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ききめ
ふりがな文庫
“
利目
(
ききめ
)” の例文
だが、
追駈
(
おっか
)
けながら刑事の吹き鳴らした
呼笛
(
よびこ
)
の
利目
(
ききめ
)
があった。それを聞きつけた一人の警官が、丁度その時、賊の前面に現われたのだ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
池辺
(
いけべ
)
君の
容体
(
ようだい
)
が突然変ったのは、その日の十時半頃からで、一時は注射の
利目
(
ききめ
)
が見えるくらい、落ちつきかけたのだそうである。
三山居士
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、どんなに蹴ってみても、どなってみても、なぐってみても、今度はもうパトラッシュには
利目
(
ききめ
)
がありませんでした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
あるいはまた己れの利益に
戻
(
もと
)
るような事が起って来ると、自分一人で言っても
利目
(
ききめ
)
がないから
平生
(
へいぜい
)
徒党を組んで居るやつが陰に陽に相呼応して
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その目的のために大なる
利目
(
ききめ
)
のあったのは、延期派の穂積八束氏が「法学新報」第五号に掲げた「民法出デテ忠孝亡ブ」と題した論文であったが
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
▼ もっと見る
しかしその怪談の中にはもう話してもらったのもあるし足の疲労の方が勝つものだから、だんだん
利目
(
ききめ
)
がなくなって来るというような具合であった。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
もし催促の
利目
(
ききめ
)
があって首尾よく年貢が納まるならば、その半分を周旋した武人にやろうと利をもって誘う者もある。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
内閣会議にでも出し、それから貴衆両議院で決めて、かなり人の嫌うような職業を重んずるようにする法令でも発布したら、あるいは
利目
(
ききめ
)
があるかも知れぬ。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そんなことで、やっと我慢しているが、確かに
利目
(
ききめ
)
があるから、一時のごまかしとも違うなんどと、おれはその時強調していい足したことででもあったろう。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
白い手術着を着た助手らしい男がしきりにあちこち歩き廻ってそれを助けてくれようとするのだが、一向
利目
(
ききめ
)
がないので困り果てたところで眼がさめたのだという。
夢判断
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして、再び道路へ出てから、その残りを食い終わった。ずいぶん久しくウォートカを口にしなかったので、たった一杯飲んだだけで、たちまち
利目
(
ききめ
)
が見えてきた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「馬に念仏申しても、
利目
(
ききめ
)
がなさそうでございます。そこでおさらばと致しましょう。もう日も
大分
(
だいぶ
)
暮れて来た。
塒
(
ねぐら
)
へ帰ったら夜になろう。ご免下され、ご免下され」
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それはパリーの浮浪少年らがフランス式の皮肉を集中した得意の身振りであって、きわめて
利目
(
ききめ
)
の多いものであることは、既に半世紀も続いてきたのを見てもわかる。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ここの水には、いまどきまったくたいした
利目
(
ききめ
)
があるわ。でも、わたしこの温泉を立っていこうとはおもわない。このごろやっと、ここがおもしろくなりかけたのだもの。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
金銭に積ってはいくらでもないが、ある方面の神経を
焦
(
じら
)
すにはくっきょうな
利目
(
ききめ
)
のある仕事だ
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
悲しみを
怺
(
こら
)
えて爽快げな
見得
(
みえ
)
を切りながら古い自作の「新キャンタベリイ」と題する
Ballad
(
うまおいうた
)
を、六脚韻を踏んだアイオン調で朗吟しはじめたが一向
利目
(
ききめ
)
がなかった。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
現世の
真面目
(
まじめ
)
な勤勉が、何らそれに正比例する報いを保証しない。案外に人目を
胡麻化
(
ごまか
)
して追従贈賄を行うと
利目
(
ききめ
)
がある。そのような事実は人心を極度に自棄的にするものである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
はっきりした非難を加えるよりも
執拗
(
しつよう
)
に
諷示
(
ふうし
)
を繰り返すほうが、公衆には
利目
(
ききめ
)
が多いことを、彼らはよく知っていた。彼らは
猫
(
ねこ
)
が
鼠
(
ねずみ
)
に戯れるように、クリストフをもてあそんでいた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
懐炉
(
かいろ
)
だけでは
心許
(
こころもと
)
なくて、熱湯を注ぎこんだ大きな
徳利
(
とくり
)
を夜具の中へ入れて眠ることにしていたが、ある夜、徳利の
利目
(
ききめ
)
がなくって真夜中ごろにしばらく忘れていた激しい痛みを感じだした。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
するとその
利目
(
ききめ
)
がとてもよくあらわれて、五千以上の薔薇の花が、もと通り美事に咲き匂いました。しかし、死ぬまでマイダス王に、何でも金にする力を思い出させたものが二つありました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
「それはあなた、そういう
質
(
たち
)
でらっしゃるからですわ。肥らない質の人間ですと、まああたくしみたように、なにを頂いてもいっこう
利目
(
ききめ
)
がありませんのよ。あらあなた、お帽子がぐしょ濡れよ。」
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この言葉は幾らか
利目
(
ききめ
)
があったらしい。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
主人のごとくこんな
利目
(
ききめ
)
のある薬湯へ
煮
(
う
)
だるほど
這入
(
はい
)
っても少しも功能のない男はやはり醋をかけて
火炙
(
ひあぶ
)
りにするに限ると思う。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そりゃまあ殺すのは実に残酷ですけれどお経でも
唱
(
とな
)
えてやったならば幾分かありがたい
利目
(
ききめ
)
があるであろうと思われる。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何の
利目
(
ききめ
)
もないのだが、
幸
(
さいわい
)
、徳さんの息子が私と年齢も、背恰好も似寄りだから、その息子に私の洋服を着せ、遠目には私に見える様に仕立てて、本土へ渡すことにしよう。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうして
利目
(
ききめ
)
のところを見ていると、グンニャリと来たから、こいつは手答えがあるわいと、それを下へ持って行って西洋流の握手をやる時にまた一両、それで
都合
(
つごう
)
二両取り
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そんなものでもございません。総じて
女子
(
おなご
)
というものは、恩も
怨
(
うら
)
みも殿方よりは一倍強く感じますゆえ、そんな恐ろしい鞭などで打ち叩かれるより言葉優しく根強くお
訓
(
さと
)
しなされた方が、どんなに
利目
(
ききめ
)
がございますことか」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
したら、
月桂寺
(
げっけいじ
)
さんは、ええ
利目
(
ききめ
)
のあるところをちょいとやっておきました、なに猫だからあのくらいで充分浄土へ行かれますとおっしゃったよ
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それじゃどうかそう願いたいといってそこへまあ滞在する中に薬の
利目
(
ききめ
)
か眼の痛みも少し
癒
(
なお
)
って参りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
こういうと慢心の
利目
(
ききめ
)
が即座に現われて、家中が急に混雑をはじめました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
俺の身体は死んでも、俺の魂は貴様をやっつけるまでは決して死なないのだからな。なる程、貴様のあの馬鹿馬鹿しい用心は生きた人間には
利目
(
ききめ
)
があるだろう。たしかに俺は手も足も出なかった。
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
初さんの
側
(
そば
)
へ腰をおろす。アテシコの
利目
(
ききめ
)
は、ここで始めて分った。
旨
(
うま
)
い具合に尻が乗って、柔らかに局部へ
応
(
こた
)
える。かつ冷えないで、結構だ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ウフフフフフフ、うまく行ったぞ。
眠薬
(
ねむりぐすり
)
の
利目
(
ききめ
)
は恐しいもんだな。だが、食料品積みこみのついでに、こんな可愛い子供が三人とは、悪くない獲物だぞ。これで又一もうけ出来るというもんだ」
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それが思うように
利目
(
ききめ
)
がないと見ると、今度は自分が焦れ出して、なあに、いつか一度はこっちのものにして見せるといった腹でいるところへ、例の間違が持ち上って、とうとう、駒井も、神尾も
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そっと手を廻して真相を探ってみたなどという
滑稽
(
こっけい
)
もあった。事実が分って以後は、代助の
所謂
(
いわゆる
)
好いた女は、梅子に対して一向
利目
(
ききめ
)
がなくなった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
烈しい薬物の
利目
(
ききめ
)
は忽ちであった。さしたる苦悶もなく、何事を云い残すでもなく、この異様な親子は、見る見る蒼ざめて行って、しっかりと抱き合ったまま、いつしか冷いむくろと化していた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だから本人の気の持ちよう一つでは、
仁参
(
にんじん
)
が御三どんの象徴になって
瓢箪
(
ひょうたん
)
が文学士の象徴になっても、ことごとく信心がらの
鰯
(
いわし
)
の頭と同じような
利目
(
ききめ
)
があります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
バッタの癖に人を驚ろかしやがって、どうするか見ろと、いきなり
括
(
くく
)
り
枕
(
まくら
)
を取って、二三度
擲
(
たた
)
きつけたが、相手が小さ過ぎるから勢よく
抛
(
な
)
げつける割に
利目
(
ききめ
)
がない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
貝の
利目
(
ききめ
)
はたちまちあらわれて、細君はその月から懐妊して、玉のような男子か女子か知りませんが生み落して老人は大満足を表すると云うのが大団円であります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人のような
汚苦
(
むさくる
)
しい男にこのくらいな影響を与えるなら吾輩にはもう少し
利目
(
ききめ
)
があるに相違ない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余のごとき
平仄
(
ひょうそく
)
もよく
弁
(
わきま
)
えず、
韻脚
(
いんきゃく
)
もうろ覚えにしか覚えていないものが何を苦しんで、支那人にだけしか
利目
(
ききめ
)
のない
工夫
(
くふう
)
をあえてしたかと云うと、実は自分にも分らない。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いくら出ても何の
利目
(
ききめ
)
もなかった。女は何喰わぬ顔で
大徹和尚
(
だいてつおしょう
)
の額を
眺
(
なが
)
めている。やがて
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
癪に障るような身分でもなし、境遇でもないから、いっこう平気ではいたが、これが人間に対する至大の甘言で、勧誘の方法として、もっとも
利目
(
ききめ
)
のあるものだとは夢にも
想
(
おも
)
い至らなかった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし技巧がなければせっかくの思想も、気の毒な事に、さほどな
利目
(
ききめ
)
が出て来ない。沙翁とデフォーは同じ思想をあらわしたのでありますが、その結果は以上のごとく、大変な相違を
来
(
きた
)
します。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あんなに、
吸殻
(
すいがら
)
をつけてやったが、
毫
(
ごう
)
も
利目
(
ききめ
)
がないかな」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
利
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“利目”で始まる語句
利目無之