「民法出デテ忠孝亡ブ」と題した論文であったが
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
もし催促の利目があって首尾よく年貢が納まるならば、その半分を周旋した武人にやろうと利をもって誘う者もある。
東山時代における一縉紳の生活 (新字新仮名) / 原勝郎(著)
そんなことで、やっと我慢しているが、確かに利目があるから、一時のごまかしとも違うなんどと、おれはその時強調していい足したことででもあったろう。
夢は呼び交す:――黙子覚書―― (新字新仮名) / 蒲原有明(著)
そして、再び道路へ出てから、その残りを食い終わった。ずいぶん久しくウォートカを口にしなかったので、たった一杯飲んだだけで、たちまち利目が見えてきた。
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
それはパリーの浮浪少年らがフランス式の皮肉を集中した得意の身振りであって、きわめて利目の多いものであることは、既に半世紀も続いてきたのを見てもわかる。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
ここの水には、いまどきまったくたいした利目があるわ。でも、わたしこの温泉を立っていこうとはおもわない。このごろやっと、ここがおもしろくなりかけたのだもの。
影 (新字新仮名) / ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
するとその利目がとてもよくあらわれて、五千以上の薔薇の花が、もと通り美事に咲き匂いました。しかし、死ぬまでマイダス王に、何でも金にする力を思い出させたものが二つありました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために―― (新字新仮名) / ナサニエル・ホーソーン(著)
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この言葉は幾らか利目があったらしい。
宝島:02 宝島 (新字新仮名) / ロバート・ルイス・スティーブンソン(著)
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こういうと慢心の利目が即座に現われて、家中が急に混雑をはじめました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
俺の身体は死んでも、俺の魂は貴様をやっつけるまでは決して死なないのだからな。なる程、貴様のあの馬鹿馬鹿しい用心は生きた人間には利目があるだろう。たしかに俺は手も足も出なかった。
それが思うように利目がないと見ると、今度は自分が焦れ出して、なあに、いつか一度はこっちのものにして見せるといった腹でいるところへ、例の間違が持ち上って、とうとう、駒井も、神尾も
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
烈しい薬物の利目は忽ちであった。さしたる苦悶もなく、何事を云い残すでもなく、この異様な親子は、見る見る蒼ざめて行って、しっかりと抱き合ったまま、いつしか冷いむくろと化していた。
貝の利目はたちまちあらわれて、細君はその月から懐妊して、玉のような男子か女子か知りませんが生み落して老人は大満足を表すると云うのが大団円であります。